⑬~山越えて ワンディハイク ヨクサムへ~
7時起床。8時に朝食をたのんでおいたのに食堂へ行くと、ツアー客の分しか用意していない。悪意はないのだろうけれど、とっても感じの悪い応対ぶりなのだ。湿っぽいコーンフレークスとトースト、オムレツ、ゾーセーシの朝食を急ぎ済ませて、9時前から待っていたジープで出発。
ドライバーと助手、二人ともほとんど英語を話さない。昨晩の食事のこともあり、ペリングのレストランに寄って、夕食の予約をしておく。
ネパール的な風景の中をひた走る。ドッコを担いだり、鼻に飾りをつけた人が目につく。一時間半ほど って、登って、 Tsho-Sho-Tsho Lake の入り口に着く。小さい沼が見えてきた時は“なんだ、つまらなさそう"と思ったが、タルチョーがはためき、苔むしたチョルテンとあいまって神秘的だ。
いまにも沼の主が出てきそうだ。黄色の小さなトンボや、赤と黒の大きな蝶もいる。
帰り道、樹上からヒルが落ちてくる。湖に片足をつっ込んでしまった長女の足と靴を小川で洗う。
車に乗り込んでから「足の裏がかゆくてたまらない」と言う。靴をぬいで見ると、足の裏にヒルが食いついている。 3cm位の黒くて細いヒルだ。下手に取ると頭だけ皮膚に残ってしまうと聞いていたが、助手のお兄さんがなんなく取ってくれる。長女は印象深い出来事だったようで、助手のお兄さんのことを好きになってしまったそうだ。フェースもなかなかだった。
よくもまあ道路を作ったものだ、とただ感心するばかりの山道を下って登って、無数の滝を道路脇にながめ、時には滝の流れを雨のように浴びたり、滝からの小川を水しぶきを上げて渡る。段々畑で米を作っている。とうもろこしはヒョロリと倒れそうだ。
ヨクサム
https://goo.gl/maps/mpg6FE4nr8f74uPL6
13時、ヨクサム着。ポリス・オフィスでチェック。といっても二人いるポリスのうち、若いほうは村の子供たちとバトミントンをしていた。平和でおだやかな村人たちは、私たちをものめずらしげにジーと見つめる。子供たちはとってもはにかみ屋で「タパイク ナム ケホ?」と聞くと、消え入りそうな声で名前を言う。みんな裸足だ。
宿で作ってもらったランチを広げる。ゆで王子、マスタードサンドイッチ、ポテトまるあげ、クラッカー、マンゴージュース、コンビーフみたいなハム、塩、胡椒も添えられてなかなか気のきいたお弁当だ。でも、紙ナプキンに包んであって、その色がついてしまっているのが残念。
山頂に向かって石畳の道がある。側溝をかなりの勢いで山からの水が流れている。大きなマニ車小屋があり、下に水車をつけて回るようにできている。子供たちに説明していると、ヤヤッ!ヒルがいっばいだ。靴を脱いで見ると、入り込んでいる。もう、戻るしかない。途中、末娘がおしっこをしたが、その間にも尺取虫の這い方で、まっ黒いヒルが寄ってくる。柔らかい、かわいいお尻にでもくっつかれたら一大事。
村にもどると、道を歩いている牛からヒルが“ポトリッ"と落ちた。血を吸って何倍にも膨れあがっている。 「スゴイ!こんなにふくれるんだねぇ—」。みんなでながめていると、横から鶏がきてサッとついばんで行った。
15時、茶店でチャイを飲んで帰路につく。ドライバーも誘ったが、助手に「お前、つきあってやれ」という感しで、ジープをみがいている。途中、故障で立ち往生のジープを我らがドライバーが修理する。無口で運転は抜群。修理もうまい、しぶい青年だ。修理を待つ間、山と谷にかかる大きな虹をながめる。
17時過ぎ、ペリング村に帰りつく。一日走った高低差と、カーブと滝の数はかなりなものだった。ドライバーはさぞ疲れたことだろう。ジープの手配は宿のボーイに頼んだのだが、最初はジープで400Rs。そのあとで、ジープはないのでスモールカーで600Rs といわれていた。が、来たのはジープだったので、「400Rs 払えばいいか?」と切り出すと、「何だと!!」という感じで、怒り顔になった。朝、慌ただしく出発して、値段をたしかめておかなかったので、最後にちょっと気まずい思いをしてしまった。
朝、立ち寄ったとき「モモを作っておくからね」とおじさん(お父さんより若い店のマスター)が言っていたが、ここのはネパーリーモモでとっても美味。皮が饅頭のようにふっくらしている。トマトとねぎとチリをすりつぶしたソースがぴったりだ。
宿(この食堂は宿を兼ねている)の若いお姉さんが末娘をとなりの自宅に連れて行ったので、みんなでおじゃまする。ここは奥さんの実家で、 5歳の女の子が一人、両親、弟や妹 7~8 人が同居している。食堂の料狸上手なおじさんは、ムコさんなんだ。「近いうちにホテルをきれいに建て替えるから、今度来たときは泊まってくれ」と、商売にも意欲的だ。ハンサムなおじさん、奥さんもとっても美人だ。村の銀行で働いているそうだから、かなり進歩的な家庭だろう。
食堂の前のホテルに帰る道は20mほどで街灯がなくなり、先は真の闇だ。おまけに雨も降ってきた。「 25Rs で送っていくよ」と、おじさん。弟や妹も乗り込んで、みんなで送ってくれる。大歓迎だ。が、しっかりとお金を取るところが日本人には理解できない。 「明朝もゲイジングまでジープを回すョ。 120Rs でね」と、商魂たくましい。長女はハンサムな弟くん(17 歳)が気にいって一緒に写真を撮ったり、握手して照れたりしている。今から気が多くて、先々お父さんの心配のたねになりそうだ。
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