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TOWERUSHについて〜デザインと運営の境目〜

さて、2023年12月9、10日に『TOWERUSH』というイベントを行なっておりました。

これが何ともクセのあるイベントで、
タカラッシュさんの「謎解きフェスタ」というイベント内で、
4割ぐらいの場所をいただいて、
LINEで遊べる塔をメインに様々なコンテンツを遊んでいただく、
言わば「フェス内フェス」。

多分、前代未聞。
普通の謎解き公演を企画するのとも、
謎解きフェスイベントを企画するのとも違って、
ノウハウがほとんどない。

そんなところからスタートした、
『TOWERUSH』について、
デザインから運営まで、行なったことをまとめていければと思います。
一般に言われる「デザイン」から離れた「デザイン」も多く出てくるかと思いますが、
全部「デザイン」という言葉でまとめていこうと思います。
自分の中でどこまでをデザインと捉えていただろうか」などと考えながら、
読んでいただければと思います。

この記事を執筆するにあたり、
『TOWERUSH』を主催された沙竹唯さん、
また私が集めきれなかった写真などを提供してくださった皆様に
御礼申し上げます。


グラフィックデザイン

まずは、分かりやすい「デザイン」、グラフィックデザインから参りましょう。
今回、メインビジュアルやXで告知される画像といったイベント全体のグラフィックデザインを担当していました。

最初に沙竹さんからお話をいただいたとき、
既にメインコンテンツ制作のメンバーは集まっていて、
「このメンバーの中で仕事をするのか……」と
少し怯えていました。
その中で、はじめに取り掛かったのがメインビジュアルです。

沙竹さんからいただいたご要望としては、

  • タカラッシュさんが制作する謎解きフェスタin東京タワーのメインビジュアルに近づけること

  • 大量の塔を盛り込むこと

でした。

メインビジュアルを作成したのが、9月末から10月頭頃の話なのですが、
ちょうどその頃、画像生成AIが出てきまして、
Adobe Fireflyを使って色々と試してみたのですが、
なかなか上手くいかず…。
「あの塔とあの塔を盛り込みたいけど、全然反映されてくれない…」みたいなことをしばらくやってました。

その後、写真を合成して、
今度はPhotoshopの生成塗りつぶしでなじませてみたのですが、
こちらも上手くいかず。

そこで、メンバーを拝見した時に感じた
「このイベント、一筋縄では行かないな」を思い出して、
わちゃわちゃした「American pop」な世界観を目指してみました。

メインビジュアル

謎制作者それぞれの看板は、アイコンだったり代表的な制作物だったりをイメージ。
沙竹さんはあの有名なTrain Oneを使ってます。

公演終了後には、当日スタッフ、デバッガー、BGM作成の皆様を加えたスペシャルバージョンになりました。

全メンバーver.


印刷物デザイン

当日配布する印刷物として、
パンフレットとTOW紙幣とシール、スタッフTシャツを制作しました。

TOWERUSHパンフレット

パンフレットは、当初持ち運びのしやすいB5程度のサイズの予定でした。
ですが、「100塔のタイトルを書き並べるだけでも、スペース足りなくない?」となり、
A4サイズへの変更をせざるを得ませんでした。
A4サイズだとバッグに入らないことも多いです。
そこで、敢えて厚すぎない110kgの紙にして、折り曲げられるような仕様にしました。

TOW紙幣

TOW紙幣は本イベントの中で一番使用した印刷物です。
1TOW紙幣を2000枚、10TOW紙幣を1000枚も印刷しました。
もちろん、紙幣のデザインなんてやったことはありません。
でも、お客様に「これはお金」と認識してもらうために、
お金らしいデザインが求められました。

1TOW紙幣は赤、10TOW紙幣は緑と色で識別しやすくし、
全体は大きく変えずにデザイン。
色んな国の紙幣を調べたのですが、
「紙幣といえばやっぱり真ん中の楕円!」と思ったのは、
やはり日本人だからですかね。

紙幣は名刺サイズにしたことで、発注が楽になっただけでなく、
財布やスマホケースのポケットに入れて持ち歩く人もいました。
また、そこそこ丈夫な紙(180kg)を使用したことで、
何回か使用しても、くたびれずにすみました。

スタッフTを着たあきみさん


空間デザイン

そろそろ「デザイン」の中央から、少し外れた話になってきたのではないでしょうか。
でも、イベント企画において大事な「デザイン」の話です。

先述の通り、『TOWERUSH』は謎解きフェスタの1区画で行われるイベントで、
奥に長い、いわゆる「ウナギの寝床」といった空間でした。

当初の図面
パーテーションで、入り口から中がすぐには見えない

当初の予定では、謎解きフェスタがあるB1フロアに降りてきたら、
まず最初に『TOWERUSH』のパーテーションの壁が見えるような空間設計でした。

しかしながら、これでは

  • 入退場自由である『TOWERUSH』の中の様子が、外から分かりづらい

  • 謎解きフェスタに入ってきたお客様に圧迫感を与える

ということで、下の図面のように空間の使い方を変えてみました。

実際の図面
人の視線よりも低い椅子で区切ることで、中の様子をのぞけるように

パーテーションで区切っていた部分を、
椅子で区切ることで、ブースの奥まで見渡せるように変更。
加えて、受付などを外側に向けて並べることで、
B1Fに降りた瞬間、『TOWERUSH』の盛り上がりが伝わるような空間構成にしました。

↓B1Fに降りてきたらすぐ見える人集り

また、当日遊べるファミレスコンテンツは、
部屋の奥に置きつつ、
観覧自由の「見せる」コンテンツは手前に持ってきました。

↓「積み上げTower」で、他のお客様にも見える場所で積み上げられたタワー

空間デザインという点では、BGMも含まれますね。
今回、BGMをセーブクマさん、ちゃそさんに制作していただき、
とても「アガる」曲を貰っていたので、
空間の広さに合わせてスピーカーを3台用意したり、
「とうじつタワーバトル」中はタイムアタック感を出すためにBGMの音量を上げたりもしました。


体験デザイン

『TOWERUSH』内でお客様に体験していただいたことといえば、
100本のLINEで遊べる塔だったり、
ファミレス形式の当日コンテンツだったり、
とってもお得な福引きだったりするかと思うのですが、
私が関わった部分としてTOWのお話を。

LINEの塔が謎制作者の皆様によって、
どんどんと施工されていく中、
「じゃあ、どうやってこの塔を売るの?」
といった話が運営として上がっていました。

結果的には、タカラッシュさんや、
システムを担当されたわんどさん、沙竹さんなどのお力があり、
「ハンターポイントの紙に書いてあるキーワードを、TOWERUSHのLINEメインアカウントに送信して塔を遊ぶ」
というような流れが確立されました。

しかしながら、
パンフレットや持ち帰り謎を買う場所と、
LINEの塔を買う場所と、
当日コンテンツの受付をする場所とをひとまとめにすることは難しく、
色んなところで金銭のやり取りが行われる可能性がありました。
人が沢山いる中で、毎度毎度お財布を出すのも億劫ですよね。
また、スタッフ側としても、重たい会計ボックスを複数用意するのは現実的ではありませんでした。

そこで、参考にさせていただいたのが
ナッツトミライで活用されていた、
エンニチの仕組みです。
(TOW発表時に気づかれていた方もいらっしゃいましたね)

こちらは受付で「エンニチ」と呼ばれるチケットを買って、
それでボードゲームなどを遊ぶ仕組みです。
(私は、「昔からある遊園地にある、『観覧車はチケット⚪︎枚』と一緒だな」と思いました。)

「このブースに入ったら、ユーザーは(現実の)お金を使わなくていい」
というような空間にしたかったため、
この「エンニチ」の仕組みを『TOWERUSH』でも応用し、
お金のやり取りの煩雑さを、外側にある受付に集約。
「TOW(読み:トウ)」という通貨単位が生まれた(アイデアはうりよしきばさん)ことで、
このチケットは、チケットから『TOWERUSH』における通貨となり、
2日限りの「TOW経済」が生まれました。

皆さんが「TOWはいつでも塔に引き換えられる」と信用することで成り立つ、
「塔本位制」ですね。

会場の中ではTOWを貸し借りする人や、
帰り際にTOWを慌てて塔に引き換える人も居て、
「本当にお金として成り立っているんだな」としみじみ思いました。

↓TOW経済の大富豪


運営デザイン

こちらは、なかなか掘り下げてお話しするのも難しいですが、
用意した空間やモノ、ヒトをどのように使って、
全体のオペレーションを回していくかになるんでしょうか。
また、オペレーションを考えた時に、
上手くいかなそうな部分、上手くいかなかった部分を修正していくことも、
運営デザインになるのかなと思います。

少しお話しすると、
今回、多くの方が集まって制作していたため、
企画の途中でどんどん新しいアイデアが育ったり、
反対に小さな企画が生まれては消えたり、
discordのトーク画面を追っているだけでは、
全ての情報を把握するのが難しいところもありました。

そのため、
実際のイベント内容を確認し、
それを当日スタッフを含めた全員が確認できるような形に
「見える化」するのが、私のお仕事だった気がします。

まとめ:イベントデザイン

ここまで書いたことをまとめると、
最終的には「イベントデザイン」になるんじゃないのかなと思います。

私は今回、途中参加で、
ある程度イベントの趣旨だったり、骨組みが決まったりしている状態からの参加でしたが、
それでも、謎制作者の皆さんが頭の中で考えている面白そうなことを、
実際に見えるカタチ、体験できるカタチに落とし込むことは
デザインにあたると思います。

今後、『TOWERUSH』のような、
前例のないイベント企画に挑む皆様に、
そして今回『TOWERUSH』に参加できなかった皆様に、
現場の様子を伝えられたなら、嬉しく思います。

最後に、『TOWERUSH』に関するnote(現時点で公開されているもの)をいくつか。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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