パンが雑草を食べてウサギの気持ちがわかった話

「人が生きている限り、奪うことができないものがある。それは知識である」とは、ユダヤ教のタルムード(口伝律法)の言葉である。

では、知識とは溜め込むだけでよいのだろうか?

否。知識の中には、実践して初めて本当に活きるものもある。

「火傷したらすぐに流水で冷やす」という知識があれば、保健体育のテストでいい点をとれるかもしれないが、本当にその知識が役立つのは実際に火傷をした時であろう。

ということで、私も得た知識を実践することにした。

武田己広 (1976) 『野草栽食法 食糧危機に生き残れる』ホーチキ商事株式会社出版部

https://honto.jp/netstore/pd-book_00830566.html

この本には、様々な野草の特徴や栽培方法、見分け方、調理法が書かれている。

ちょうど見開き2ページで一つの種類が説明されており、読みやすい本だ。

それでは、いざ実践!

春といえば、やはり菜の花だろう。

花が咲く前が食べ頃で、旬を逃すと苦くなると聞いたが、既にその辺の菜の花は鮮やかな黄色の花を咲かせている。

まあ大丈夫だろう。

人様の土地の雑草をむしるのはよくないので、川原の土手から菜の花をむしってくる。

既に豆のさやみたいなのがついている。このさやが熟すと絞って菜種油ができるそうだ。

花の部分、さやがついている茎、根本の方の葉を採取する。

道中、濃いピンクの花をつけたカラスノエンドウを見つけたので、これも摘んでおく。

帰宅後、水洗いして長時間水に浸し、さらにふり洗いする。

雑草は犬や猫の何かを浴びている可能性があるからだ。まあ洗っておけば大丈夫だろう。

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適当な長さに切ったあと、湯を沸かして塩を入れ、気持ち長めに茹でる。加熱しておけば大丈夫だろう。多分。

ゆでている間にからしをめんつゆとみりんで溶いておく。菜の花だし、今回はからし入りのおひたしにしてみよう。面倒なので、カラスノエンドウも同じ味付けにする。

ざるにあけ、軽く絞り、先ほどのつゆと和える。すりごまか鰹節をのせる。これでおひたしの完成だ。

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まずはカラスノエンドウから。(食べられなかった時の保険で、ブロッコリーも添えてある)

驚くほどくせがなく、食べやすい。(めんつゆが美味しいのもある)

ただ、成長しきったものだと、茎が少々かたいかもしれない。次は小さめのをやわらかそうなのを選んで摘もう。

続いて菜の花。

菜の花特有の苦みはあるが、葉はやわらかく食べやすい。

黄色い花も、少々苦いが食べられる。

では、最後に茎の部分を……

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…………苦い。

他の部分と比べられないくらい苦い。

おまけにかたい。噛んでも噛んでも飲み込める気がしない。顎が疲れてきた。どうしよう。苦い。

牛が何故反芻するのかわかった。そらこんなかたいもん一気に消化できんわ。苦い。

というかこんなに草を何回も噛んでいると、まるで自分がウサギになったような気がする。苦い。

かたい。噛んでも噛んでも細かくならない。口内に繊維の塊が鎮座している。どうしよう。苦い。

最後は、あまりにも繊維の塊過ぎて喉に詰めないか心配しながら飲み込んだ。

少量なのに、妙に満腹……というか疲れた。顎が。

やはり、知識は実践である。

カラスノエンドウは食べやすいということがわかった。

そして、菜の花はやはり花が咲く前がベストである。花が咲いたあとの茎は、なんというか、すごい。

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