11月1日
世界と何かの瀬戸際に立たされているのか、なんて思った。
折り畳み傘は、私の髪を濡らした。リュックの中の教科書でさえも濡らした。
でもなんかもうどうでもよかった。
貴方の笑顔が眩しかった。
大学受験を控えた高3と受験のない中3。例えるものが見つからないほどに苦しみの差があるはずなのに、貴方は笑った顔を私に向けた。
こんなに全てを濡らした雨に対抗しようと思って、小さい傘の中で泣いた。声にならない苦しみさえも、気づかれることなく雨に流された。負けた。
私っていつもこんなもん。
制服のスカートはどんどん重くなっていく。体温を奪っていく。歩くたびに、ばたばたとスカートが足に当たる。体育祭でつくった擦り傷にしみる。
好きだよ。頑張れ。