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あなたのこと

 白が多くて光のない三白眼の私は、あなたの光を灯して潤う半月型の愛らしい目が、笑った時にはきゅっと三日月を描くその目がすきだった。三日月がまたあらわれますように。


 夢を見る。私は楽しそうに笑ってて、あなたもふざけまじりに怒ったり笑ったりして、2人で意味もなくはしゃいでいる。唯一無二の時間。幸せな時間。もう2度とない時間。
 ギターを弾いたり、テレビを見たり、メイクをしたり、くだらないものまねで笑い転げたり、かつてそこにあった座椅子とテレビの空間は私たちの日常を作り出していた。
 目が覚めて気づく、あの時間がもう2度と訪れないことに。夢から覚めなければよかった。夢の中のあなたはもうだいぶ曖昧さを増してきて。過去の中で生きてる私の虚像だ。あなたはカメラを向けさせてくれなかったけど写真と動画をまた見てる。幸せそうな私がいて羨ましい。またいつかあんな時間が訪れるのだろうか。こわいな。


 気まぐれでピアノを弾いて自室に戻ったら、久しぶりにギターの音色が聞こえた。雨粒が小気味よく窓を叩く音と、壁越しに聞こえる知らないの曲のギターに耳を澄ませて、慣れない編み物をしている。この時間を忘れないだろう、と大切にしまった。忘れたくなかった。


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