給与計算実務能力検定試験1級 計算⑩
令和5年分年末調整の生命保険控除、地震保険控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除をそれぞれ求めよ
<資料>
会社員は給料から所得税が源泉徴収されています。これは確定していない概算の金額で年末調整とは、正しい所得税の金額を計算し精算する手続です。
給与総額から基礎控除や配偶者控除等、一定の控除が認められており最終的に給与所得控除後の総所得から所得控除の合計額を差し引き金額に応じて5%~40%の税率で税額が決定します。住宅ローン控除は、この税額からさらに控除できるしくみで税額控除と言われています。
所得控除には人に対する人的控除が8種類、生命保険や地震保険などの支出に対する物的控除が7種類あります。この問題は物的控除の問題です。
まず一般の生命保険料について
〇一般の生命保険料
契約日 令和3年4月1日(新契約) 年額 65,000円
契約日 平成22年7月1日(旧契約) 年額 81,200円
新契約の65,000円を計算式Aに当てはめてると
①65,000円×1/4+20,000円=36,250円
旧契約の81,200円を計算式Bに当てはめると
➁81,200円×1/4+25,000円=45,300円
③合計は81,550円→最高は40,000円までなので40,000円
一般の生命保険料控除は①~③のうち最も大きい金額なので➁45,300円
介護医療保険料は
〇介護医療保険料
契約日 平成30年4月1日 年額 81,560円
控除計算式Aに当てはめると一律に40,000円
個人年金保険料は
〇個人年金保険料
契約日 令和2年10月1日(新契約) 年額 50,000円
契約日 平成18年5月1日(旧契約) 年額 110,000円
新契約の50,000円を計算式Aに当てはめてると
④50,000円×1/4+20,000円=32,500円
旧契約の110,000円を計算式Bに当てはめると
⑤110,000円は100,001円以上ですので一律に50,000円
⑥合計は82,500円→最高は40,000円までなので40,000円
個人年金保険料控除は④~⑥のうち最も大きい金額なので⑤50,000円
生命保険料の控除合計は一般の生命保険45,300円と介護医療保険料40,000円と個人年金保険料50,000円で計135,300円となりますが・・・
ここで重要論点!生命保険料控除は上限120,000円となっており超えてますので生命保険料控除額の合計は120,000円となります。
地震保険料は地震保険料と旧長期損害保険料をかけています。
〇地震保険料
契約日 令和3年3月20日(地震) 年額 4,820円
契約日 平成15年6月1日(旧長期) 年額 2,300円
①地震保険料は50,000円以下ですので支払った全額の4,820円
➁旧長期損害保険料は10,000円以下ですので支払った全額の2,300円
③地震保険料と旧長期損害保険料の合計は7,120円となり50,000円以下ですので、その合計額の全額の7,120円
社会保険料は簡単ですね。掛金の全てが控除されます。
〇国民年金保険料 年額 99,120円
〇国民健康保険料 年額 56,700円
よって社会保険料控除額は155,820円
ラスト!小規模企業共済等掛金控除ですが、確定拠出年金個人型も全額控除となります。
〇確定拠出年金個人型 年額 120,000円
よって小規模企業共済等掛金控除額は120,000円
解答
生命保険料控除額:120,000円
地震保険料控除額:7,120円
社会保険料控除額:155,820円
小規模企業共済等掛金控除額:120,000円
確定拠出年金個人型とは、いわゆるiDeCo(イデコ)の事ですね。会社員は年末調整で掛金の全てが控除されるので税制上もお得です。60歳まで引き出しできないので無理の無い金額で積立したいですね。私は厚生年金被保険者で出口も近いので月のMAX 23,000円掛けています。
お疲れさまでした(^^)/