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揃ってないから、面白い。ラフィのお話。
きれいすぎては味気なし。今回は「ラフィ」という糸のお話です。
ラフィは、大阪府の糸メーカー大正紡績が作るブランド糸で、均一ではない独特なムラが魅力です。
そのムラの秘訣は、糸をつくる工程で「落綿」を混ぜること。
落綿とは
糸を作る工程で、繊維の長さが短くはじかれてしまう綿は、いわゆる規格外。本来は糸にならない部分です。それを再利用することからリユースコットンとも呼ばれています。
ちなみに、ラフィの名称の由来は、ゴルフコースのラフから、長短の芝がまばらに生える情景から名付けられました。
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落綿を混ぜることで、太細がランダムに出来上がり、まるでヴィンテージ風の味わいのある糸が作られるのです。
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1980年代
繊維業界では、いかに均一で綺麗な糸を作るかという価値観がありました。
ラフィはその常識とはまったく逆の価値観を打ち出したのです。
「資源を無駄にせず、あたらしい価値の糸を作る。」
大正紡績の信念と、職人さんの絶妙な調合技術により、1990年代に入ると徐々に良さが広まり、広く愛される糸となりました。
いま、時代がようやく追いついてきたようでもあり、当時は革新的な考え方であったことでしょう。
さらに、綿花は農作物です。
世界中の産地や、採れた年度の管理など並大抵ではできません。徹底した丁寧な仕事の積み重ねが、長きにわたり安定した品質を届けているのだと感じます。
素、の美しさ
完成された豪華なものよりも、素材本来の美しさや不完全さを楽しむ、まさに日本の美徳精神のわびさびを感じる糸と言えます。
その自然な美しさと味わいのある糸に惚れ込み、パラスパレスでは沢山のアイテムにラフィ糸を使っています。
しかし、長所と短所は背中合わせ。
均一でない糸は、織りや編みの工程で調整が必要で、一筋縄ではいかないといいます。
それでも私達の作る服にラフィの味わいは欠かせません。はやくも20年来のお付き合いとなりました。
それでは、ラフィを使った素材の一部をご紹介します。
インディゴ
パラスパレスの顔でもあるインディゴ。
インディゴガーゼはラフィ糸に、糸の中心を白く残す「ロープ染め」をしています。
経年変化により色褪せていくさまが、糸の太さのムラによって、のっぺりとせず、より味わい深いものになっていきます。
こちらのチェック柄のオフホワイトの糸が、太細がわかりやすく出ていました。
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トップ染のカットソー
トップ染とは、生地や糸を染色するのではなく、糸を紡ぐ前の「ワタ」の状態から染めることです。染綿を調色して紡ぐと複雑な混ざり感が出て、表情に深みがでます。
大正紡績は、100色以上トップ染した綿をストックしています。
いくつもの色をブレンドして狙いの色を作り、そこに落綿を加え、ラフィトップが出来上がります。
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パラスパレスでは、オリジナルでこういう色を作りたい!と相談して、いくつもいくつも色のブレンドテストをしてもらいました。何色もの絵の具を混ぜる画家のように、深みのある色を表現してくださいました。
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こちらのカットソー、ほどよい厚みで本当に着やすいんです。
へたりにくく、日常にぴったりなTシャツで、人にもおすすめしたくなる着心地です。
ノースリーブ、Tシャツ、七分袖、ドルマンスリーブと幅広いデザインでご用意しています。
他にも、季節毎にカラーを変えたノースリーブや、Tシャツなど、気付けばラフィはあなたのそばに……。
文章だけでは、風合いや着心地はなかなかお伝えできません。
ぜひ、お店で見て、触れて頂けると嬉しくおもいます。ご案内いたしますのでお店のスタッフに気兼ねせずお声がけくださいね。
秋冬は新素材ラフィ×ウールのカットソーも登場します。天然素材ならではの心地よさ、どうぞおたのしみに。
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今回のラフィの特集、YouTubeで動画にしています。
ぜひご覧ください
あとがき
特集のことを大正紡績さんに相談すると、快く画像や動画を提供していただきました。ありがとうございます。
写真がとっても素敵だったので、ご紹介させていただきます。
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大正紡績の糸は、すべて日本の自社工場で作られています。
創業は大正7年、100年を超える老舗企業です。
日本で糸を紡ぐ工場は、最盛期に比べ40分の1ほどに少なくなり、海外へと拠点が流れているといいます。日本で糸を作りつづけることは実はとても難しいことなのです。
その中で、自分たちの手で原料のワタから選び抜き、厳正な管理のなか糸をつくる。
熟練の職人たちが紡ぐ人と技の集大成が、大正紡績が掲げる
「ONE &ONLY」
唯一無二の企業だからこそ永く続けられる秘訣なのかもしれません。
そんな工場の雰囲気が伝わるような、素敵な風景です。
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大正紡績ホームページ
https://www.taishoboseki.co.jp
大正紡績Instagram
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