pallasite

大学生です。拙い文章ですが、ただ行き着くこともなく、書いてみます。 頭のなかはぐちゃぐ…

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大学生です。拙い文章ですが、ただ行き着くこともなく、書いてみます。 頭のなかはぐちゃぐちゃです。

最近の記事

手紙と僕と君へ

手紙って、特別なものだった気がする。少なくとも僕にとっては。 高校生の頃付き合っていた彼女が よく手紙を僕に書いてくれた。 ほとんどは、僕への愛の言葉で手紙は埋め尽くされ、最後は、ずっと一緒にいようと 書かれていた。 僕は想いを文字にするのが苦手だったから、恥ずかしくて、返事を書くことはなかった。その代わり、言葉で愛を伝えていた。 文字で愛を伝える彼女と言葉で愛を伝える僕はどことなく不器用な質だった。 手を繋ぐことすら、出来なかった僕らは手紙で繋がっていたようなもの

    • 海砂糖 

      影は二つ、何を問いかけても彼女は 「海砂糖が見たい」 と答えるだけだった。僕にはその言葉の意味が分かるはずもなかった。それはきっと彼女だけが見ている理想郷にある代物だからだ。前々から、彼女は喜んで言っていた「空と海は逆で、白いカラスがいて、海砂糖が綺麗だった」と。よっぽど、素敵な何かだろう。 僕はそんな彼女に「見れるといいね」と適当に宥めることしか出来なかった。 彼女の子供っぽさは一見、傷口のようだったが、時にナイフのようなものでもあった。 僕は時々思うのだ。 僕もずっと

      • バッドなヒロイン

        古いB級映画が流れる湿度の高い部屋の中、死にたがりの彼女が言った。 「死んだらさ天使になって、みんなの天使の羽を織る仕事がしたいな。」 僕は「君は天国には行けないよ」 と口に含んだが、ギリギリのところで止めた。 「君はマッチ売りの少女みたいだよ」 ふと出てきた言葉が偶然この言葉だった。なぜ、この言葉が出てきたのかは分からない。 ただ、僕にとって、彼女はマッチ売りの少女のように、「生」というたった一つの灯火を求めて、漂っているようにしか見えなかったからだ。 彼女は

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