見出し画像

自己愛性パーソナリティ障害の人がカウンセリングに来たら、どう対応する?

はいこんにちは、元・境界性パーソナリティ障害当事者としておなじみの、完全克服して心理カウンセラーをやっている者です。

おなじみとか言われても今日この記事で初めて存在を知ったんですけど!? という方は、下記記事を参照されるとよいでしょう。
わたくしのnoteで謎に人気の記事です。(有料なのに……)

さてこういう感じで長年「境界性パーソナリティ障害」について発信してきたもんですから、私のところにはよく「自分も境界性パーソナリティ障害だと思う」「自分の身近にいる(いた)あの人は境界性パーソナリティ障害じゃないかと思う」という方からのお申込みやお問合せが非常によく来ます。

ただ、結構な確率で「それは自己愛性パーソナリティ障害では?」「少なくとも、境界性パーソナリティ障害ではないのでは……?」という方もいらっしゃいます。

実際、「自分の身近にいる人は境界性だと思っていたけど、巴さんの記事を読んでいたら自己愛性じゃないかと思えてきた」という方も多いです。

というわけで今回は、私が自分のカウンセリングで「この人は自己愛性パーソナリティ障害っぽいのではないか?」と感じたら、一体どのような対応をしているのかを特別にお伝えしようと思います。

前にどこかの記事で書きましたが、境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害は基本的に正反対で相性最悪になることが多いので(最初は惹かれあったりすることもあるんですけど)、めちゃくちゃ気をつけて対応しないと両方不幸になるんですよね。

以前まで私は上記のことを踏まえて「相手に自己愛性っぽさを感じたらなんとか遠ざける、あるいは依頼を受けない」という対応をしておりましたが、なぜか日に日に自己愛性っぽい人のお申込みが増えていくので、もう諦めて受け入れることにしました。

もしかしてこの世には、境界性パーソナリティ障害の人より、自己愛性パーソナリティ障害の人のほうが多いのでしょうか?

あるいは、自己愛性の人は境界性の人に魅力を感じやすいので、それでみなさん引き寄せられてきているのでしょうか?

まあどちらにしろ、これはきっと自分の心の鍛錬として必要なことなのだな、と思ったので(私の中の修行僧魂がうずきました)、頭から拒否するより対応の仕方を考えよう、と思って色々トライしてきた次第です。
している最中でもあります。

ちなみに自己愛性パーソナリティ障害については以下の記事にも書いておりますので、気になる方はどうぞ(無料も有料もどちらもあります)。
 ↓

境界性や自己愛に関わらず、タイプ別「怒りやすい人」への対応集をまとめた記事はこちら↓

では本題に参りまーす。

◆自己愛性パーソナリティ障害の見分け方

そもそも私はどういう理由で「その人が“自己愛性っぽい”と感じているのか」という話をしましょう。

このnoteで何度も言っていますが、私は医師ではないので、その人が「自己愛性パーソナリティ障害である」と診断や断定することはできません。
(というかカウンセラーは病名を診断してはいけない決まりになっています)

ただし元・境界性パーソナリティ障害当事者として、自分の症状と明らかに違うということを肌で感じることができます。

あと、元当事者だからなのか、そもそもそういう能力を持っているのか分かりませんが、相手の話し方や文章から“違和感”を感じ取ることができます。

境界性と自己愛性が見分けられない人は、「急に怒り出す」とか「感情の起伏が激しい」部分だけを見ていることがほとんどです。

重要なのはそういう表面的な部分や、問題が起きた時に出てくる態度や言動だけではありません。落ち着いて喋っている時、普段通りにしている時の言葉の端々から、“自己愛性っぽさ”が滲み出て香ってくるのです。

その人の情緒不安定がどこから来ているのか、なぜ抑えきれないほど怒ってしまうのか、というみなもとにもっと注目しないといけないのですね。

自己愛性に限らずパーソナリティ障害は、アメリカの精神障害診断と統計マニュアルDSM-5に基づいて診断されます。
MSDマニュアルが分かりやすいので、まずはどのような状態を自己愛性パーソナリティ障害と呼ぶのか一度読んでみてください。
 ↓

最近は「やさしくわかる病気事典」というのもできたようです。
上の文章が難解で分かりにくい方は、こちらを読まれるのもいいでしょう。
 ↓

【やさしくわかる病気事典:自己愛性パーソナリティ障害】

上記にも書いてある通り、自己愛性パーソナリティ障害の特徴的な症状は“自分(の能力)を過大評価すること”です。また、過度に周囲から賞賛されたい・褒め称えられたいという欲求を持ちます。

つい慢心して実力以上のことが自分にはできるのではないかと思ってしまったり、周りから褒められて嬉しく思うのは誰にでもあることです。

しかしそれが長きにわたってずっと続いていたり、その考えのために人間関係がうまく築けないのだとしたら、それはその人の“人生の障害”になっているでしょう。

明らかにその特徴によって、その人の人生に困難が生じている——そういう時に“パーソナリティ障害では?”と初めて疑えるのです。

ここから先は

7,816字
この記事のみ ¥ 900

サポート頂けるとわたしの創作活動や生活費の支えになります。支援が増えると更新頻度が高くなります。