【敗者の街番外編】Elizabethの記憶
クリスマスが嫌いでした。
理由は様々ですが、一番は、家族を思い出すからです。
でも、夫はクリスマスが好きでした。
家族で楽しく過ごせる日だから、と、言っていました。
夫は「家族」に憧れがありました。
ワタシも、「家族」に未練がありました。
二人とも、失った側だからでしょう。
夫は戦地で心を壊していましたが、私も、夫自身も、それに気が付きませんでした。
周りがどれほどワタシを哀れもうとも、夫を蔑もうとも、ワタシは知っています。
彼は優しい人でした。
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