【エッセイ】正しいものに触れて
※このエッセイには病んだ内容が含まれます。苦手な方はご注意ください。
何のことかは割愛するが、とても「正しい」ものを見た。
そして、それが正しいがゆえに多くの人に賞賛されているさまも見た。
しかし、私はその「正しさ」が恐ろしかった。
反対しているとか、異論があるという訳ではなく、正しい行いだと理解している上で、恐ろしさを感じたのだ。
それでも、当該事象は「正しい」ことだ。
間違いなんてどこにもない。多数の人に賞賛されていたのも頷ける。……だけど、私は、怖かったのだ。
おそらくは、私の性根が歪んでいることに起因する恐怖だろう。
その「正しさ」への恐怖は、即ち私自身の邪悪さが原因なのだろう。歪んでいるから、悪しき魂を持っているから、正しさに恐怖し、心苦しさに苛まれているのだろう。
正しさに憧れながら、正しさに恐怖する。
正しくなりたいと願いながら、正しく在ることができない。
こういう経験をする度に、やはり、私はこの世に存在するべきではないのではと思わざるを得ない。
無性に、私という存在を消してしまいたくなった。