嵐/Love so sweet が、小説のなかで流れたら
ハイハットの合図で、ひとり演奏しはじめるピアニスト。支えるバスドラムにリムショットがくわわり、お手本のように8小節でフィルインへ。
《Wow oh oh》のコーラスに、重なりながら追いかける《yeah》。そこに重なりながら追いぬきかえす《Wow oh oh》。その連続から昇る《Wow oh oh》がAメロを呼びだす。
《輝いたのは鏡でも 太陽でもなくて 君》といういきなりのキラーフレーズ。《涙ぐむ雲》という比喩もおいしい。《太陽》も《月》も登場し、空のアイテムがそろいぶみだ。
BメロはPPPHがハマるアイドルソングの王道パターン。かと思えば、《愛の歌》のロングトーンからサビへ、唐突にコードを2つはさんでの転調。歌のキーの調整か、サビでユニゾンする地声のハリが、たしかに心地よい。「a」や「o」の母音を歯ぎれよく響かせる。
《Love So Sweet》とタイトルを歌いあげるメロディに重なり、イントロの《Wow oh oh》へ。もちろん《yeah》もそれにつづく。僕に絶対音感はないけれど、上昇する《Wow oh oh》の声の細さからしても、イントロよりキーが上がっている。デモの段階では、素直につながったコード展開だったんじゃないだろうか。
間奏があける流れでは、キーを下げるための転調。やはりそれぞれのメロディで、かれらの声の映えるキーが判断されているにちがいない。
おさえたAメロにもどると、ついに《空》が登場。視点を広くとりながら、《あの頑なで 意地っ張りな》と、自分を客観的にみている。
やはり2番も、サビまえには転調。ベースがコードにふくまれる音をどんどん使い、コード進行をけん引する。そのままサビでもベースに耳をかたむけていると、奔放にうごき回り、曲が平坦にならないよう仕事に励んでいる。
再度の《Love So Sweet》からの間奏——今までにないコード進行へ入っていきながら、しっかりとベースが曲を引っぱる。リズムに徹するギターのカッティング。軽くメロディーをなぞるピアノが切りこみ、2拍タメを入れてのCメロへ。
バンドサウンドを落ちつかせ、ピアノのうえで一歩引いたサビ。イントロと同様、お手本のようなフィルインから、ふたたびバンドサウンドに。
最後のサビでは《きっとそっと》で高音へと背のびするメロディー。《信じることがすべて》に、重なりながら追いかける《明けない夜はないよ》。さらに《信じることがすべて》につながり、3度目の《Love So Sweet》。
もちろんアウトロでもくりかえす《Wow oh oh》からの《yeah》。2回し目へのつながりには、ソロパートのフェイクメロも色をそえる。
リズムセクションも3発のキメで盛りあげるエンディング。締めのコードありきでの持っていき方は、もはやこの程度、かわいいものだ。