吹奏楽譜の生成AI、浮世絵の生成AI
吹奏楽譜の生成AI
ピアノ譜から吹奏楽編成の譜面に変換する生成AIを作った学生さんの話題。
もし演奏会で使うような譜面を作る用途ならば、既往研究として言及されている大編成から小編成にするほうが実用的にも思う。管弦楽譜やビッグバンド譜を吹奏楽譜にするとか。もしルールを与えずに全て機械学習に委ねるのだとすれば、ピアノ譜からだと吹奏楽っぽさを出せるまで学習用データを揃えるところに苦労しそうな気がする。
しかし休み時間のセッションで遊んでいたという鍋岡さんの体験からすると、練習して発表用ではなく、その場にいるメンバーで演奏して遊ぶ用途を専ら想定しているのかな。だとすると実用面では生成の要素というより、各管楽器の移調の機能が重宝されると思う。吹奏楽編成にアレンジして楽器毎の調性で記載された譜面の演奏から、in Cの主旋律とコード進行だけの譜面でのセッションに進む間に、こういうので遊んでみると音楽の理解度がばらばらでも一緒に色々な曲を楽しめるのではないでしょうか。
あとは、楽器毎の譜面にバラす前に、バロック風とかラテン風とかジャンル指定して編曲させると、生成AIの強みが活かせると思う。そうでもしないと、入力がピアノ譜だと特にベースラインが単調になりそう。
浮世絵の生成AI
美術では、下記の記事で紹介されている浮世絵を描くAIモデル「Evo―Ukiyoe」について、オリジナル作品の優れている点への理解を深める教材に使えると、開発に協力した美術の研究者が前向きに評価しているところが印象的だった。
生成AI開発者は、AIに生成させる対象について自身の作家性を持ち合わせる必要はないけれど、AI出力のだめな点を見極められるようでないと開発のスピードは大きく損なわれるだろう。将棋AIのように勝敗で評価や検証をできないため。
一方でエンジニアリングの知見も必要なわけで、タリンさんのようにクロスオーバーなタレントが、今後はますます重要な世の中になるはず。これは皆がITリテラシーを身につけようというのとはまた別で、イノベーションには組織の多様性や横断的な人材が必要ということを指摘したい。
生成AIへの警戒と期待
生成AIで人の仕事がつまらなくなるという言説もあり、ディストピアだなと悲観したくもなる。
吹奏楽譜AIや浮世絵AIの活用について考えるに、生成AIは人間にとって楽しい創造的な作業を奪うのではなく、人が創造することの楽しさを知り探求する手助けに用いたい。
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