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ワインペアリングの基本


フレンチレストランで現役で働いているソムリエがワインについて書いていきます。
まだまだ勉強中の身でありますので気になるところがありましたらご指摘頂けましたら幸いです。

まずはじめの記事は、ワインのペアリングについてです。
フランス料理においてワインと料理は切っても切り離せない関係です。レストランにおいて、コースメニューを作成する際においても一皿一皿に合わせるどんなワインを合わせるか、どういう順番で提供するのかなどと、もはやワインはレストランのコースの一部ともいえる大きな存在と言えるでしょう。
ワインと料理のペアリングを理解することで、お食事をより一層楽しむことができると思います。


1.ワインと料理の地域を合わせる

 これはワインに限らずですが、地域の発祥の料理、郷土料理とその地域で作られたお酒は間違いのない組み合わせです。

ワインには『テロワール』という言葉がありますが、それは土地の個性、即ち土壌や気候のことを指します。『テロワール』の違いはブドウやワインの味わいに大きくかかわります。

そして、農産・畜産・水産物、更に調味料も、その土地の風土によって育まれた土地の恵み。食材とワインの産地を合わせることは、産地の個性が重なることになるので、ペアリングがうまくいく所以なのです。

そもそも今でこそ世界中のワインがどこでも楽しめますが、交通機関が発達していなかった時代では、作られたワインというのはほとんど地域で消費されていました。つまりその地域で食される郷土料理に合うように味を発展させていったわけです。

となれば地域でペアリングをするというのは、歴史的に裏付けのある最も基本的な間違いのないペアリングと言えるでしょう。


2.料理の食材に合わせる

料理に使われている食材に焦点を当てて、ワインを合わせる手法です。

この食材とは肉や魚介といった主食材だけではなく付け合わせやソースなども意識したものになります。

主食材に焦点を当てる場合には、鶏・豚・牛肉なのか、白身魚か赤身の魚なのかというところまで考える必要があります。

基本的に肉のほうが脂質が多いため、タンニン(渋み)を持つワインが合う傾向にある。タンニンと脂質、タンパク質が結びつくことで、味わいはより豊かになります。

付け合わせやソースに合わせる場合には、その素材自身が持つ香りや五味、またソースに使われている材料からエッセンスを抽出し、ワインと調和させていくといいでしょう。

一皿の料理に対してどの要素に焦点を当てるかが重要です。


3.料理の色と合わせる

最近の食事体験において、味だけではなく演出や魅せ方など視覚的に楽しませる手法が増えてきています。

視覚というものは思っている以上に味覚に影響を及ぼしています。

昔アルバイトの子らと遊びで目隠しをしてブラインドテイスティングをしたことがあります。その時は赤・白2種類ずつぐらいをテイスティングしました。

結果としてはその子たちはなんと赤ワインか白ワインかの判別もできなかったのです。

つまり人は口に入れる前に色調などから既に味を想像しており予想しているわけです。ワインの色が赤色であれば、イチゴやベリーの香りや味わい、薄い黄色であればレモンやハーブの香りなど、といった具合にです。

料理の色調とワインの色調が近ければ、食べる前から無意識に調和を感じます。勿論その色素からくる食材の風味にも根拠がありますが、色調を合わせてペアリングをする際には心理的な要素も大きいと信じています。

また、単に白・赤ではなくその白や赤の色調の濃淡の度合いにも意識してワインを合わせれば、より一層ペアリングを楽しめるようになるでしょう。


4.香りをあわせる

ワインと料理、それぞれが持つ香りの中で、似ている香り同士を合わせる方法です。

ワインは様々な香りを内包しており、それはしばしば食べ物や花の香りに例えられます。

果物・キノコ・ハーブやスパイス・きのこ・ナッツなど

味覚と嗅覚は密接に関係しているので、料理に使った食材と同じ香りがするワインを合わせれば、料理とワインが喧嘩せず、馴染みやすいのです。

これは所謂『同調のマリアージュ』と呼ばれるものです。

例をあげるのであれば、

レモンやハーブを使ったカルパッチョ×ソーヴィニヨン・ブラン(辛口白)

黒胡椒を効かせた子羊のロティ×シラー(フルボディ赤)

といったようにワインが持つ香りと料理の香りを合わせていくとお互いが調和するのがお分かりいただけると思います。


5.タンニンで合わせる

ワインを飲んでいるとタンニンという言葉をよく耳にすると思います。

タンニンとは、ポリフェノールの一種であり、ワイン中のさまざまな成分と結合して複合体をつくります。赤ワインの風味や色、さらに熟成など、さまざまな要因に関与する、重要な成分として知られています。

タンニンがワインに与える影響として、渋み・苦味などが言われますが厳密には味覚ではなく触覚で感じるということを知っておきましょう。

タンニンの多いカベルネ・ソーヴィニョン品種などのワインを飲んだ時歯茎をテッィシュで拭き上げるような感覚になったことはないでしょうか。これを収斂性と呼びます。

そしてタンニンと相性が良いのが脂質です。

このタンニンの収斂性が口中の油脂を洗い流してくれるため赤ワインは肉料理と相性が良いわけです。

ただしタンニンが多ければいいというわけではなく、油脂分の多い牛肉や比較的少ない鶏肉などでは相性のいいワインは当然変わってきます。

油脂分の量とタンニンの量を合わせることがペアリングのコツになります。


まとめ

基本的には料理とワインを同調させることがペアリングのコツになると思います。

1+1が3になるような劇的なマリアージュはなかなか出会えるものではありませんが、おいしい料理とおいしいワインが違和感なく調和しているのであれば、それだけでペアリングは成功しているといえるでしょう。

最後まで読んで頂きありがとう御座いました。皆さんのワインライフが少しでも充実することを祈ります。


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