NFTとCC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)について
今回は、「NFTとCC0」について解説します。
CC0とは
「CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)」は、「いかなる権利も保有しない」と、著作権を完全に放棄することを宣言するもので、いくつか種類があるクリエイティブ・コモンズの中でもっともパンクな形式です。
CC0の特徴
権利元の許可いらずで作品が商用利用されることで、青天井の認知拡大が狙えます。
とある作品があったときに、「この作品はCC0です」と作品の脇に表記すると、”後戻り”できないかたちで、その作品を使ってあらゆるビジネスや改変を行うことが可能になります。
著作者名の表記すらも、不要なのです。
既存の権利ビジネスとは真逆の発想のため、活用されている作品はまだほんの一部です。
NFTはデジタルかつグローバルな存在なので、毎回、作品の利用許可をもらって、やりとりして契約するような関門を設けるのは非効率です。
それよりも、「CC0」と宣言することで、利用の許可もいらず(パーミッションレス)、商用利用もでき、監修不要という形にすれば、世界中で作品の流通が最大化されるというメリットが得られます。
「CC0」を宣言したオリジナル作品を親だとしたら、そこから派生した作品は"子"となります。
「CC0」であれば、子もそこから自由に権利を設定できるため、今度は子を使った場合の著作権は旧来型の権利を主張することもできます。
「CC0」の親からすると、子が勝手にビジネスを始めてしまうことになります。
CC BY-SA
「CC0」は、作品を世界中に流通させたい時に有効な手段です。
しかし一方で、あまりにもフリーに使われてしまうため、そこまで認めたくない場合もあるでしょう。
例えば、「クリエイティブ・コモンズの親の宣言を、子にも継承させる(子が親に無断で勝手にビジネスを始めない)」方法があります。
それが、「CC BY-SA」です。
BYは、原作者のクレジットを表示する条件です。
SAは、CCライセンスを継承する条件です。
NFTでCC0が有効な理由
ただ、NFTの場合、「CC BY-SA」ではなく「CC0」でも効果的に成立するのでは?という説もあります。
なぜなら、仮に契約書等を結ばなくても、OpenSeaなどのプラットフォーム経由で売買されると自動的に親にロイヤリティ還元されるからです。
これまでは、とりっぱぐれがあるから権利主張が大事でしたが、NFTの登場で時代の常識が変わったのです。
そう考えていくと、親が生み出したNFT作品で「CC0」を宣言し、最大効率で世の中に流通させることは有効な戦略に思えます。
CC0を宣言してNFT作品の認知拡大や経済圏拡大を図ることは、既存の作品にはできない競争優位性を生み出すことにもなります。
デジタルデータなので改変やマッシュアップもカンタン。作品利用が捗ります。
親のNFT作品にとって、たくさんの子の中でその作品の二次創作などでビジネスが始まることは中・長期視点で、グローバルのスケールにおいて有利に働く可能性があります。
また、子も商用利用OKという経済的インセンティブが加わることで、より作品利用が加速します。
「CC0」の活用はまだ新しく、事例が少ないため、今後思いもよらぬ問題が発出する可能性はあります。
しかし、NFTの広め方の選択肢として有効な選択肢になり得るので、今回ご紹介しました。
今回の書き殴りは、弁護士でCreative Commons Japan理事の@hanatochillさんとのスペースで共有いただいた知識を元に解説しました。
ありがとうございました。
※この記事は、パジ(@paji_a)の発言をベースにかねりん(@kanerinx)が編集して記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)
ここから先は
¥ 200
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?