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トークンを活用したDAO(自立分散型組織)のメリットと、株式会社のデメリットから考える未来

今回は、NFTやブロックチェーンサービスをより活性化するための「トークン活用」について解説します。
現代では「株式会社」がアタリマエになっていますが……
近い将来、トークンを活用した「DAO(分散型組織)」がアタリマエになる時代が来るかもしれない。
そんなお話です。

トークンを活用するメリット

トークンを活用することの一番のメリットとは、
「貢献への報酬を発生させることでプロジェクトが発展するぜ、いえーい!」
です。
ただ、実際にこれを実践するには、日本においては暗号資産交換業免許の取得や税制的面でな壁があります。

NFTプロジェクトやブロックチェーンサービスは、従来の会社組織に囚われずに、Discordなどで、色々な人が発展に貢献することで、類を見ない速度で進歩している世界です。
"Wikipedia"をご存知と思います。
これまでも、Wikipediaのようにネット上で「人々の叡智を集結させる取り組み」は行われてきました。
そのような取り組みは、トークンを活用することで劇的に進化し、革命が起こるのです。

簡単に言うと、次のようなプロセスです。

  1. プロジェクトを発展させてくれる(させてくれた)人にトークンを配布する

  2. そのトークンを使って、プロジェクトの”方向性・行き先”を投票で決める

  3. トークンは、UniswapなどのDEX(分散型取引所)でETHなどと交換も可能なので、金銭的価値を帯びる

1〜3が組み合わさると、ちょうど「株式」のような仕組みになりますね。

つまり、トークンが株式と同様に"貢献に対するインセンティブ"として機能するのです。

トークンは、「株式」のように国や金融機関の高い信用のもとに発行されるものではありません。
Loot」ではコミュニティの1人のエンジニアによって数日でトークン発行&無償配布されました。
そしてそのトークンが1人あたり500万円近くの価値になったというから驚きです。
その資金が再投資されプロジェクトが進展しました。
新しい例では今月初頭に配布されたENSのガバナンストークン $ENS がありますが、こちらも多い人で300万円を超える額のトークンを得ていました。

参考記事:ENSの運営がDAO化されることの意義 ー トークンエコノミーにより世界がアクティブになる

トークンの使い道

トークンは、プロジェクトの”行き先”を決める「投票権」=ガバナンス・トークン以外にも、プロジェクトによっては収益分配などの重要な意思決定にも影響を及ぼすことができます。
そのため、株式的価値=そのプロジェクトの時価総額が示されていきます。
ただし、「株式」のように法的に保護されているわけではない点には注意が必要です。

さらに、暗号資産と同じERC-20という規格で作られているため、DeFiと呼ばれる分散型金融のDEX(非中央集権的に運営される暗号資産取引所)でも、人々は自由に売買が行うことができます。
そのため、国に縛られず世界中の人たちが参加できる「世界版NY証券取引所」が、突如としてできてしまった感覚に近いのです。

ERC-20とは?
「Ethereum Request for Comments ― Token Standard #20」の略称
 2015年11月に誕生した、イーサリアム(Ethereum)が定義するトークンの規格です。  トークンの核となる機能を標準化したもので、この規格に則って作られたトークンは全て互換性があります。
 MetaMask等のウォレットやや仮想通貨取引所等、ERC-20に対応したサービス全てと互換性があるのが特徴です。
 実は、ERC-20が誕生する前のトークンは、それぞれ仕様バラバラでした。
 トークンの規格を統一する「ERC-20」が採用されたことで、あらゆる仮想通貨関連のサービスは、ERC-20に対応するだけで、多くのトークンを取り扱うことができるようになりました。

株式による資金調達のデメリット

株式の世界では、国の監督省庁・証券会社・監査法人・取引所など、投資家保護の観点からチェックが厳しいです。
そのことは、安心して利用できるというメリットにはなりますが、一方では時間や運用コストが膨大にかかるというデメリットでもあります。
中でも最大のデメリットは、それぞれの国のルールに縛られてしまうという点でしょうか。

投票権的・株式的・通貨的であるトークンは、中央集権的管理者なしにがっちり組み合うことができるシステムである点が革新的です。
株式よりも柔軟で、資金調達や報酬の支払い設計が自由自在にでき、通貨的な要素もあるためコミュニティごとの独自経済圏を創り出すことも可能です。
それゆえに、法的・税制的には線引が非常に難しいことになっているわけです。
日本でも、今後ある程度明確な法規制が整備されていくことでしょう。

いつの時代でも、事業などで大きな事をなすには、多くの資金が必要になります。
トークンがなかったこれまでの時代では、その資金を調達するための最善手は「株式による調達」でした。
この株式による調達方法のデメリットは、借主である事業者側が投資会社や投資家に対して、5~10年程度をメドに「IPO=株式公開」もしくは「バイアウト」のどちらかを選択して"リターン"をお返ししなければならない点でした。
また、3ヶ月毎に業績開示をする縛りを受けることもデメリットでした。

こうした制約は、事業そのものに対してもデメリットがあります。
事業内容にもよりますが、サービスを発展させていく際に、短期的視点に陥りがちになります。
また、通常の議決権付き株式を希薄化することで、事業経営者の人事権を一部手放すことにもなります。
そのため、長期間腰を据えてサービスを創造することがしづらい傾向があります。

しかも、投資会社や投資家は、"事業やサービスそのものに共感・応援する"というスタンスよりも、”事業として収益を上げられるだろう”という観点での関わり方になりがちです。 そのため、本来の利用者や事業者にとってベストな意思決定ができなくなっていくケースが、結構あるのです。

また、国ごとに管理されている株式では、国境をまたいだ海外との流動性を作ることは非常に難しいこともデメリットです。
どれだけイケてるサービスであっても、何らかの事情で上場が遅れるなどのアンコントローラブルな事態も発生しがちです。
まさに、仕組みを管理する権利が中央に集中していることの弊害といえましょう。

株式のデメリットを解消するトークン

そんな中、彗星のごとく登場したトークンには、これらの課題をことごとく解決する期待が持たれています。
そこまでスケールの大きな話で無くても、スモールビジネスレベルのケースであってもメリット性は顕著です。
スモールチームで行うNFTコレクションのコミュニティなどで、叶えたいビジョンを掲げてトークンを活用することで、一種のクラウドファンディング的な『資金調達』が行えます。

ブロックチェーンが持つ金融的機能の活用をカンタンに行えるようになると、"事業収益の中から次の投資をしていく"という株式の場合のスピード感を大きく超越して、次々と事業やサービスの発展に繋がるアクションを打ち出すことができるようになるのです。

また、利用者にもトークンを持ってもらうことで、
「Amazonで買い物をしていたらAmazonの株がもらえた状態」
にもなったりすると、
「このサービスがより良くなる貢献に対してトークンがもらえるなら、色々提案していこう!」
といったインセンティブが働きます。

それにより、運営側だけでなく、コミュニティ全体として「みんなでサービスを発展させていく」という方向づけができるようになります。

これこそが「事業で短期的に収益をあげよ!」という力が強すぎた株式の仕組みを超越した、トークンエコノミーがもたらす真価だと考えます。
こうなると、これまで事業やサービスをもっとも効率的に発展させる仕組みとして君臨していた「株式会社」の存在意義が揺らぎます。

将来的には、最善手は「株式会社」ではなく「DAOによる自律分散型組織」という常識に変わっていく可能性も十分あり得ます。

「会社という存在がなくなる未来」は、まだまだずっと先かもしれません。
しかし、今後の社会のあり方を考えたとき、トークンの活用は、魅力的な未来感を少し先取りした実験だと見ると、ワクワクして8時間しか寝られなくなる今日このごろです。( ˘ω˘ )スヤァ…


※この記事は、パジ(@paji_a)の発信をもとにかねりん(@kanerinx)が編集してNFT記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)

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