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NFTの国際展開を見据えたガチ戦略(前編)

今回は、NFTの国際展開を見据えた戦略的な話をします。

今回(と次回)の記事の内容は、「ガチのスタートアップ経験者のマッチョな思考」とお考え下さい。
ですから、個人クリエイターさんがそのままマネして参考にしようと意気込むと、面食らう部分があるかもしれません。
しかし、「新時代の新しい考え方」としてアップデートしていくことは重要なことなので、そのためのたたき台として読んで頂ければと思っています。

少々長い話になるので、前編と後編に分けます。
焦らず、ゆっくり読み進めて頂ければと思います。

NFTコレクションのグロース(成長)を、スタートアップ(起業)的な切り口になぞらえて、
「Web3.0では、変えていったほうが良い部分がありそう」
という点を浮き彫りにするための比較をしてみたいと思います。

ロードマップを描き、他人に説明する

前提として、
一般的なスタートアップは、赤字状態でも成長に向けて数年走るために、プロダクトやサービスを作る前や作った直後にエンジェル投資家やVC(ベンチャーキャピタル)から出資を受ける必要があります。
そのためには、「これから何をして収益を上げるのか」を、色々な角度から説明しなければなりません。

ロードマップは、必ず書こう

具体的には、
「3ヶ月後に「XXXXXX」を実行して、1年後、3年後には売上・営業利益はこのように上がっていきます!」
というロードマップ事業計画を書く必要があります。

ロードマップはとても重要なものです。
ロードマップを書くことは、投資を引き出す以外にも重要な意味を持ちます。

それは、
「"自分達は、何をしたいのか?"について、他人に言語化して伝えることが出来るレベルまで明確化させる過程で、自分たち自身も、よりハッキリとビジョンを認識することが出来る。」
ということです。

また、"ロードマップ"は、仲間が増えてコミュニティが大きくなるに連れて、その効果が段々と大きくなっていきます。
NFTコレクションは個人のアイディアからすぐに生み出せるものかもしれませんせんが、そこには表面上ではわからない様々な思いが込められているものです。 コレクションに込められた想いや願いは、その創造主以外の第三者は、外から見ただけでは理解することができません。
そこで、ロードマップが効果を発揮するのです。

面白いことに、創造主が創り出したときには気づかなかった未知なる可能性について、応援してくれる仲間が言語化していくことで、途中からそのNFTコレクションが目指すべき道が拓けてくることもあります。

こうしたことをスタートアップでは、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」 などを定める2泊3日の合宿で、議論を交わしたりします。
これは、日本だけでなく、本場シリコンバレーでも大事にされている文化です。

ビジョンとは?

言葉の定義は実は色々あるのですが、私が起業当初、孫泰蔵さん(@taizoson)から教わったことは、
「ビジョン」は、そのプロダクト(やサービス)でどういう世界を実現しているか?を考えれば良い。
ということです。

例えばそれは、
「自分たちのNFTコレクションが世界中の著名人のTwitterアイコンになること」
といった具体的なものだったり、
「NFTコレクションを通じて世界の人に笑顔になってもらいたい」
といった抽象的なものでも構いません。

要するに、自分や仲間がテンションが上がるものを設定すれば良いのです。

ミッション、バリューとは?

「ミッション」や「バリュー」も色々な定義がありますが、いずれも「ビジョン」を実現するために行うことや強みを整理するためのものです。
「ビジョン」はフワッとしがちなので、
「具体的にどんなアクションをすることで、それを実現するんだっけ?」
ということを、仲間やコミュニティ内で共有して理解を深めるものです。

「世界を目指す!」の"世界"とは?

よくある議論として、「世界を目指す!」というけど・・・・
もっともっと、解像度を上げなければいけません。
世界って、英語圏?北米?
人口が10億人超えている中国語圏やスペイン語圏も、「世界」なの?

まず、キーワードを定義することが重要です。
人によって「世界」のイメージが違っていると、
「同じ方向を向いているつもりでもアクションが全然変わってくる」
といった弊害が起こります。

『言語化すること』のメリットは、こうした日々のアクションを、仲間やコミュニティで統一のマインドで進められるようになるということなのです。

言葉の定義が決まった後に決めるべきコト

仮に「世界=北米だ!」と決まったとしましょう。
そこから更に、
「北米で流行らせたいなら、何を強みにするのだっけ?」
「時差もあるから現地に拠点を構える必要があるかも」
といった論点も出てきます。

そして、

  • メンバーが日本人だけだと、文化や風習がわからないかも?

  • ネイティブにアンケートしてみる必要があるのでは?

  • 現地の仲間を見つけてコミュニティに参加してもらうのもいいかもしれない。

  • じゃあ、北米に出張してヒアリングしてみようよ!

  • でも、西海岸と東海岸だとどちらが主ターゲットになるのだろう?

  • アートはNY東海岸だけど、アニメは西海岸が流行っているとも聞くし・・・

  • もしかしたら、日本人のコレクターが多すぎると、本場からすると違和感を感じるコレクションになるのかも?

  • そもそも、英語でNFTコレクションを紹介できていないかも

といった感じで、仮説分岐や、やるべきコトが次々と湧き上がってきます。

また、

  • あれ?そもそも、手元の資金力からすると、いきなり海外は無謀なのでは?

という現実的な課題にも直面するはずです。

  • そもそも本業があるから出張とかは難しいな……

  • 現地時間に合わせた生活もムリだから、本業を辞めてコミットしなければいけないかも。

といった壁にもぶつかり、人生を変える決断を迫られる場面に出くわすこともあるでしょう。

スタートアップでも、最初は副業的にはじめて、途中でバンジージャンプするような気持ちで本業にケリをつける勇気・覚悟が求められる場面もあります。
市況を「2022年にNFTが本格化する」と予測すれば、リソースを増やしていくために資金調達も含めて検討する必要があるかもしれません。

「国内の制約を超えて海外拠点を作り、まずは2年間走り抜けてみる」
という選択をするチームもあるでしょう。
こうした”選択肢”は、実はいまも目の間に無数に存在しています。
そして、意識していなくても、「する/しない」の意思決定を連続して行っていたりします。

NFTコレクションの収益化戦略

現状の収益化の種類

  1. NFT作品の一次販売

  2. 二次流通のロイヤリティ還元

  3. 公式グッズの販売

  4. 独自トークン売買益

  5. ブランド利用のロイヤリティ(ゲーム化/映画化など)

といった種類があると思います。

海外でうまくいっているトップNFTコレクションは、「2.二次流通のロイヤリティ還元」の収益が大きいと思われます。
日々の取引数が増え、フロア価格が上がっていけば、OpenSeaなどを通じて自動的にロイヤリティ還元が入ってくるようになります。
そのため、注目されブランドが高いコレクションを創出できると、一端のビジネスとして回り出すのです。

二次流通のロイヤリティ

次は、「2. 二次流通のロイヤリティ還元」を伸ばしていくことを、逆算的に考えていきましょう。
例えば、実現のためのKGI(達成したい目標)は、

  1. OpenSeaのフロア価格を上げる

  2. 取引数を増やす

ということ等が思いつきますよね。

日本国内では、高いフロア価格でも購入してくれるNFTコレクターはまだまだ少ないので、海外コレクターに買ってもらう必要があるよね、などの整理です。

海外コレクターは、現在だとDiscordやTwitterスペースなどで直接リーチできる好環境なので、OpenSeaやTwitterなどで有力そうなコレクターのリスト化を行います。

作成したリストに基づき、ひとりづつアタックしていきます。
スタートアップ的には、10人アタックしたら1人がファンになり購入するとすれば?
CVR(コンバージョン率)は、10%となりますよね。
毎日頑張って3人にアタックしてくと、20日で60人となり、6人の海外コレクターがファンになってくれる!
といった仮説が作れます。

「10%」という確率は仮の想定なので、実際に動いて実績を元にして数値を精緻化していきます。
コミュニケーションがすごくうまい方であれば、CVRが10%でなく20%になるかもしれません。
そうすると、1ヶ月で6人ではなく12人になります。
一方、とにかく数をこなせる方であれば、1ヶ月120アタックすれば、12人の海外コレクターのファンが増えていくということになります。

そして、アタックする人手を2人、3人と増やせると、このペースを早められたりします。

後編へつづく

・・・だんだん戦略的で定量的になってきて、つまらなくなってきましたね?

私も、こういう細かな計算は、初期では不要だと思っている派です。
なので、あくまで参考程度にして頂けたら幸いです。

今回はこれくらいにして、次回(後編)は、『NFTコレクションの収益化戦略』といった項目から続きを書いていこうと思います。

ぜひ、最後までお付き合い下さい。


※この記事は、パジ(@paji_a)の発信をもとにかねりん(@kanerinx)が編集してNFT記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)


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