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ニセモノのNFTを見抜く方法(詐欺に遭わないための知識)

今回は、ニセモノのNFTを買わないための対策についてです。

NFTの売買に携わっていると、ニセモノのNFTを買ってしまったという話を見聞きすることがあります。
現状のNFTでは、人気クリエイターさんのNFT作品をダウンロードして、それを勝手にNFT化して売ってしまうといった事が、いともカンタンに出来てしまいます。
詐欺師達は、ご丁寧にも、OpenSeaのコレクションページも本物ソックリに用意して、購入者を騙そうとしてきます。
NFTとはいえ、画像等のデータは誰でもダウロードできますから、カンタンにニセモノをNFT化して販売できてしまうわけです。

・偽造を防ぐ方法は無いのか?
・NFTは、偽造の温床になるのでは??

今回は、そんな疑問の声に答えていきたいと思います。

結論から言えば、

・ニセモノNFTの販売は、防げない。
・しかし、ポイントを抑えれば購入者が本物を見極めることはできるから、気をつけよう。

です。

ニセモノNFTを作って売る行為は、詐欺罪

前提として、他人の著作物を勝手にNFT化して、本物のフリをして売る行為は日本の刑法上も詐欺罪(刑法246条)に該当する犯罪です。
本物のフリをしてニセモノNFTを出品し、お客を騙して事実誤認させ、財産上不法の利益を得る行為。
これは、いわゆる「二項詐欺」に該当すると思われます。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
出来心では許されませんので、決してマネしてはいけません。

ニセモノの見分け方

悪意ある誰かが、

・某有名クリエイターのイラストデータをダウンロードして、
・クリエイター本人のフリをしてNFT化した

とします。

他の人から見ると、「本物のイラストデータ」と「ブロックチェーン上に刻まれたコントラクト/ウォレットアドレス」は確かに存在するため、一見すると本物かニセモノかは、見分けが付きません。

現状、それに対抗するには、売る側(クリエイター)と買う側(コレクター)双方が気をつけるしかありません。

クリエイター側ができる対策

・クリエイター本人の公式SNS(Twitterなど)や公式サイトなどで「公式のコントラクト/ウォレットアドレス」を公表する。
・このアドレス以外で販売されているものは、全てニセモノなので購入しないように!と促す。
・SNSはハッキング被害に遭いやすいため、可能な限り公式WEBサイトも用意して周知する。

なお、クリエイターの公式SNSが乗っ取られて詐欺ページに誘導される事例が多発しているため、

・SNSのアカウントは必ず二要素認証を適用する。
・パスワードを強固な文字列を使う ・パスワードは、サービスごとに全部変える。(特に、SNS各種、Discord、WEBサイトのパスワードを分ける)

といった基本を抑えることが重要です。
SNSが乗っ取られてしまうと、販売ページへのリンク等が全て詐欺サイトへ書き換えられてしまうため、フォロワーさんにSCAMをばらまくことになります。
詐欺の片棒を担がされないように、自分のファンの方々を守るためにも、セキュリティ対策はキッチリやりましょう。

購入者側が気をつけること

購入者は、公式サイトやSNSで公表されているコントラクトアドレスと、購入しようとしているNFTの「コントラクトアドレス」が一致するかどうかを確認することにより、本物とニセモノを区別することができます。

OpenSeaの公式認証マークの有無も参考になりますが、より確実にチェックするのであればコントラクトアドレスの確認です。

OpenSeaの場合は、以下の場所に記載されています。

公式のSNSやDiscordコミュニティでは、アカウントに乗っ取りが起きていないか警戒します。
SNSやDiscordに比べて、WEBサイトの乗っ取りは起こりづらいため、可能な限り公式WEBサイト上の情報とのクロスチェックを実施しましょう。

Adobe社の取り組みとDID

先日、AdobeのPhotoshopもNFTマーケットプレイスで制作者を証明できる機能「Content Credentials」を発表しました。
メタ情報にクリエイターIDを加えて、OpenSeaなどでAdobeが認証したデジタル証明書を表示することにより、そのデータの制作者が公式であることの証明がしやすくなってきます。

関連記事:フォトショップ、NFTに対応──クリエーターのデジタル証明書を発行

https://twitter.com/paji_a/status/1459798640323555328

Adobe社は、社会的信用の高い会社です。
しかし、分散的なブロックチェーンの思想からいうと、Adobe社という中央集権的な信用だけによって、クリエイターIDの「確からしさ」を担保することは、十分とはいえません。
仕組み上、Adobe社の一存によって改ざんができたり、事故によってデータベースが破損することもあり得ます。

そこで期待が高まるのが、「DID」(分散型ID)の仕組みです。
DIDは、ブロックチェーンを活用し、非中央集権的・分散的にIDを管理することができるのです。

まとめ

「ニセモノに対抗するための施策の現在地」については、ざっくりと、次のように理解すると良いと思います。

・NFT化する創作物をゼロから作り販売するまでの全過程を、
・公式であることを証明しながら、
・非中央集権的に、ブロックチェーンで管理していく

という流れで進んでいる。

NFTはまだ荒削りながら、いま見えている課題は徐々に解決の方向で発展していっているのですね。
今はまだまだ過渡期なので、様々な問題が浮上し、不安になることも多いでしょう。
しかし、浮上した問題は新しいサービスや技術により着実に改善されていきます。
そして、その改善スピードは非常に速いです。
現在はまだ人力で注意喚起を促し、買う側も細心の注意を払う必要があり気が抜けず、マジョリティ層のNFTマーケットへの参入を遅らせる原因にもなっています。
やや不便感はありますが、気をつける文化を育みながら楽しみましょう。
今後の技術革新に期待ですね。


※この記事は、パジ(@paji_a)の発信をもとにかねりん(@kanerinx)が編集してNFT記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)

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