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NFTコレクションをどう売っていくべきか #3「時間経過を味方につける」

今回も、「NFTコレクションをどう売っていくべきか」シリーズ。
シリーズ最後の今回は、需要に関するテーマを深掘りします。

結論、供給を絞って盛り上げつつ長生きしましょうという話です。

関連記事:NFTコレクションをどう売っていくべきか #1「需要を見極める」
関連記事:NFTコレクションをどう売っていくべきか #2「価格設定戦略」

正確な需要は、SNSやメディアのエンゲージから推測

NFTコレクションを売り出すまでのプロモーションも兼ねてSNSを活用すると、より精緻に「需要」を見定められます。
自分のNFTコレクションへの「需要」は、SNSやメディアでの、ふだんのエンゲージ(「いいね」「リツイート」「リプライ」「コメント」数)などからざっくり推測できます。
彼らはお金を払ってくださる購入層なので、「投稿に対するアクション」という非常に熱量のある方たちを基準に、厳しく試算するのがコツです。

さらに加えて、TwitterやDiscordで、

①このイラストのNFTコレクションに、興味はありますか?
②メタマスクウォレットに、ETHはいくら入っていますか?
③OpenSeaで、どれくらいNFTを購入したことがありますか?

という趣旨の質問をしていくと、NFTコレクションを購入してくれそうな人数や割合が分かってきます。

仮に、いまNFTコレクションを売り出したとき、「販売しているよ~情報」にリーチできる人が平均1000人いたとしましょう。
その中から、「絶対購入してくれそうな人」が、このアンケートを元に、1%いると推測したとします。
すると、1000人中の約10人の購入候補者がいそうだな、ということがわかりますよね。

ちなみに、こうしたアンケートを取ってもそもそも"反応がない"という段階の場合は、別の手を考えた方が良いでしょう。
具体的には、オリジナルのNFTコレクションを売り出す前に、人気のある作品の「二次創作(ファンアート)」によるNFTコレクションにトライするほうが、成功していく道筋が開けるはずです。
この視点については、また別の機会にまとめます。

参考ツイート:https://twitter.com/paji_a/status/1446263649283182596

なお、二次創作品を制作する際は、それぞれの版権元のガイドラインに従う必要があるので要確認です。
CryptoNinja NFT は、その点、意図的に緩めのガイドラインが設定されているので、ファンアート作品制作の入り口としてハードルが低いです。

関連:CryptoNinja NFTファンアートガイドライン

NFTの売買プラットフォームは、急速に使いやすく進化する

「NFTを購入してみたい!」と思っても、現状のUI&UXでは、購入までのステップが複雑・難解です。
無事に「購入ボタン」までたどり着けたとしても、GAS代(手数料)が高すぎたりして、購入前に脱落する人が多く発生しています。
ここは改善が待たれるところで、NFTが本格化するまでにまだまだ時間がかかる要因にもなっています。

しかし、逆に、楽観的な見方も出来ます。
気長にNFTコレクションを提供&運営しているうちに、使いづらかったところがどんどん改善されて開発が進んでいくので、とてつもないスピードで使いやすいものに進化していきます。
そういったシステム開発的な領域は世界中のエンジニア達に任せて、私たちはNFTコレクションに磨きをかけることに専念するべしです。

供給は、小出しにする

厳し目に見定めた「需要」(=絶対に買ってくれるだろう”購入候補者”)の数値を元に、供給量を考えていきましょう。
仮に、「世界中で10名は購入するだろう」という目論見を立てたとします。
その場合、10個を最初から一気に販売するというのは、NFTコレクションを中・長期で育てていく視点では、もったいないことです。

「需要」に対して、ぴったりの「供給」をすることは、一見とても誠実で顧客満足度が高まるようにも見えますが、NFTコレクションに必須かつ重要な"ストーリー"が生まれません。
「なかなか手に入らず、念願がかなってTwitterアイコンにできた!」
というような購買体験は、苦労せず手に入れた場合と比べて、喜びもひとしおなのです。

例えるなら、「お得意様にしか販売しないハイブランドのバッグ」と同様です。
入手困難で誰もがうらやむような、ハイセンス・ハイクオリティ・ハイプライスなNFTを、人々はより求めるのです。
カンタンに手に入ってしまうと、ストーリーの価値が乗らず、平凡化するのです。
このように、NFTコレクションは設計が自由な分、プロデュース力が大いに試されます。
何も考えずにただ売っていてはダメなのです。

例えば、
 ・絶対買いたい!と思っていたのに買えなかった。
 ・運命的なご縁で、特別に購入できた!
など、コレクションにまつわるサイドストーリーは、売り手が意図的に仕掛けることができます。
飢餓感マーケティングと言ったりもしますが、NFTコレクションを展開するときに、常に「需要」に対して物足りなさを与えるような「在庫数」や「売る頻度」は、ブランド構築に大きく影響します。

もう少し具体的に話します。
コレクション全体でNFTが100個(100種)あるとして、この100個をOpenSeaで最初から一気に全部販売するのは良くありません。
コミュニティを盛り上げながら、毎日(あるいは数日に)1個ずつ、ゆっくり販売していくと、購入してくれる10名の間に熱いバトルでストーリーが生まれていきます。
購入体験もドラマであり付加価値なのです。

そうしたドラマがSNS上で可視化されていくと、購入に悩んでいた層が自然にナーチャリングされ、購入候補者が15名、20名と増えていきます。
コミュニティ内でも苦労の末に手に入れたNFTコレクションであれば、「獲ったどー!」と歓喜の叫びが響き、その周りの興味が薄かった層にも好影響を与えます。

供給のレバーを巧みに操る

購入候補者の数が増えていけば、最初格安だった売値も徐々に上げていくことができます。
NFTコレクションの価格が上がっていくのは、初期購入者にも価値向上でポジティブです。
二次流通以降の平均価格やフロア価格も上がっていき、結果としてNFTコレクションの全体価値が上がっていきやすくなります。

需要に対して供給を絞ることは、マネジメントしやすい”レバー”です。
NFTは、まだイノベーターと呼ばれる1%くらいしか参入していない黎明期です。
供給を絞ることは、本格的な時代が到来するまでの時間稼ぎにもなります。
資本の少ない個人やスモールチームにとっては、時代の追い風やビッグウェーブに乗ることはとても大事なことです。

時間経過を味方につける

時代が新しいトレンドを支持すると、自然と業界全体の注目度が上がり、市場全体の参加者が増えていきます。
すると、特別なマーケティングやプロモーション費用をかけなくても、NFTコレクションの購入候補者が勝手に劇的に伸びていく可能性があります。
いまなら、時間経過さえも味方につけられるのです。

あなたのNFTコレクションの購入候補者が10名いると仮定し、今後市場全体の参加者が毎月1万人ずつ増えていくとします。
1万人のうち10%があなたのNFTコレクションに気付いてくれて、エンゲージのピラミッドから、1%が購入層になるとします。
そうすると、何もしなくともオーガニック(自然増)で毎月10名、購入候補者が増えていく、というようなイメージが持てます。

もっとも、この試算は割と無難で手堅い見込みです。
NFTコレクションは特性的にC2C(ユーザー同士の市場)でネットワーク効果を持ちます。
なので実際には、初期は毎月150%増など指数関数的な伸び方をするはずです。
すると、購入候補者が毎月30名、40名も新規に増える、といった現象が起こります。

市場が成熟した将来、一定のポジションが確立できているNFTコレクションは、より大きな注目を集めやすい。
だからこそ、いまの序盤期の運営が本当に大切です。
市場成熟期にOpenSeaで注目される指標は、社会的影響度を示す「流通総額」と「フロア価格」の数値(=ブランド力)でしょう。

そう考えると、いまNFTコレクションをいち早く始められているクリエイターのみなさまは、市場が本格化するときの一等星に輝く人たちなんだろうと眩しく見ています。
市場が本格化する景気は、日本国内ではTwitterアイコンのNFT認証機能が実装されたタイミングであると想定します 。


※この記事は、パジ(@paji_a)の発信をもとにかねりん(@kanerinx)が編集して記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)

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