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ENSを使って、自分の名前を取り戻そう

今回のテーマは、「自分の名前を取り戻せるNFT」ともいえる「ENS」について解説します。

NFTには、「ネット上のデジタルデータに在庫を定義する機能」があることは、これまで何度も説明してきました。

しかし、NFTには、まったく別の使い道もあるのです。
ブロックチェーンが持つ特性を活かし、従来型の”権威”に頼ることなく、ネット上のデータを”個人で管理”できるという効用です。

関連記事:ENSとは何か?メリットや使い道について解説

その名前は、あなたのもの?

あなたが、普段SNSなどで登録している名前がありますよね。
その名前が、”あなたのもの”ではないといったら、どう感じるでしょうか?
「登録しているだけだから特に困らないよ」
「ネットの名前を自分のものにするって意味不明」
と思う人が多いのではないでしょうか。
かくいう私も、数年前にこの質問をされていたら、同じ返答をしたと思います。

現実世界の名前

日本で生まれた人は、14日以内に所在地を管轄する役所に名前を決めて出生届をすることが求められます。
そうすることで、あなたは、日本国民としての名前を得られるわけです。
第三者が、あなたの名前を騙り、あなたになりすまして勝手に何らかの契約を結ぶことは、できません。(それこそ、犯罪です)
あなたの名前が、あなた個人のアイデンティティと紐付けられています。
これは、日本国民である限り、国家から「戸籍法」等で守られているあなたの権利なのです。

SNSでの名前

ネット上の”閉じた世界”の中で、各企業がこうした「名前(ユーザーネーム)」の管理を行っています。
例えば、このTwitterやInstagramやTikTokの名前は、各プラットフォーマーが管理しています。
だからこそ、同じ名前は重複登録出来ません。
時として、ネット上の「名前」は企業の都合によって、勝手に剥奪されることもあります。
ですが、そんなことは実際にはめったに起こらないため、多くの人たちにとってはデメリットは無いように見えました。
ENSが出現するまでは。

ENSでの名前

ENSは、NFTです。
つまりブロックチェーン技術で作られているため、『ネット上』のデータを中央集権的な権威に頼ることなく、個人が「名前データ」を保有することができるのです。
例えば、私のENSは「paji.eth」です。
ENSに対応したWeb3系のサービスでは、私のウォレットを接続するだけで自動的に「paji.eth」と表示されます。
ウォレットアドレスとENSが紐付けされており、この紐付けは固有のもので、ダブりません。

このことには、「Web3系サービスでは、いちいち名前を登録する手間が省けるし同じ名前が使えるので便利」というだけにとどまらない、深い意義があります。
その意義とは、「中央集権的な存在に、自分の名前等の個人にとって大切なデータを管理されていた状況から脱出できる」という点です。

そのことは、『ネット上』ではじめて、個人が自分自身のアイデンティのコアである「名前」を、自分自身で”管理”できるようになった、ということを意味するのです。
これまでのアカウント名だったデータは、自分自身をあらわす名前という重要なものにも関わらず、自分で保有していなかったのです。(企業が保有)

こうして話してみても、今まであまりにも当たり前に管理されてきたため、何がおかしいのかピンとこない人も多いかもしれません。

自分の名前の所有権を取り戻す

しかし私は、従来型の「自分の名前を、いち企業に管理されていた状況」がとても異常なことであったように思えてなりません。
自分自身をあらわす、もっとも大切な「名前」を自分自身で管理できず、権威(プラットフォーム)のデータベース上で、参照していただけだったのですから。

名前の所有権を、プラットフォーマーから自分自身へ取り戻すことができたのは、非中央集権的にデータ管理を分権化できるブロックチェーンのなせる技です。

ESNのようなフルオンチェーンNFTが行っていることは、超ざっくりいえば、「『ネット上』のデータをみんなで管理する」だけです。
従来、どこか1社が一括して管理していた状態から、世界中のみんなで管理する方式に移行しました。
こうすると、『ネット上』の「名前データ」を個人個人が管理することができるのです

ENSを使うことは、Webサイトやアプリで毎回新規作成していた”アカウント”を個人に取り戻すことに繋がります。
そのNFTを保管するイーサリアム・ウォレットを利用することになるからです。
アカウントが自分のものになれば、SNS側で個人情報などの流出は起こらなくなります。(その代わりに、自己責任となります。)

今後個人に紐づくあらゆるネット上のデータがNFT化されていれば、中央集権的な存在に頼らずとも、自分自身で管理できるようになり、データを自分の手元におけるようになるわけです。
これは、現実世界と同じように、『ネット』上のデータを本来あるべき姿=個人に取り戻す運動でもあるのです

ENSは、本来個人が管理すべきだった『ネット上』のあらゆるデータは、NFT=ブロックチェーン技術によって、中央集権的な存在から取り返していくんだというスタンスを世の中に提示したともいえます

すでに、SNS上のフォロー・フォロワー関係(=ソーシャルグラフ)をNFT化して、中央集権的な存在に管理させない動きなども出てきており、この流れは止まらないでしょう。

NFTは、使い方しだいで個人が『ネット上』のあらゆるデータを、個人で管理できるようにする技術として使われていき、徐々にあるべき姿に変わっていくでしょう。
本来的には個人が保管したほうが良かった、あらゆる『ネット上』のデータが、今後個人の手に戻されていく未来を考えると、ワクワクします。


※この記事は、パジ(@paji_a)の発言をベースにかねりん(@kanerinx)が編集して記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)


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