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NFTの発展がもたらす未来像について

今後、NFTはどういう発展を遂げていくのか?について、考えを語ります。

Web3(NFT)でパスワードを忘れたら致命傷になる

2022年4月時点では、企業やクリエイターやファンのブロックチェーン理解度が上がってきて、思ったよりも速いスピードで、よりNFTの真価が発揮できる理想的な展開になってきていると感じています。
私が、企業やファン(特に一般層)までNFTが浸透していくまでに、一番障壁になるだろうと心配していたことは、「ID・PASSの代わりにメタマスクなどのウォレット管理という新しい方式に慣れる必要がある」という点でした。

NFTをウォレットで管理することで、オープンにNFT+NFT、NFT+トークン、NFT+サービスが接続されます。
そうすることにより、「サービスx参加人数」で、指数関数的にNFTが盛り上がっていくことが期待されるのです。

この特徴は、クローズドなデータベースの”閉じた世界”では決して達成できないスケールをもたらします。
世の中にあるメールアドレスでログインするサービスで、「パスワードを忘れたことがない人」は、きっと存在しないでしょう。(私も何度忘れたことか…)
ただし、この「パスワード忘れ」は、Web3の世界では絶対に起こってはいけないことなのです。
秘密鍵を忘れてしまったたら、誰にも復元できません。
うっかり誰かに教えたり、落としてしまったら、他人のものになってしまいます。

Web2の今までであれば、プラットフォーマーや管理会社に連絡すればパスワードの再発行が可能でした。
Web3では、融通の利かない、この「究極の自己責任」である点が大きなデメリットでしょう。

ITリテラシーが高い著名人でさえ、「うっかり秘密鍵を忘れて、過去大量にあったビットコインを取り出せなくなった。」という人がたくさんいるのです。
こんなシビアな設計では、一般人はとてもついていけないのでは?と、過去の私は考えていたのです。

浸透のスピードが、想像を超えている

ただ実際には、メタマスクや代替ウォレットの利用は意外なほど早く進んできています。
もちろん、みんなが使い出したあとに、秘密鍵を忘れたり、うっかり他人に漏らしてしまったりすることで、”事件”は起こるのでしょう。
しかし、クラウド管理や複数人管理ツール、ブラウザ組み込み、ハードウェアウォレットなど、さらなるUX向上が今後期待できることもあり、光明が見えているともいえます。

次に気になっていたのが、NFTの利用用途の必然性と多様性でした。
2021年春先のアート作品の盛り上がりは、それを鑑賞するだけで作品として楽しんだり、資産性を帯びる(=価値の流動性)の側面で資産運用的な利用用途が目立っていました。
ただ、それはごく少数の人(基本的にはお金持ち)しか楽しめないシロモノでした。

次いで、ゲーム内のアイテムにNFTが加わったり、ゲーム系NFT、パスポートNFTなどの利用用途も出てきて、多様性が生まれました。

SNSのPFPとしてのNFT

そして決定的だったのが、TwitterなどSNSのプロフィールアイコンとコミュニティの参加権を組み合わせた、PFP(=プロフィールアイコン)で使うことを想定したキャラクター系NFTです。
インターネット上のデジタル生活の”顔”となるPFPに何を設定するかは、自己のアイデンティティを示す「ファッション」です。
Twitter社が英語圏で開始しているPFPのNFT昨日(六角形アイコン)は、今後他のSNSにも波及して行くと思われるため、そうなるとPFPとしてのNFT需要が爆発的に増えると予測します。

まだ国内外でNFTに懐疑的な声もある中で、この一歩はティッピングポイント(臨界点)を超えるに充分すぎる前進です。

日本は、実は世界で最もTwitterが利用されている国です。(実は米国はそれほどでもないのです)
企業・タレント・ビジネスパーソンから一般人まで、ネット利用者は全員Twitterに集結している様相です。
協調性の高い日本では、TPOやマナー的に、「TwitterアイコンをNFTにすること」が大流行する可能性があると見ています。

IPホルダーも動く

そうなると、キャラクターの権利(IP)を持つ”公式さん”も、動くでしょう。
つまり今後、キャラクターのファンから「Twitterアイコンで使いたい」という強い要請が多く集まることが予想されます。
そうすると、あらゆるキャラクターで対応していかなくてはというボトムアップの後押しになるため、公式さんとしても、ファンが求めているのならばNFTという新しい領域もトライしていこう、という流れになるはずです。

現在のウォレットの浸透度や将来性をしっかり見定めている公式さんは、イーサリアムのメインネットもしくはPolygonなどのL2チェーンでの進出をまずは最優先で検討することでしょう。
そうなれば、サポートに入る開発会社や代理店などと一緒に、メタマスクなどのウォレットの管理を行うことになるはずです。

かつて、あらゆる企業が代理店などのサポートを受けながらTwitterに公式アカウントを取って運用するようになりました。
それと同様にして、企業公式のウォレットアドレスを作成・管理していくことになるでしょう。
そうなると、NFTという広大な土地に、公式さんがNFTを生み出す工場(の住所)を持つことになります。

メタマスクウォレット決済などに慣れている人であれば、OpenSeaという巨大なショッピングモールで直接買い物もできるでしょう。
OpenSeaは、先日クレカ決済にも対応し、高かったハードルが、かなりのスピードで下がってきています。
ピザ屋の持ち帰り的なイメージで、Etherscanで直接”工場”からNFTを購入する未来も、ありうるかもしれません。

繰り返しますが、今後は、TwitterのNFTアイコンなどにより、強い需要が生まれ、公式さんがメタマスクなどウォレットを直接(もしくは間接的にでも)操作・管理できるようになるでしょう。
そうすると、周りの関係会社、コンテンツ領域ではグッズ&ゲームメーカーや個人クリエイターやファンも、ID・PASSよりも便利なウォレットの方向に寄っていきます。

ファンアートとしてのNFT作品

NFTを購入したいファンや、NFTを二次創作で盛り上げたいクリエイターについて考えてみます。
彼らの活動が活発化するためには、もっともっとハードルを下げる必要があると考えていました。
つまり、「ID・PASSやクレジットカード/コンビニ決済など、いわゆるこれまでのeコマースの感覚でのNFT購入からの導入でボトルネックを解消する必要がある」と考えていました。
しかし、現実には、思っていたよりも早く未来に進みつつあると感じています。

現実には、オリジナルキャラクターでNFTコレクションにトライするイラストレーターや二次創作クリエイターは、自ら手探りでウォレットを作り、ETHなどの暗号資産をゲットし、OpenSeaで出品までこなしてしまう方の数が、思った以上に多いのです。
黎明期で情報も少ない今、決して低いハードルではないと思うのですが、難なくこなしてしまう人が多かった。

そして、情報発信者の功労もあります。
クリエイター達の動きに歩調をあわせるようにして、丁寧な解説記事や解説動画等のコンテンツが充実してきました。
このことにより、確実に参入ハードルが下がりつつあります。
もしかしたら、インターネットのモデム設定くらいの感覚で、分かっている人が教え合うことで、カンタンにキャズム(※イノベーター理論参照)を超えてしまう可能性があるぞ!
と、感じています。
”価値”の移転が行いやすいNFTであるからこそ、なおさらです。

Web3の便利さは、不可逆的

企業・クリエイター・ファンの3方向から、NFTや暗号資産が徐々に直接ウォレットで管理されるようになっていきます。
そうなると、今後は、サイトごとにID・PASSを管理する必要がなくなり、「DID(分散型ID)」など自分の情報は自分で管理するという、次の時代に移り変わっていきます。

ウォレット接続では、従来型のメールアドレスやパスワードの管理が不要になります。
他にも、決済でさえも数クリックで済み、NFTやトークンをさくさく購入できてしまうので、一度この体験をしたら、あまりの便利さに元には戻れなくなってしまうことでしょう。
留意すべきは、管理上の安全面のみです。

ウォレットの管理リスクはありつつ、この気軽さでさまざまなサービスと連携していく未来は、最近さかんに叫ばれている「パスワードレス」なインターネット体験への始まりす。
その人数が増えすぎた場合、OSやブラウザも無視できない存在となり、最終的には組み込まれることでしょう。

そうなると、そもそもインターネットに繋がる時点で、ウォレットが管理され指紋認証や生体認証などを活用して、「あなたがあなたである」ことの確からしさを元にサービスへログイン(接続)できます。
そして、何かを買ったり、贈ったりしようと思えば、”お金”をすぐに支払うことができる新時代に突入するのです。
Dmailといったサービスを使えば、Gmailのような使い心地で、メールと一緒にお金やNFTを送ることさえできるようになるでしょう。

NFTは、コンビニに行ってスマホでキャッシュレス決済するような気軽さで、購入したり贈ることができ、そのNFTの中身は、どんどん最小化・細分化していくことで、あらゆるデータがNFT化していきます。

何気ない行動に価値が還元されるようになる

そうして、ネット上での生活が、リアルと同じく”価値の重さがある”ようになっていきます。

例えばTwitterのようなサービスで、役に立った情報などに対して、「いいね」や「リツイート」することにも、これまでとは意味合いがかわってきます。
サービス自体の盛り上げに貢献していたり、サービスの価値を高めてくれる利用者に対しては、有益なツイートをする投稿者にも薄く価値が還元されていく可能性があります。
現在も行われているVTuberなどへの「投げ銭」はこの走りといえます。

いまは、当たり前のようにインターネット上で無料で何かを行っていたとしても、今後は変わっていくでしょう。
それが人に役立つアクションであれば、今後は価値が還元されていくようになるかも知れません。

価値の交換という観点で、広く浅く、あらゆるネット上の行動が価値になっていく時代。
それが、今後のWeb3において、新しい体験を生み出していくのだと思うと、とてもワクワクしませんか。


※この記事は、パジ(@paji_a)の発言をベースにかねりん(@kanerinx)が編集して記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)

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