記憶に残るゲームを掘り起こしたら、変なところにこだわる自分を再確認した
高校生の頃、夢中でプレイしていたゲームがあります。
そのタイトルは『音楽ツクール かなでーる2』です。
「ツクール」という単語で皆さんが想像されるのは「RPGツクール」だと思います。そしてRPGツクールで作られたゲームと言えば「青鬼」がメジャーでしょう。
わたしは、プレイステーションで発売された「RPGツクール3」を持っていました。自分で考えたキャラクターを、自分で考えたシナリオどおりに動かしていく。そのためにプログラムを組んでいくような感じ。
それが、RPGツクールです。
そして肝心の「音楽ツクール かなでーる2」について。簡単に言ってしまえば、音を打ち込んでオリジナル曲を作ることができるというもの。DTM(デスク・トップ・ミュージック)というやつですね。DTMって、PC、パソコン、キーボードなんかの周辺機器を揃えるだけで結構大変なイメージですけど、音楽ツクールはゲーム機とソフトだけで、ある程度のことができてしまうものでした。
現物を実家の押し入れから出してきました。
発売元は、アスキー。
紛うことなき、プレステのディスクです。わぁ、懐かしい!
取扱説明書で、このゲームのやり方を見てみましょう。
メイン画面は「スコア=楽譜」。そこに、音符を置いていく。
スーパーファミコンの「マリオペイント」も楽譜に音符となるマーカー😀を置いていくものですが、イメージはそれに近いかな。
音楽ツクールは本当に純粋に曲を作るゲームソフトです。自動作成なんてしてくれません。地道にコツコツ自力で楽譜に音を入れていきます。
もうお分かりの通り、このゲームの前提は【楽譜が読めること】です。これはもう、朝ドラ「エール」の古山くんなら、あっという間にゲームをマスターして曲を作れますね。
『音楽ツクール かなでーる2』で作った曲は「RPGツクール3」にデータを移して使うことができます。なので、シナリオもBGMもオリジナルのゲームを作成することができるわけで、わたしは最初はそのつもりで「音楽ツクール」をプレイしていました。
ところが、あることがきっかけで、プレイする目的がズレていきました。
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わたしはエレクトーンを習っていました。高校生当時、エレクトーンのアンサンブル大会用に自分が弾くパートの練習していました。(エレクトーンの大会については過去note参照)既存曲であればCD音源を聴いて曲の全体像を掴み、自分のパートを理解することで、弾くイメージが湧きます。
ところが、その時はオリジナル曲で音源が無く、パート練習をしていても、わたしが一体どのように弾けばいいのか、アンサンブル曲における自分の役割が分からず、それゆえ練習に身が入らず、結構困っていました。
しばらく手探りでエレクトーンの練習を続けていました。しかし、どうしても頭の中がぼんやりとしていて。なんとか、このオリジナル曲全体を耳で聴けないだろうか... そうすれば、練習に気持ちが入るのに。モヤモヤ。
わたしの手元には「全パートの楽譜」と「エレクトーン演奏用のリズムパーカッションデータの記録されたフロッピー」がありました。
そしてある日、ひらめきました。
そうだ! 全パートの楽譜を『音楽ツクール かなでーる2』に打ち込んで、リズムは耳コピすれば、音楽ツクール上で曲を完成させることができる! そうすれば、いつでも聴けるじゃないか!!
ここから、地道な作業が始まりました。まず、アンサンブル6人分のパートの打ち込み。これは楽譜があったので、楽譜そのままをプレステのコントローラーでコツコツと入れるだけでOK。そして音色を指定して、クレッシェンドなどの強弱も付ければ完了です。
次にリズムの打ち込み。これは楽譜がないので、エレクトーンで再生したリズムを、耳コピで紙の楽譜におこす。それをさらに音楽ツクールに打ち込む。
順調にリズムを打ち込んでいましたが、ここで問題が発生しました。曲は5分弱。リズムデータを入れるとデータ容量が大き過ぎて、セーブできないことが判明したのです。結局、1曲を3分割することにしました。なので、6人分のパートの打ち込みも、やり直しになってしまいました。
こんな中途半端なところで挫折するわけにはいきません。せっかく曲の全体像の半分が見えたのです。見えたのだから最終的な全体像を聴かないと、もっとモヤモヤしてしまいます。
わたしは、さらに打ち込みにのめり込みました。土日は『音楽ツクール かなでーる2』に没頭。DTMに休日を費やす女子高生。当然、外に遊びに行くなんてしませんでした。テレビの前で、紙の楽譜とゲームの楽譜の両方と、にらめっこ。
そして、やっとこさ3分割したデータが出来上がりました。
しかし、ここでも納得できないことがありました。曲を聴くのに、データ1をロードして聴いて、次のデータ2ロードして聴いて、次の... なので、1曲全体をスムーズに聴くことができませんでした。
ここまでくると、意地でも”3データが繋がった完全な1曲”として完成させたくなりました。ブランク無しの繋ぎ1曲にするには、どうしたらいいのか。しばらく思案していました。
そして1か月後、ふとアイデアが浮かびました。
”外部出力”が使えないだろうか。
テレビの外部出力でラジカセに入力接続して、ラジカセから曲を流す。それをMDに録音する。これを1データごと3回繰り返して、ブランクをカットして1曲に繋げればいい!
これだ! 完璧な作戦でした。結果、作戦は大成功。無事に、この世に存在しなかった音源を手に入れることができました。そして、エレクトーンの大会も、無事に終えることができました。
... そんなわけで『音楽ツクール かなでーる2』は、とても思い出深いゲームです。ちょっと変なハマり方をしていたので、きょうだいからは変な目で見られていました。でも、好きな作業をコツコツ続けて、途中で壁に当たって苦しみながらも完成させたモノの愛しさは、相当なものでした。
~余談~
さて、取説に戻ってみましょう。後ろの方のページには、かつての「Aコン」の告知が載っていました。
グランプリの賞金の桁が1つ違うような気がします。時代を感じます。次のページを見てみましょう。
あれ? これは!!?
祁答院先生のコープスパーティーが載っていました! おぉ…
懐かしいソフトを掘り返したら、今も続いているゲームの始まりを発見してしまいました。祁答院先生すごいなと改めて思いました。
(おしまい)