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生まれて初めて挫折感を味わわされた話

生まれつき体が弱く病気がちだったわたしは、3歳からスイミングスクールに通わされていた。

体力がつくように、と。

水泳は楽しかった。
息を吸い、顔を水に付けて、手を伸ばし、足をバタバタさせる。前に進む。
泳げる距離が少しずつ伸びてくる。
25mプールの縦幅(25mのことですね)ではなく、横幅を往復する形で泳いでいた。

楽しくて仕方なかった。

小学校1年生のとき、水泳の先生に「今日からこのクラスだよ」と言われた。
スイミングスクールでは、級ごと、つまり自分の実力に合わせたクラス分けをしていた。(今もそうだと思います)
わたしは言われたクラスで先生の指示どおりに泳いだ。
苦しくて、途中途中に立って休憩する。
すると、後ろから泳いできた人が「どけよ」と言って追い抜いていく。
それが1時間続く。

わたしは、5,6年生と一緒に25m(縦幅)を延々と往復させられていた。

初めて25mを泳ぐ。初めて50mを泳ぐ。初めて75...100...

苦しい。辛い。休めば「どけよ」と怒られる。

レッスンが終わった後
「嫌だ!辞めたい!」
母に泣きながら事情を話した。

大好きな水泳が大嫌いになった。
生まれて初めて、大きな挫折感を味わった。

なんでわたし(7歳)は11~2歳のお兄さんお姉さんと同じクラスになったの?なんで?ねぇ、なんで?先生が信用できなくなってしまった。

母が先生に理由を聞いたところ、
「泳ぐ才能があるとみて、上のクラスにしました。」とのこと。
選手育成のためでもあったらしい。

仮に泳ぐセンスはあったとしても…

体力は1年生と6年生では全然違うじゃん…
そんなの小学生でも分かるわい!

目標を高く持つのは良いでしょうよ。
でも、高すぎはダメだ…
自己肯定感が低くなっちゃうよ。
わたしは だめな にんげん... こうして自信をなくしていきます。

世の教育者・指導者に言いたい。
生徒に期待するとき、それはあなたのエゴではありませんか?
指導方法は、生徒の実力に見合っていますか?

無謀なことをやらせてはいませんか?

それから2年後、わたしは別のスイミングスクールに入った。

そこで楽しく泳いでいたら、ある日、選手育成コースに移らないか?と言われた。

速攻拒否した。
大人に利用されるのはごめんだ。
わたしはただ楽しく泳ぎたいだけなんだ。

(おしまい)