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横手市長のダメ出し!?から生まれた若者向け出会い応援施策とは


横手市の出会い応援施策

秋田県横手市の若手職員を中心とした検討プロジェクトチームによるマッチングアプリの利用補助を含む出会い応援施策について、横手市経営企画課の坂元さんと土田さんにお話をお伺いしました。

お二人は令和4年度に発足した「よこての未来創生プロジェクト」メンバーとして人口減少の課題に取り組んでおり、昨年若手メンバーからマッチングアプリに関する企画が立案され、今回の施策実施にいたりました。

若者出会い応援(インターネットマッチングサービスの利用助成)
若者交際応援事業(交際費用の助成)

行政がマッチングアプリの利用料金を助成し、利用料金の一部を「横手にぎわい商品券」として支給するという地元経済循環にも寄与する画期的な取り組みです。さらに、デート費用の支援策も用意されているなど、まさに若者の出会いや恋愛を後押しする施策となっています。

若者出会い応援(インターネットマッチングサービスの利用助成)
若者交際応援事業(交際費用の助成)

ポジティブもネガティブも、さまざまな反響が

ーー今回、「マッチングアプリの助成」という新しい、ユニークな施策を発表されましたが、その反響や反応について教えてください。

6月1日の施策開始に先立ち、5月末にプレスリリースを配信しました。秋田県内では新聞2社とテレビ2社に報道されました。

多少の「ネガ」はありましたが、概ねポジティブに受け入れていただき、「思い切ったことをやった」「是非、利用したい」などの反響がありました。

はじまる前は、議会や年齢の高い方から「マッチングアプリは出会い系サービスと同じではないか」といった意見がありました。

事業の開始後は、「子育てにこそ税金を使うべき」との声もありましたが、これに関しては、「「マッチングアプリの一部助成」だけが少し目立ってしまった印象を受けています。

横手市としては、令和4年度から子育て支援の一環として家事代行サービス利用に対する支援などもはじめており、保育料の助成や学童保育事業の実施などさまざまな子育て支援施策をすでに実施しています。また、企業誘致などにも力を入れているので、あくまでも若者支援の中で、ひとつの手法としてマッチングアプリ補助があると説明しています。

横手市の人口減少の要因について

ーー人口減少は全国レベルの課題ですが、横手市として要因として何が考えられますか?

秋田県横手市では、平成25年当時の人口が約10万人(出生数は537人)に対して、令和5年には約8万人まで減少しており、出生数も当時の半分に減少していることに、非常に強い危機感を持っています。

コロナ禍も出生数減少の要因になっていると思いますが、未婚化や晩婚化、晩産化がそもそも拡大している状況で、さらに大都市圏への女性の流出も進んでいます。横手市でも企業誘致などにも力を入れていますが、雇用の課題も大きいと考えています。

出会いの機会促進に関するこれまでの取り組みと課題

ーー横手市としては、若者に対してこれまでどのように出会いの機会創出を取り組まれてきましたか?

若者の交流推進策として、これまでも飲食店での出会いイベントの補助などを実施しています。そのほか、新婚さんに5万円のお祝い金の交付や結婚から2年以内のカップルに(カップルの)紹介で新婚カップルが生まれた場合は、さらに5万円のお祝い金がもらえる制度を令和2年度まで実施していました。

ただ、若手職員の意見として、いかにもな結婚を意識したイベントへの参加が「恥ずかしい」「気後れしてしまう」「敷居が高い」といった意見も多かったため、交際中のカップルも参加できるイベントなども検討、企画しています。自然な流れで出会いたいという意見もあり、結婚を前面に出しすぎないイベントなども企画、実施する予定です。

マッチングアプリを採用した施策が生まれた背景

ーー今回、マッチングアプリの助成という施策が生まれた背景、決めてなどを教えてください。

スマホが当たり前の社会で、若手の市職員の間でもマッチングアプリに興味があるが、料金が高いという意見がありました。

地方の若者の可処分所得などを考えると料金は少し負担になるのかなと思います。また、東京などの都市圏と比べてまだ地方での利用者が少ないので良い出会いが少ないのではないかという声もありました。

市が後押しをして、認知が拡大し、会員が増え、良い出会いが増えることへ繋がるという意見が若手職員からあり施策に繋がりました

ーー複数アプリを対象とした補助、地域商品券との組み合わせなどの施策を最終的に採用した決め手は何でしたか?

実は、最初にプロポーズを後押しする事業を高橋横手市長に提案したところ、「そのカップルはきっと補助がなくても結婚する。思い切った対策に踏み込まないと多くの若者の心に響かない。人口減少・少子化対策ではなく、婚姻数や出生数の増加に繋がるような事業を」と、若者の結婚支援を考える上での芯を食ったダメ出し(笑)があり、急いで別の案を検討することになりました。

そこで、神奈川県の事例なども参考にしながら、今回の施策案を急いでまとめました。

ーーそんな背景があったのですね!地域商品券で助成というアイデアはとてもいいですね。

出会いやデートが地元消費につながることで、地域経済が循環すればいいなと思っています。

ある記者の方が地方におけるマッチングアプリの利用はとてもリアル感があると言っており、納得感がありました。

地方の出会いに関する課題としては、若者が集まるコミュニティやスポットが地方には少ないので、就職してしまえば、職場で適当な出会いがない場合、そのまま職場と家を往復するだけで、人間関係などが固定化して時間が過ぎてしまうことが多い傾向にあります。そういった意味で、職場以外の出会いの場を増やす必要があると感じていました。

「マッチング」という形がいきなり「交際」などと違って敷居が低い点も、若者が思い描いている出会いの形にあっていると感じてます。

施策の成果として目指すもの

ーー今回のマッチングアプリ利用補助やデート費用支援の施策が、どのような成果にたどり着けば「成功」となるのか、教えてください。

「少子化」の要因はいろいろあるので、この事業や施策ですぐに、成婚や出産数の増加になるとは考えてはいません。

市としては、これまで若者に対する支援が少なかったと感じているので、まずは若者の意見を聞き、それをしっかり反映させた多様な施策を行って行きたいと思っています。今回の施策は、若者に対するメッセージとして発信し、しっかりそれが若者に届くことを目標としています。

市が若者に向き合っていることを発信し、理解を促進することで、若い人たちに安心して、「横手市に住んで、いずれ家族を持とう」と思ってもらえたら良いなと思います。

少子化という課題が大きすぎるので、やってみることがとても大切だと考えています。その反応をみて、次の手を検討したいと思います。

横手市の魅力について

ーー最後に、是非、地元秋田県横手市の魅力について教えてください。

都会より四季がはっきりしていますね!夏の匂いがしたり、秋空が広く広がったり魅力的な景色が多いです。その恩恵として、新鮮な野菜や果物が多いです。

横手市の四季のさまざまなイベントはこちらをご覧ください。
​​https://www.city.yokote.lg.jp/miryoku/index.html#enjoylistwrap

おすすめのスポットは、横手市増田まんが美術館ですね!

横手市増田まんが美術館

日本で最初のマンガの原画をテーマにした美術館で、48万点以上のマンガ原画が収蔵されています。日本を代表するマンガ原画の美術館です。

ーーデートスポットとしても活用できそうですね!横手市の出会い応援施策の取材に答えていただき、ありがとうございました。