XX話_テレジア➁
そこから彼女と濃密な時間を過ごすようになった。移動のほとんどは彼女の白い軽自動車で、彼女が好きだった洋楽をかけながら、ドライブがてらにあてもなく動き回っていた。僕の運転は荒く、よく彼女に怒られてた。
付き合い始めて、1-2か月あまりが経過した時に、彼女を抱いた。一回目は震える彼女を抱きしめがら、衣服を脱がせていくのだが、下半身が反応せず失敗に終わった。僕自身、振り返ってみると緊張していたのかもしれない。心の繋がり、そんなものを意識していた。そこから二回目に挑戦した時は、失敗が嘘のように求め合った。そこからは、若さも相まってか、何度も何度も彼女を求めていった。
そんな時に、元カノから連絡があった。
「妊娠した」
元カノとは、彼女と付き合い始める数日前に関係を持っていた。心当たりがあったが、私はそれを最初認めることができなかった。時間の経過とともに、元カノの焦りも募り、地元のワルに相談したらしく、共通の友人から「やばいぞ」と連絡があった。情けない話だが、そこでようやく観念した。
両親に頭を下げて、事情を話しお金を借りた。そのお金を渡す際に、元カノからエコー写真を見せてもらった。
どこかで元カノを疑っていた、その子と別れる原因になったのは、その子の浮気がきっかけだったから。心のどこかで「おれじゃない」と思っていた。
でも、涙目で写真を見せられ、自分のした過ちを悔いた。元カノに謝罪をした、表面上は許してもらえた。(今となっては別れ際の笑顔の意味は見いだせない)
その帰り道に彼女と会った。全部話をした。泣きじゃくる彼女にただ謝るしかなかった。その彼女の涙には、僕のこと、そして自分の体験と二つの出来事が重なって泣いていたのだと感じた。