1話_幼少期
誕生から成長
私は、とある日本の片田舎で雪の降る日曜日に生を授かりました。
両親は共に30代の半ばに差し掛かっており、両家ともに長子であったため
待望の長男が生まれたと歓迎され、たいそうに可愛がられて育ちました。
決して裕福ではない、所謂中流家庭であったため、物心がつく頃には共働きの両親との時間よりも年の近い妹と共に、周囲の大人と一緒に過ごしていた時間の長さを感じずにはいられませんでした。
それについて、年を重ねてから恨んだり、振り返って寂しい思いをした、、なんてことはありません。
むしろ家庭的に豊かではないなかで、そうして育ててくれたことに今となっては感謝をしている次第です。
それでもある程度、両親との時間が取れるようになった頃、ある時、母親から言われました。
「覚えていないかもしれないけど、昔、○○のおばちゃんに預ける時に
『僕たち、今日はどこに行くの?』と言われたことが辛かった」
今となっては対して記憶にないのですが、それでも幼少の頃にはそれなりの寂しさを感じていたのかもしれません。思い返せば、私は周囲の大人の顔色を伺う、そんな子供だったのかもしれません。
古い記憶
一番古い記憶は妹が生まれる、2歳8~9ヶ月頃に祖父と父と3人で母が入院している病院に訪れたこと。2人が窓越しに母と生まれたばかりの妹を見ている様子を下から見上げていたのを覚えています。
大人の腰ほどもない身長の私がひたすらに2人を見上げているだけでした。
もしかしたら抱っこして窓越しに見せてくれたのかもしれませんが、今覚えているのは下から見上げる2人の姿だけです。