2話_少年時代
1話 https://note.com/paintoyou/n/n1c85e88d32fd
冬に生まれた私は、同学年と比べて体力に劣っていた。
4月生まれの同級生と比べると成長も遅かった。
また周囲の顔色を気にする小心者であったため遠慮しがちの性格だった。
体力に勝る同級生には勝てない。道下を気取って笑いをとることを、いつの間にか覚えていた。喜怒哀楽のうち、笑ってる時は攻撃されない。
何とか生き抜くために、姑息な手段といえ、長いものに巻かれるしかない、そんな風に思っていた。
小学校にあがる前、祖父を亡くした。初めて身近な人の死に触れて、どうしようもなく悲しい気持ちになったのを覚えている。それまで、私はその祖父のことをどこかで恐れていた。
何か粗相があれば怒られる、そんな恐怖にも似た感情を抱いていた。その祖父が亡くなった後に、祖母や両親から話を聞く。口数は少なかったけど、お前が小学生になるのを本当に楽しみにしていた。
そう教えられて、「僕はなんてことをしてしまったんだ」と後悔の念に苛まれたのを覚えている。長子としての自覚、それを5歳ながらに強く感じた。
またその時に父親に教えられた「簡単に死ねって言うな」その教えは長く、僕の心に刻まれることになった。
相手の心を傷つけないように、相手に良く思われたい、そんな風に考えるようになったのは、割と昔からだったのかもしれない。