"長編小説 『じゃんだらりんの国から』 第2話 「真夜中の恐怖の雪隠」"
賑やかだった団欒は一変し、皆子と兄の武は父に怒鳴られ、武のほうは父に訳もなく、その場にあったカルピスの瓶で頭を思いっきり殴られた。
「イテェー!イテェなクソ親父!」
父に殴られた瞬間、皆子の目には、武の眼から青い火が出たように見えた。
危険を察知した皆子は、その場にいた妹を連れて家を飛び出した。
時間は午後8時頃。真っ暗で明かりが殆ど見えない夜道を必死に、皆子は小さな妹をおぶって必死で逃げ回った。
殴られてのたうち回っている武を庇う余裕もなく、他の兄弟も危険を察知し、家から逃げ出した。
皆子が家を飛び出して、15分くらい経ったところで、お寺の近くで、他の兄弟と合流し、近くにあった汲み取り式のボロい便所にみな隠れて、追ってくる父から身を隠した。
「みんな、静かにね。もう少し我慢していてね。」
皆子は、兄弟みなを近くの雪隠に隠れさせたが、その便所は今にも壊れそうな床で、ミシミシと激しい音を立てて、子どもたちを恐怖へと駆り立てた。
「おねぇちゃん。怖いよ。臭いし、もうここから出たいよ。」
「みんな、もう少し。もう少しだから我慢してね。」
寺の雪隠の床は限界に達していた。
すると次の瞬間…!
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