人間というもの: 簡単そうでいて簡単ではないこと

自分の価値で生きることは簡単そうで簡単ではない。価値とは自分が信じる譲れないものだと解釈しておく。

自分の価値で生きることは、芸術に対する考え方から見出そうと思う。

何度か記事にしたが、エミール.ゾラは、芸術について「重要なのは、好かれるか嫌われるかではなく、己であること、自らの心を赤裸々に見せること、一つの個性を精力的に表明することなのだ。」
とする。

評価しないものとして、
「取るに足らない器用さ、計算ずくの媚び、研究を通じて学んだものや熱心な仕事ぶりで親しみやすくしたもの、ある人物による歴史的な芝居じみた行為のすべて、別の人物による芳香に満たされた夢想のすべてである。」
としているが、日常生活にも見られる姿だ。

人が最も嫌い最もやりがちなことと同じであることがわかる。

重要なのは「力強くかつ独自の精神」で生きることだという。
それを実践し続けることは簡単ではない。他人の目を気にしている限りそう生きることはできないことに気づく。

「自分がどう思われるか」というのは学生時代から刷り込まれ、社会人になってから更に強化される。

「己であること」は難しく「力強くかつ独自の精神」で生きるとなると至難の業だ。

評価を気にして器用に立ち回り、不満を抑えながら媚を売り、理屈によって自分を際立たせ、自分の利益になる人を目ざとく見つけ、虎の威を借る狐のように振る舞うことを選びがちだ。

私はその心理を拒絶して「己であること」「独自の精神」に従って生きることを選ぶ。

簡単そうでいて簡単でないとはこういうことなのだろう。