忘れてしまう歌
知らなかったの
覚えたてだった言葉は
失った時を得るように
鋭さを保ちながら
答えなんて無いみたいに
思い出させようとしてくる
このナイフが刺すものが
心臓では無いのなら
痛みが見えるように
涙を赤く染めてくれ
色んなことがあったの
地上から湧き出る熱気は
無くしたものを返すように
鈍さを掻き乱しながら
この綻びと引き換えに
鮮やかさを無くしていく
この指先が示すものが
最善では無いのなら
悲しみが分かるように
心を氷へと変えてくれ
影を追うつま先が怖かったから
覚えたてだった言葉を使った
色を持たずに爪痕を残す
そして笑っていた時のことを
また思い出してしまう
このナイフが刺すものが
心臓では無いのなら
痛みが見えるように
涙を赤く赤く染めてくれ