告白はポカリスエット1
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おれは僕とは言わない。
僕とはへりくだる下僕と言う意味を皆知っているのだろうか?
おれは俺と呼称しないのは中島らもが自らをそう呼称するから、其れに習ってそしている。
(俺という呼称はオラオラしている感じで嫌いだ)
おれは高校二年になった。
正直この不気味な清潔感の風紀に支配される学校がうんざりしている。
所属している美術部はおれ以外、皆女の子であり、皆非常に発育が良いが魅力を感じない
(おれ以外に男が一人居るそうだが偏屈な嫌われ者らしく、一度も見た事が無い)。
一年の最初の頃はカッコイイとも言われたりして結構人気があったけれど、次第にそれは薄れていった。
義務教育の呪縛から解放されて浮かれた時期もあったが、
時間が一学期も経てば何もかもが退屈であり学校へ行く楽しみが無くなっていた。
これは、そんな日々から少し距離を置こうと部活をサボって河川敷に一人遊んだ日からの話だ。
学校の近くの河川敷には変なおじさんが居る。
「ねぇ女の子たち~、ぼくのくじ引き引かない?」と通学する女子達に遠くから声を掛ける冴えないハゲオヤジ。
女子達は誰もそのくじ引きをやらない。
カップルを見ると「いいな~違う性別の生き物と一緒に居られるなんて」とか言う。
いつも同じスーツとネクタイだ。
この河川敷は敗者の集う河川敷だ。
吹き溜まりとも?言うのか?
同じ高校のカバを思わせるカップルが仲睦まじく歩いている。
(上手くいっているカップルは似て来ると言う)
太った女の子は大きなグレーのリュックを背負っている。
弁当でも入っているのだろうか?
それを羨ましそうに不細工なオタクの男二人が見やる。
「津田君、不細工なカップルだね」と太ったオタクが羨ましそうに言う。
「黒山君……ぼくたちも不細工だよ……」と痩せた骸骨みたいな津田と呼ばれたオタクが言う。
黒山と呼ばれたデブがしょんぼりとする。
二人は聞き知った美少女ゲームの話を始める。
この河川敷には変な奴、冴えない奴、時代遅れのヤンキーしか寄り付かない。
いけてる奴らは駅前のショッピングモールに寄るからだ。
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