創作の貧しさの中の幸せの中のさ…… ~創作の系譜17~
おれって最低賃金以下の生活してるけどさ、
結構、豊かな生活をしている。
一日1・5食だけど毎日、酒は飲んでるし、
元シェフだからさ、
気力さえあれば美味しい物を作って食える。
美味い物を沢山知ってるからこそ、
美味い物を作る事が出来る。
クリスマスにはローストチキンを焼いたり、
ホワイトソースからグラタンを作ったりもする。
御節料理だってカマボコを綺麗に切り分けて、
ささやかでも御節を作って、
ローストポークを焼いたりもする。
今日だって厚揚げをオーブントースターで、
アツアツのカリカリに焼いた物に、
大根おろしを乗っけて、刻み生姜を添えて、ポン酢で食ったら凄く美味しかった。
おれの住んでる所は高級住宅地と団地が沢山あって、
貧富の差が激しく、スーパーの品揃えもニーズに合った品ぞろえがされている。
(スーパーによりけりだけれど)
特売日には鶏の胸肉が100gで58円で売られるし、
ブラジル産の鶏モモ肉は100gで68円の時もある。
鶏肉ばんざい!
住宅地のど真ん中の商店街には激安のディスカウント・スーパーがある。
賞味期限があと一日のカップ麺が9円とかで売られてたりして、
そりゃあ、もう買うしかないっしょ!
パスタが400gで88円とかだよ?
トマト缶とコーン缶が100円しなくて、
赤タマゴが150円で買えるんだよ?
100円以上買えば9円のモヤシを幾らでも買えるし、
コシヒカリの新米が1480円で買えるんだ!
”酒米激安”って店があって、
リキュール系が一瓶おおよそ千円未満で買える素敵な店があるしな。
(今じゃ、「いつもありがとうございます」って言われちゃうくらいに馴染みになっちゃったよ)
創作して食っていくには貧しさは付き物だ。
トキワ荘はもちろんの事、
CLAMP先生方だって六畳のワンルームにギュウ詰めで漫画を描いていたって言うじゃないか!
(確か、押入れを開け放たないと足を延ばして眠れないとか?)
おれはAmazonで作品を売っていた時だって何も変わらなかったぞ!
だけど、おれん家はどういう訳だか”おしゃれ”だそうだ。
公団住宅の2DKを少し改造しただけなんだがな。
不要なフスマを取り払って、ウッドカーペットでフローリングにしてインテリアを統一しただけだ。
2DKをでかい1LDKにしただけだ。
照明は暖光色にしてカーテンと寝具とタオルを黒で統一しただけだ。
テレビが大嫌いだから、キャビネットに中古の水槽を置いて間接照明でライトアップした。
収納に収まり切らない服をキッチリ分けて、ハンガーはモノトーン系にして古着屋みたく並べている。
寄り集まる白いTシャツの掛かっている部分には昔使っていた黒いビッグストールを被せて隠している。
どしても空調上外せないフスマにはフライヤーやメモ書きを貼っている。
食器もニトリ、イケア、ダイソーだが、そうは見えないモノをチョイスしている。
(作家友達が飲みに来た時に、ダイソーのタンブラーをバカラ?と言われたりした)
あんまり買えないし、良いものも少ないのだが、
衣料量販店のおばちゃん服をゴージャスに着ている。
ヤフオクもよく利用している。
貧しい。
だけれど、カネは無いけれど、
美味しいものは食べてるし、
生活を楽しんでいる気はする。
明日、そこそこ売れてる作家友達が家に飲み食いに来る。
最高に美味しい安料理でおもてなしするのが楽しみだ。