木に括られた仔象2

酩酊

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1997年の何時だったか?

おれは17歳の時にヤクから一先ず足を洗った。

やめたくてやめた訳じゃない。手に入らなくなったからだ。

シッカリ覚えていないのは、もう常に何かにラリっていたから。

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よく酒を飲りながらゲームをやったものだ。

一晩にアーリータイムスなんかのハードリカーを1,2本空けるなんてザラだった。

未だ酒の規制が緩かった時代。制服を着ていても酒を売ってくれた時代。

家の前にあるグリーンクロスというドラッグストアは食品や酒も扱っていて、

バーボンやウィスキーの胃を焼きアタマを麻痺させながらも、

何とも言えない酩酊に誘う心地の良さは自慰行為の次に覚えた快感だった。

酒は絶望と将来への恐怖に満ち満ちたおれに対して自然に馴染んだ。

酒を飲りながらのRPGは実に架空の世界に溶け込んで、憎悪と恐怖に支配されたおれの深なる闇を忘れさせてくれた。

初めて酒を飲んだのは11歳の頃に口にした梨のワイン。

果樹園で形だけが悪く売り物に成らない梨を醸造しワインにした“梨のささやき”という銘柄だったのを覚えている。

梨の甘みがほのかに香りながらも少し辛口で少し冷凍庫で冷やして飲むと絶品だった。

700mlのビンを半分くらい干すと、少し顔が火照り何とも心地よく過酷な現実から張り詰めた思考を遠ざけてくれる気がして、それは時に力強くもあった。

それから実に24年間もの間、酒との付き合いが始まった時だった。

ある14歳の夜だった。

全てに絶望して、おれは酒を飲み始めた。

それが初めて味わう酩酊だった。

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