【読了】決算・監査コストの最適化マニュアル
第1部 監査コストをめぐる概要(近年における監査報酬の推移と今後の動向;そもそも監査報酬はどのように決まるのか?―監査報酬計算のメカニズム)
第2部 決算対応と財務諸表監査コストの最適化(監査対応・監査工数が劇的に減る決算時の内部統制;決算・監査対応コスト最適化のための内部監査のポイント;決算・監査対応を省力化するための経理業務改革)
第3部 内部統制評価と内部統制監査コストの最適化(内部統制対応コストの最適化;内部統制のマクロレベル評価範囲最適化の実務;内部統制のミクロレベル評価範囲最適化の実務;DX時代の内部統制―業務簡素化による対応コストの削減)
財務報告の信頼性に係るリスク(SOXで識別すべきリスク)
財務報告リスクの表現は、
という形式に統一した方が属人性が下がる
過払い、請求漏れ、売掛金の貸倒れなどは、ビジネスリスクではあっても、財務報告リスクではない
「コントロールが整備運用されていないことがリスク」という発想は典型的な誤解(チェックリストやコントロール目標などに基づいて内部統制を構築した組織にありがち)で、正しくは「リスクが識別されないならコントロールの整備運用は不要」
ここが混乱していると、リスク低減効果のない単なる業務行為までコントロールだと誤認してしまう
監査法人がやることを自社内でやっておく
監査法人による監査手続
リスク評価手続→リスク対応手続
・財務諸表全体レベルMMRの評価→全般的対応(企業環境の理解/ICFRの整備評価手続)
・アサーションレベルMMRの評価→リスク対応(ICFRの運用評価手続/実証手続)
※MMR:重要な虚偽表示リスク
このうち、実証手続に該当する一部の手続(以下)は、企業側が決算財務報告プロセス上のキーコントロールとして組み込むべき
・分析的実証手続
・レコンシリエーション
監査工数を削減するためのポイント
監査法人がFSやICを監査するにあたって、企業側のSOXチームの作業を利用(監査工数を削減)することができる
・整備評価手続:経営者評価の結果に基づきリスク評価する
・運用評価手続:経営者評価に使ったサンプルを監査証拠としても採用する
ただし、そのためには、以下の点について監査法人から信用されなければならない
・企業のICFR経営者評価機能について、品質管理の体制/プロセスが整備運用されていること
・担当者が参照して業務遂行可能なレベルのトレーニングやマニュアルがあるか?
・計画/評価範囲決定/評価(整備/運用/RF)における手続は文書化されているか?
・評価における有効性の判断基準は文書化されているか?
・各業務をどのように監督しているか?
・各成果物をどのようにレビューしているか?
ICFR経営者評価は評価ベンダにアウトソース/コソースされる商習慣があるが、品質管理の責任は企業側にある
決算業務のマクドナルド化
経理部門は、製造部門のひとつ(ステークホルダーのニーズに合わせて、会計情報を仕入れて、短いリードタイムで、品質を維持して、付加価値をつけて出荷する)だと見做せる
決算業務をマクドナルド化することが、決算早期化と決算監査コストの削減に繋がる