【読了】現役公認会計士が教える!決算書のチェックポイント

会計監査としての見方ではなくCFOとしての見方に着目した本


はじめに

会計監査する前に、企業の経理部門側で最低限やっておくべき自己点検

決算書チェックのアプローチ

決算書のチェックポイント

アプローチは2つ
①分析的手続:まず全体を見て気になる箇所をブレイクダウンしていく
②原始証憑のチェック:重要な証拠を確認して積み上げていく

原始証憑には2種類あり、原則的に外部証憑と突合する
・内部証憑(社内で作成されるもの):偽造が容易なため信頼できない(特に職務分離コントロールが弱い場合)。
・外部証憑(社外で作成されるもの):運送会社、仕入先、販売先、銀行、証券会社などが作成するもの。共謀がない限りは信頼できる。

バランスシートアプローチ

まずBS項目の金額を固めてから(資産と負債に間違いがないことを検証できれば、差額として*利益の金額が分かる)、その後にPL項目の金額を固める
なぜなら、
・BS項目:ストック、期末一時点のステータスをチェックすれば立証できる
・PL項目:フロー、期間すべての取引をチェックしないと立証できない

・財務諸表はBSが基点
・BSにおける「利益」の増減理由がPLで分かる:*PLの当期純利益の一部がBSの利益剰余金として組み込まれる
・BSにおける「現金」の増減理由がCFで分かる:PLの税引前当期純利益から営業CF/投資CF/財務CFを算出する(間接法)
・BSにおける「純資産」の増減理由がSSで分かる

資産項目のチェック

目に見えるモノと、目に見えないモノでは、検証アプローチが違う
・目に見えるモノは、現物管理&実査が原則
・目に見えないモノ(売掛金など)は、まずは分析的手続で異常がないか確認、重要な場合は証拠力の強い手続(確認など)を検討する

現金・預金

①SL(現金に関する補助元帳)の金額が、GL(総勘定元帳)と一致しているか?
・SL→GLが転記ミスしていたら、SLを検証しても意味がない

②SLの金額が内訳明細の合計値と一致しているか?
・SL時点で集計ミスしていたら、明細を検証しても意味がない

③現金出納帳(現金に関する補助記入帳SJ)が金種表と一致しているか?
・毎月末にに現金を「実査(実物調査)」し、金種表を作成して承認する(内部統制)

④入出金と記録の担当者は分離しているか?
・通常は、財務担当と経理担当で分離させる(内部統制)

⑤帳簿残高は銀行残高と一致しているか?
・毎月末に全ての口座に関して残高証明書を入手(「確認」)する(全て確認しないと簿外資産負債がないことを確認できない)
・銀行勘定調整表(Bank Reconciliation)を作成し、不一致の場合は原因を究明する

売上債権

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?
・特に「その他」としてまとめられている売掛金・受取手形に注意(不良債権を隠蔽しやすい)

③受取手形帳がSLと一致しているか?
・毎月末に受取手形と実査する
・不一致の場合、取立中/割引後/裏書譲渡後などの原因が想定されるため、以下を同時に確認して調整する
 ・銀行の取立依頼手形通帳
 ・受取手形帳(受取手形に関する補助記入帳SJ)

④売上債権回転期間は回収サイトと一致しているか?
・回転期間分析は、取引形態別(回収サイト別)に行わないと精度がでない
 ・売掛金(回収サイト:短)の回転期間=売掛金/(売掛金による売上高の平均値)
 ・受取手形(回収サイト:長)の回転期間=受取手形/(受取手形による売上高の平均値)
・回転期間が回収サイトと乖離している場合、原因を究明する(例:年次ではなく四半期次で分析する)
 ・売上に季節変動がある
 ・滞留債権がある
 ・売上の架空計上や早期計上が行われている

⑤必要に応じて、先方に残高確認手続を実施しているか?
・確認手続は分析的手続よりも証拠力が強いが、実務上、企業の経理部門の担当者の権限で行うことが難しく(先方に無視される場合が多い)、経営者や監査法人に依頼して行うことが一般的
・残高が不一致の場合、原因を究明する(まずは自社の処理を疑う)
 ・計上の基準が異なる(先方は検収基準で計上しているのに、自社は出荷基準で計上していた)
 ・取引単価が異なる(自社で売価を変更したが、先方に伝達漏れしていた)
 ・自社の売上が計上漏れ
 ・自社の売上債権が誤って消込された
 ・自社の売上が過大計上(不正)

⑥出荷基準を採用している場合、出荷伝票と請求書の金額が一致しているか?

⑦掛売前の与信管理、掛売後の滞留債権管理をしているか?
・滞留債権管理表(年齢調べ表)を作成して管理する

⑧会計基準に従って貸倒引当金を設定しているか?
・貸倒引当金は、評価制引当金であるため、厳密には負債ではなく、「資産の控除項目」

引当金の種類
・評価性引当金:資産の金額を減少させる
 ・貸倒引当金のみ
・負債性引当金:負債の金額を増加させる(未払金=将来的な支出の性質)
 ・賞与引当金(未払いな賞与)
 ・退職給付引当金(未払いな退職給付金)

棚卸資産

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③棚卸結果報告書と一致しているか?
・在庫管理の方法
 ・受払記録なし:実地棚卸高を以て帳簿残高とすれば終了、ただし棚卸まで損益が確定できず、在庫の差異分析もできない
 ・受払記録あり:実地棚卸高と帳簿残高の差異を分析する
・実地棚卸の方法:自社倉庫は実際にカウントしに行く、遠隔地や借倉庫の場合は在庫証明書を入手する
 ・リスト方式:在庫管理システムなどの統制が導入されていない場合
 ・タグ方式:在庫管理システムやタグコントロールなどの統制が導入されている場合
・想定される差異の原因
 ・実物のカウントを間違えた
 ・減耗があった(自然な減耗は売上原価に、異常な減耗は特別損失に算入する)
 ・出荷したのに売上に計上していなかった
 ・出荷していないのに売上に計上していた(不正):売上の過大計上にはインセンティブがある(押込み販売など)
 ・受領されたのに仕入に計上していなかった
 ・受領されていないのに仕入に計上していた:仕入の過大計上にはインセンティブがない
・会計監査では、立会(実地棚卸立会)が実施される

④回転期間分析を行っているか?

⑤滞留在庫管理を行っているか?
・滞留在庫管理表(年齢調べ表)を作成する

⑥棚卸資産(仕掛品を含む)の評価を行っているか?
・棚卸資産が陳腐化した場合
 ・もう販売できない:除却(廃棄)、除却損が発生
 ・値引きすれば販売可能:評価損

固定資産

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③固定資産管理台帳と固定資産実査報告書は一致しているか?

④減価償却費と減価償却費累計額は一致しているか?
・減価償却費の妥当性を検証するためオーバーオールテスト(概算値テスト)を行う

⑤減損会計は導入されているか?
・2005/4/1以降に開始する事業年度より強制適用

投資有価証券

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③有価証券管理台帳と有価証券実査報告書は一致しているか?
・管理事務の簡素化や紛失リスクを防ぐために、証券会社に預けることが一般的であるため、証券会社から預かり証保管証明書などの資料を入手する
・株式不発行制度を導入している企業の発行株式にはそもそも券面が存在しないため、株式発行会社から保有株式に関する資料を入手する

④有価証券の区分に基づき評価されているか?
・時価:売買目的有価証券、その他有価証券(市場性あり)
・償却原価:満期保有有価証券
・取得原価:子会社株式及び関連会社株式、その他有価証券(市場性なし)

⑤減損されているか?
・減損が必要:その他有価証券(市場性=時価の有無にかかわらず)、子会社株式及び関連会社株式
・減損が不要:売買目的有価証券(時価評価により評価損益が毎期PLに計上されるため)、満期保有目的有価証券(満期まで保有すれば額面金額で償還可能なため)

繰延税金資産

税効果会計
・法人税等費用を発生主義で捉えることによって、利益(会計用語)と所得(税務用語)の差が法人税等費用に与える影響を簿記技術で排除する方法

日本における一時差異の多くは、将来減算一時差異
(発生年度ではなく、将来の年度で損金算入される差異)
・貸倒引当金超過額
・減価償却超過額:例えばPCの場合、企業会計上は、実態として3年間で使えなくなる場合は、3年間で減価償却しなければならない(発生主義)。しかし、税務上は法定耐用年数(税法)は4年であるため、4年間に亘って減価償却しなければならず、除却(廃棄)した時点で初めて残りの費用を損金計上できる(債務確定主義)。

将来減算一時差異に税効果会計を適用すると、繰延税金資産が計上されることになる
「将来のある時点で損金算入される=将来のある時点での課税所得が減る=将来のある時点での法人税等費用が減る=将来のある時点で利益が出る」
という効果を先取りして計上していることになる

例:12万円のPCを減価償却(定額法)する場合
○会計
・1年目:4万=12万/3年間
・2年目:4万
・3年目:4万(残存価額0まで償却完了)
○税務
・1年目:3万=12万/4年間 1万(=4万-3万)は、減価償却超過額として将来減算一時差異となる
・2年目:3万
・3年目:6万 減価償却費3万、除却したため残額3万も損金算入可能

繰延税金資産は、将来的に回収可能性が見込まれない(課税所得が発生しない)場合には計上できない
(企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づき、5区分されている)

①SLはGLに一致しているか?

②SL(繰延税金資産AC明細書)は明細金額と一致しているか?

③SLと法人税申告書が一致しているか?

その他の資産

不正会計の隠蔽先としてよく使われる

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③現物もしくは原始証憑と一致しているか?
・目に見えるモノなら目視で確認
・目に見えないモノなら原始証憑で確認

③増減分析をしているか?
・ある期で網羅的なチェックをしていれば(その金額を監査法人も監査証明すれば)、翌期以降は増減した分の原始証憑のみチェックすればよいということになる

④仮払金が期末に残っていないか(適切なBS科目に振り替えられているか)?

負債項目のチェック

仕入債務

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③支払手形帳がSLと一致しているか?
・受取手形とは異なり、支払手形は手元に現物がないため、実査が不可能である
・そのため、支払手形のチェックポイントは、買掛金のチェックポイントと同じになる
・実査できないため、どうしても残高を検証したい場合は、先方に残高確認を要求することになる(が、実務上は困難なため、監査法人の確認手続に任せてもOK)

④仕入債務回転期間と支払サイトは一致しているか?
・仕入債務回転期間の分母は、厳密には「仕入高」だが、簡便法として「売上原価」を使うこともある(仕入高は開示されていないことが多いため)
 ・仕入高=商品仕入高+原材料仕入高+外注加工費など
 ・売上原価=仕入高+維持費+人件費+減価償却費など

⑥入荷伝票と請求書の金額が一致しているか?(3wayマッチング方式)
・自社購買部門→自社経理部門:注文書
・仕入先→自社購買部門:現物・納品書
・自社検収部門→自社経理部門:検収印のある納品書
・仕入先→自社経理部門:請求書
経理担当者は、3個の原始証憑を突合して、一致しているときのみ支払を承認し、財務担当者に出金依頼を出す

未払金

①対前年同期比較を行っているか?
・未払金は仕入債務ではない。年間を通じて経常的に発生するものではないため、回転期間分析は使えない
・しかし、一定の周期性がある場合は、対前年同期比較で原因がわかる場合がある

②原始証憑と突合しているか?
・未払金は取引数が少ないため、個別に突合する方法も有効

借入金

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③銀行等から取得した残高証明書と一致しているか?

④支払利息についてオーバーオールテストを実施しているか?

引当金

引当金は見積額であるため、実際に発生する費用とは異なるのが当然
特に退職給付引当金は、前提数値(割引率、期待運用収益率、退職率、一時金選択率、従業員の平均勤続期間、年金等の残存平均支給期間など)が少しでも変わってしまうと、年金数理計算の結果も変わる

貸倒引当金繰入額 / 貸倒引当金
賞与引当金繰入額 / 賞与引当金
退職給付費用 / 退職給付引当金

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③見積りの妥当性はチェックされているか?
・見積りプロセスは監査法人への相談に基づき整備されており、それに準拠している証拠(ドキュメンテーション)が残されているか

未払法人税等

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③残高明細上の勘定科目は整合しているか?

以下の勘定科目は相互に関連しているため、明細表もこれらの勘定科目でまとめて作成される
・BS:未払法人税等
・BS:繰延税金資産
・BS:繰延税金負債
・PL:法人税等
・PL:法人税等調整額

1.期首残高:前期末残高から転記
2.税効果戻入仕訳:
3.当期納付額:前期に計上した未払法人税等を消し込む。未払法人税等よりも多く納付した分は、「前期クッション」として記載する。
4.当期中間納付額:中間納付する金額を計上
5.法人税等調整額:期末の税効果仕訳
6.有価証券等評価差額金にかかる税効果仕訳:繰延税金負債を計上
7.期末残高:

④課税所得の計算過程(税効果会計の処理)をチェックしているか?
・法人税申告書の別表に記入している値が正確かどうか

1.期首(X1年10月1日):前期末時点の将来減算一時差異(それに基づく繰延税金資産)、将来加算一時差異(それに基づく繰延税金負債)
2.調整項目:前期末決算後、確定申告書の提出までに数値の誤りが検出された場合、法人税申告書上で税務調整を行い、正しい納税額を申告する
3.前期確定申告書(X1年10月1日)
4.当期戻入:期首計上した一時差異を全額戻入する
5.当期繰入:当期末における一時差異を記入する
6.当期別表4(X2年9月30日):税引後利益(当期純利益)からスタート→法人税等と法人税等調整額を足し戻す→税引前利益(税金等調整前当期純利益)を算出できる→当期の事業税を引く(事業税は損金算入されるため)→永久差異と一時差異を加減算する→当期の課税所得が算出できる
7.当期別表5(X2年9月30日)

⑤税額の計算過程をチェックしているか?
法人税/事業税/住民税ごとに、課税所得に基づく、
1.当期税額
2.中間納付(仮払税金)
3.期末残高
を算出する

当期税額にクッションを含めておく理由
・税額計算は手間がかかるため、決算修正仕訳などで課税所得が変更されるとやり直しになってしまう
・来期以降の税務調査で否認事項、更生、申告調整が発生することに備える
ただし、過大にクッションを含めすぎると、会計上の損益計算をゆがめてしまうため、適度な金額になるように見直すべき

⑥税率差異のチェックをしているか?
・表面税率:実際に企業が負担する法人税等費用の割合
・実効税率:理論上、企業が負担する法人税等費用の割合。税額計算を行う前に算出可能

表面税率と実効税率の差異を分析する
・永久差異
・税率差異
差異の原因がだいたい説明できればOK

繰延税金負債

繰延税金資産が回収可能性がないと計上できないのに対して、繰延税金負債は事実上必ず計上される
なぜならば、繰延税金負債は、課税所得が発生しているのに税金が未払い(将来的に徴税される)金額であるため、
将来的に課税所得が発生しないことが確実(例:事業休止など)でない限り、繰延税金負債は計上しなければならないから

企業が保有している有価証券のうち、売却予定がなく市場価格による評価が可能であるものは、決算日に時価評価することが義務付けられています。
このとき、評価の差額を損益として計上せず、「その他有価証券評価差額金」として資本に計上する点と、評価の差額に対する法人税等にあたる部分に税効果会計を適用する点が特徴です。
投資有価証券300 / その他有価証券評価差額金210 + 繰延税金負債90

その他の負債

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③現物チェック
・前受金:契約書、銀行口座の入金記録
・未払費用:経過勘定であるため、元となる費用項目を先に確認して、オーバーオールテストを行う(例:支払利息の金額×未経過期間)

④増減分析
・まずはどこかで現物チェックを行い、残高を精査する
・その後は、変動額のみをフォローすればOK

⑤未決済項目の振り替え
・仮受金も、仮払金と同様に、決済時には残高を残さない(原因分析して適切な勘定に振り替える)

純資産項目のチェック

資本

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③資本金は登記簿謄本と一致しているか?

④資本剰余金の構成経緯を確認しているか?
・資本剰余金は計上方法に決まりがないため、資本金のように簡単に確認できない
・一度監査証明を受ければ、その金額を基準として、変動額のみの妥当性を確認(証拠書類との突合)を行えばよい

資本剰余金
・資本準備金
・その他の資本剰余金
 ・自己株式処分差損益

⑤利益準備金は法定の繰入額だけ積み立てられているか?

利益剰余金
・利益準備金
・その他の利益剰余金
 ・任意積立金
 ・繰越利益剰余金:昔は「当期未処分利益」

⑥繰越利益剰余金の計算は正しいか?
・繰越利益剰余金=前期繰越利益残高+当期純利益
・繰越利益剰余金:当期末において、まだその処分が決定されていない利益額。株主総会での決議を経て決定される配当金や役員賞与の原資となるもの。 

⑦その他有価証券評価差額金は、税効果を考慮しているか?

PL項目のチェック

バランスシートアプローチにおけるPL項目のチェック方法

フロー情報であるPL項目において、全ての取引を網羅的にチェックするのは実務的に不可能
そのため、分析的手続がメインになる

売上高、売上原価、売上総利益

上場審査基準の要件のひとつとして、月次決算が可能なこと(翌月10日以内には締められること)がある
多くの会社は月次決算にコストをかけすぎているため、簡便法でOK

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③以下の分析により、要因について仮説を立て、検証しているか?
・指標
 ・科目自体の金額
 ・売上高総利益率(粗利率)=売上総利益/売上高
 ・売上高原価率=売上原価/売上高

・比較対象
 ・拠点間
 ・対前年同期
 ・月次推移分析(季節変動)
 ・予算と実績

④押込み販売(未出荷売上)はないか?
・期末付近の売上高が高くなる

⑤赤字案件は管理されているか?

販管費、一般管理費(SGA)

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③以下の分析により、要因について仮説を立て、検証しているか?
・対前年同期分析
・月次推移分析
・予算実績分析

怪しい点を見つけたらブレイクダウンして見ていく
・部門別
・担当者別
・相手先別

④1人あたり人件費をチェックしているか?
・人件費の内訳
 ・給与手当
 ・法定福利費

⑤可能な項目についてはオーバーオールテストを実施する
・販管費のなかでオーバーオールテストが可能な項目
 ・減価償却費
 ・支払ロイヤリティ(royalty)

⑥「その他」に異常データが含まれていないか?
・摘要欄
・支払先
・金額(マイナス金額)

営業外損益、特別損益

①SLはGLに一致しているか?

②SLは明細金額と一致しているか?

③原始証憑の突合をしているか?
・発生頻度が少ない取引であるため、個別取引を確認するのが確実
・例:
 ・有価証券売却益:証券会社からの取引報告書
 ・固定資産除却損:廃棄業者からの除却証明書

④利息についてはオーバーオールテストを実施しているか?

⑤その他に注意

CF項目のチェック

①計算間違いしてないか?
②BSとPLとの整合性はあるか?(特に「その他の~」科目の内訳に注意)

日本のCFは開示項目が多すぎる傾向あり
金額的重要性の低い科目は「その他の~」科目にまとめてOK

間接法による算出

①税金等調整前当期純利益:PLの税引前当期純利益から出発する

②営業外損益と特別損益の調整:PLを遡りまずは営業利益を出す
・受取利息
・受取配当金
・支払利息
・有形固定資産売却益
・固定資産除却損

③非資金損益項目(PL項目)の調整:PLで費用計上したうちキャッシュとして流出してない項目は足し戻す
・減価償却費
・引当金(賞与引当金、退職給付引当金)の増減額

④回収/支払サイト(BS項目)の調整:キャッシュが未回収な債権分は差し引き、キャッシュが未払いな債務分は足し戻す
・売上債権の増減額:売掛金、受取手形
・棚卸資産の増減額
・その他の資産の増減額:分記するほど重要性が高くない科目
 ・前渡金、前払費用:キャッシュを前払いしたので債権
 ・未収金、未収収益:キャッシュが未回収な債権

・仕入債務の増減額:買掛金、支払手形
・その他の負債の増減額:分記するほど重要性が高くない科目
 ・前受金、前受収益:キャッシュを前受けしたので債務
 ・未払金、未払費用:キャッシュが未払いなので債務
 ・仮受金、預り金

⑤営業利益以外に相当するキャッシュフロー増減額を記載(営業CF小計行以下)
・利息と配当金の受取額
・利息と法人税等の支払額

⑥投資CF
・有価証券の購入額/売却額
・短期貸付金の貸付額/回収額
・土地の購入額/売却額
・減価償却資産の増加額/減少額
・建設仮勘定の増加額/減少額
・無形固定資産の増加額/減少額
・投資有価証券の増加額/減少額
・長期貸付金の貸付額/回収額
・その他の固定資産の増加額/減少額
・繰延資産増加額

⑦財務CF
・短期借入金の増加額/減少額
・長期借入金の増加額/減少額
・社債の増加額/返済額
・株式の発行による収入
・自己株式の取得額と処分額
・剰余金の配当の支払額

BSとPLとの一致性確認

○営業CF
・税金等調整前当期純利益:PLの税引前当期純利益と一致するはず
・減価償却費:減価償却費はPL販管費とPL売上原価に分配されているため、両方を考慮する必要あり(特に製造業の場合)
・引当金の増減:在外子会社がある場合、為替の影響分だけズレる(為替変動がない限りあまりずれない)
・営業外損益と特別損益の各科目:PLの各科目と一致するはず
・棚卸資産、売上債権/仕入債務、経過勘定、未決済項目:在外子会社がある場合、為替の影響分だけズレる(為替変動がない限りあまりずれない)
・「利息および配当金の受取額」「利息の支払額」「法人税等の支払額」:未収未払の分だけPLの各科目とズレる(実際に受取/支払した金額であるため)

○投資CF
・有価証券や有形固定資産の売却額/購入額:各台帳の増減に、未収金/未払金分を調整した金額と一致するはず

○財務CF
・借入による収入
・株式発行による収入
・配当金の支払額:前期のSS科目と一致するはず

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