経理ドキュメントについて
簡易簿記
確定申告を青色申告で行い、最高65万円の特別控除を受けるためには、取引やお金の流れを「勘定科目」や「仕訳」によって詳細に記帳する複式簿記の作成が義務づけられています。
簡易簿記(白色申告で認められている記帳方法)は、簿記の知識がなくても家計簿的な感覚でつけることができますが、10万円の控除しか受けることはできず、メリットはありません。
・現金出納帳
・買掛帳
・売掛帳
・固定資産台帳
・経費帳:仕入以外の修繕費、地代家賃、税金、通信費、交通費、給料賃金、消耗品費などの必要費用を記入
↓
月別総括集計表:月別PL、複式簿記における試算表に相当
複式簿記
○主要簿
・仕訳帳:取引を発生した時系列で記録(原始簿 oroginal)
・総勘定元帳:仕訳を勘定科目ごとにまとめなおす(転記簿 post)
○補助簿
・補助記入帳:仕訳帳への記入時に、取引ごとの明細を記録
・補助元帳:総勘定元帳への転記時に、勘定科目ごとの明細を記録
○その他
・棚卸表
・固定資産台帳:個々の固定資産について、取得→減価償却→処分(売却や除却)の経緯を記録
・仕訳日計表:転記を効率化するため、個別転記ではなく日次で一括転記(合計転記)するために作成する
記録の順序
![](https://assets.st-note.com/img/1663386254734-NmP9Qr6QcK.png)
取引が発生したら、最初に、その内容は補助記入帳に書き込まれます。ただし、補助記入帳に記載のない勘定項目は、直接、仕訳帳に書き込まれます。
補助記入帳に記入された内容は、その後、仕訳帳に記帳されます。最後に、仕訳帳から総勘定元帳と補助元帳に転記されます。
補助元帳のなかでも、商品有高帳については補助記入帳から個別に転記されることがあります。
補助簿は主要簿を補う役目を果たしていることから、補助記入帳は仕訳帳から、補助元帳は総勘定元帳から転記すると誤解されることが多いので、間違えないようにしましょう。
仕訳帳(General Journal)
総勘定元帳(General Ledger)
補助記入帳(Subsidiary Journal)
・現金出納帳:入金伝票や出金伝票から転記
・小口現金出納帳
・当座預金出納帳:銀行口座別のやりとり
・売上帳:売上取引(値引、返品も含む)を記録
・仕入帳:仕入取引(値引、返品も含む)を記録
・受取手形帳:手形債権の発生から消滅までを管理
・支払手形帳:不渡を回避するため、残高と日付を管理
補助元帳(Subsidiary Ledger)
・商品有高帳(Inventory Ledger)
・材料元帳:商業簿記における商品有高帳に相当、継続記録法による材料消費量の算定に使う
・買掛金元帳(Purchase Ledger):仕入先別の買掛金残高を管理(債務管理)
・売掛金元帳(Sales Ledger):得意先別の売掛金残高を管理(債権管理)
単一仕訳帳制/複数仕訳帳制
手書きで簿記をしてた時代は、以下のような分類方法もあったらしい
・伝票会計
・帳簿会計
・単一仕訳帳制
・複数仕訳帳制
昔はパソコンがありませんでしたので、仕訳は手書きでした。
手書きで仕訳をする場合、大きな会社なのに、経理の人が一人で、すべての取引の仕訳を書くのは無謀です。そこで、担当者ごとに仕訳を記帳できる、特殊仕訳帳が生まれました。
① 経理の担当 → 普通仕訳帳
② 現金の担当 → 現金出納帳
③ 預金の担当 → 当座預金出納帳
④ 仕入の担当 → 仕入帳
⑤ 売上の担当 → 売上帳
⑥ 債権回収の担当 → 受取手形記入帳
⑦ 債務支払の担当 → 支払手形記入帳
特殊仕訳帳の簿記の問題は、7人で分担して記帳した内容を『まとめる』作業をします。
※現代の会社は、パソコンで仕訳を書きますので、実務では使っていません。
単一仕訳帳制
・仕訳を仕訳帳に記録する際に、必要に応じて取引の明細を補助記入帳に記録する
・仕訳帳から総勘定元帳に転記を行う際に、勘定科目の内訳を補助元帳に記録する
・主要簿である仕訳帳と総勘定元帳が一冊ずつしかないため、記帳事務の分業化ができず、取引数が多くなると対応が困難になるという欠点がある
複数仕訳帳制
・単一仕訳帳制の欠点を解消し、特殊仕訳帳を使用することで記帳事務の分業化を可能にした帳簿会計
・特殊仕訳帳(元帳に転記できるようにした補助記入帳)と普通仕訳帳(単一仕訳帳制における仕訳帳)で記録する
会計資料
取引が実在した証拠となる資料
外部から入手した会計資料を、特に証憑と呼ぶ
・預金通帳
・見積書
・伝票への記録その他メモ
・給与台帳
・出張旅費精算書
・納品書、請求書、領収書の控え(売上の証拠)
・請求書、レシート、領収書(費用の証憑)
財務報告プロセス
取引:明細突合(マッチング)、例えば、請求データを入金データで消し込む(債権管理)
↓
仕訳帳
↓
総勘定元帳
↓
決算整理仕訳前試算表:勘定照合(GL勘定科目と外部データの残高一致を確認)
↓
決算整理仕訳後試算表
↓
精算表
↓
BS/PL
↓
繰越試算表
おまけ
米国の有価証券報告書
・Form 10-K:米国市場において米国企業が作成する有価証券報告書
・Form 20-F:米国市場において海外企業が作成する有価証券報告書
・Form 10-Q:四半期報告書
・Form S-1:有価証券届出書(目論見書)
・Form 8-K:臨時報告書(適時開示情報)