なぜ私は「仮面ライダーガヴ」は、これまでとちょっと違うと思ったのか
2024年9月から始まった新しい仮面ライダー「仮面ライダーガヴ」がすでに8話の放送が終了した。私はアマプラで追っているので少し遅く、7話までしか見ていない。だが、一気に駆け抜けるように視聴をしてしまったのだ。
戦う理由の探し方
本作は仮面ライダーに変身する主人公が、今のところ人間ではないということになっている。それどころか、敵組織の家族の一員であったというせっていなのだ。
だから、なぜ彼が仮面ライダーとして自分の家族に立ち向かわなければならなかったのか、という動機づけがかなり難しいのだと思う。
序盤の展開での土台がため
1話から6話にかけては、なんとロードムービーのように主人公が一つの場所に定住せず、様々な地を転々としながら人間とのふれあいを中心に描かれていた。個人的には、ここはかなり丁寧に描写したな、と思った。
初めて行く場所に、初めて出会う人。彼らとの絆を育みながら、毎度なぜ彼は変身して戦わなければならないのか、という理由を探しながら物語を展開する必要があったと思う。
人間界に初めてやってきた主人公と、「仮面ライダーガヴ」という番組に初めてやってきた視聴者。お互いどういう状況かわからないまま、主人公とともに土台を作りながら物語を理解していく様は、我々が主人公に感情移入をするのにとても良い速度だった。
多くの人々と触れ合ったからこそ、主人公は戦おうと思うことができたし(物語的なご都合主義はおいておいて)その様子を納得することもできたと思う。
シリアスな展開が大人の興味を誘う。一方子どもは……?
「仮面ライダーガヴ」は、お菓子をモチーフにしたと思えないほど、シリアスな展開が続いていく。先程述べた主人公が自分の家族と戦う点もそうだが、お菓子のスパイスにするために人間の命を奪う敵組織、作られたお菓子をまるでドラッグのように求める敵怪人、二号ライダーに至っては母親も育ての親も犠牲になった上で人体改造されて変身能力を手に入れている。まあ、シリアス展開大好き大人には垂涎の設定である。
一方、メインターゲットの子どもにとってはどうだろう。見ていて楽しいと思えるのだろうか。ここはやはりお菓子がモチーフであることや、主人公が常に前向きであること、変身アイテムのゴチゾウが可愛いことでわりと相殺されているのではないだろうか。
大人が好きそうな要素と、子ども向けのポップな要素が、今は割と良いバランスなのではないのかな、と思う。
12話までの面白さは確信。それ以降は?
仮面ライダーに限らず、一年間の放送期間がある番組で一番怖いのは”中だるみ”だろう。どんなに物語のテーマが素晴らしいものでも、それを表現するのに適切な話数というものがある。つまり短ければ良いときもあるし、逆に長くしなければならないときもある。だが、一年間の放送では52話の26時間程度にまとめなければならない。
私はこの7話までの視聴で、四半期の面白さは確信した。だがその後どう話を展開していくのかは未知数だし、丁寧であって欲しいという思いがある。少なくとも、今のような楽しみ方を私はしていきたい。
だが、やはり「仮面ライダー」は子ども達のものなのだ。大人に受ける要素を引っ張り続けても仕方がない。子どもが好きなバトルや、新しい強化フォームや、追加戦士などどんどん出していってほしい。そして最後にうまくまとまればそれでいい。
どのように話をまとめてくれるのか、楽しみに待つとしよう。