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【特撮トーク亜種】なぜ私は「わんだふるぷりきゅあ!」が尊く思えたのか

 いつもは特撮について語らせてもらっているが、今回は少し趣向を変えて放送中のアニメ「わんだふるぷりきゅあ!」について話したいと思う。
(現在東映アニメチャンネルのサブスクで視聴中なので、7話までしか見ていないです)

第21作目プリキュア「わんだふるぷりきゅあ!」

 プリキュアシリーズは2004年から放送が始まった「ふたりはプリキュア」を一作目とする女児向けアニメシリーズだ。それまではあまり見られていなかった、主に女の子が本格的にバトルをするアニメとして話題になり、現在まで毎年新作のシリーズが作られている。
 かわいいながらも凛とした表情で、肉弾戦アクションで敵を倒す姿は痛快で、そのギャップもあってが女児だけでなく所謂「大きなお友達」にも人気のコンテンツである。
 今年の冬から放送が始まった第21作目「わんだふるぷりきゅあ!」も、現在39話まで好評放送されている。

「動物」「動物との絆」がテーマ

 様々な考え方があるとは思うが、個人的には第12作目「Go!プリンセスプリキュア」からプリキュアシリーズは明確なテーマ設定を打ち出すようになった。プリンセス、魔法使い、パティシエ、医者など、キャラクター達にプリキュア以外のテーマ属性を一つ組み込むことで、話の展開などに奥行きをもたせるようになってきたと感じている。

 さて本作「わんだふるぷりきゅあ!」のテーマは「動物」「動物との絆」だ。驚くことに、プリキュアの一人キュアワンダフルは、主人公が飼っている「犬」が変身した姿なのである。そして第一話でいきなり変身する。偶然視聴していた私は、まさか犬がプリキュアになるなんて思っていなかったので大層驚いた。
 だって普通、一話は人間が変身する、と思うじゃん。

衝撃的な展開の第一話「はじまりは「わんだふる!」」

 第一話のあらすじを簡単に説明しよう。
 パピヨン犬のこむぎと、飼い主の犬飼いろは仲良し。だが、人間と犬という違いに、こむぎは少し寂しさを感じていた。ある日遊びに来ていた広場に謎の生物・ガルガルが現れた。子どもたちを逃がすために、いろははガルガルをおびき寄せていたが、転んでしまいピンチに。そんないろはを助けようとこむぎが飛び出して……という感じだ。
 こうしてこむぎがプリキュアに変身していろはを助ける展開になるのだが、この一連の流れを視聴して私は妙に納得してしまった。
 それは、こむぎの変身に至るまでの流れである。

変身ヒーローの初回変身の理由

 個人的には、変身ヒーローの物語を展開するにあたり一番難しいのは、”なぜ彼女・彼は戦うのか”という点である。普通に考えれば他人が戦ったほうが自分は安全なので、わざわざ戦いに身を投じる必要はないだろう。だから、ここが一番説得力をもたせるべきところなのだと思う。
 これが例えば小説などであれば、ゆっくりと文字数をかけて描写して、最終的に変身に導けばいい。だが、プリキュアみたいなアニメーションや漫画など、一話の盛り上がりで絶対に変身させたい場合、少ない時間やページ数で組み立てなければならない。
 そういう意味では、これまでプリキュアが変身してきた個人の信条によるものや、偶然などによるものはあまり納得できなかった。
 だが、「わんだふるぷりきゅあ!」のキュアワンダフルは、飼い主を守りたい! という思いで変身した。これが私の中ではすんなりと腑に落ちたのだ。

物語の序盤から定義しておける信頼関係は少ない

 飼い主とペットの信頼関係は、親子関係や血の繋がりに似ている。なぜならそれはあるべきものであり、そもそも存在を疑わないものである。基本的に親子関係や血の繋がりは切っても切れないものであり、それはあるべきものとして扱われる(もちろん例外はある)。
 なぜ助けるか、それは飼い主が危ないから。これ以上ない、十分すぎる理由だったと思う。これこそが今作が伝えたい「動物との絆」であり、子どもたちが新たに得るわけではなく、すでにあることに”気づかせる”テーマ提起なんだと思う。

見どころはたくさんある「わんだふるぷりきゅあ!」

 今述べたこと以外にも、見どころはたくさんだ。例えば戦うときに決して相手を傷つけないようにしている(ガルガルはもともとは動物)点だったり、OPのラストカットが変身後の姿ではなく私服で楽しそうにしている姿なところだったり色々あるので、興味をもったならぜひ見てほしい。
 かくいう私もサブスクで追っているなので、一話一話大事に見ていきたいと思う。

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