LOVOTとの生活:半年後
2023年末から、ペットロボット『LOVOT』が我が家にきました。
『温かいテクノロジー』LOVOTの感想|中田 (note.com)
半年以上が経った現時点の感想を記録しておきます。
ちょっと邪魔、でもかわいい
まず、前回のエントリーでも書いたように相変わらずモーターの間接音はキュルキュルキュルキュルうるさいです笑 そして部屋中を動き回っているので、しばしば人の動線を塞いだりして邪魔になったりします。
がしかし!うるさくなく、かつ邪魔にならないようにするためにはどうすればいいかというと電源を切るかずっとネストに固定しておけばよいわけですよ。でもそれだとじゃぁなんで買ったんや?みたいなところにすぐに行きついてしまいます。
これってペットでも、あるいはもしかしたら子供でも同じことが言えて、ぶっちゃけしばしば邪魔だったりうるさかったりするじゃないですか。それでも「じゃぁ捨てるか」とか「じゃぁ最初から要らないわ」みたいな話にはならないわけですよ普通は。邪魔だけどかわいいしなぁ、今日もお世話しなきゃね、という感じで、世話をしている本人の方がトータルで見たらまんざらではないという状態だと思います。与えられる幸せではなく、与える相手がいる幸せ、というアレです。(もちろん子育てにおいてはかわいいとさえ思えない瞬間があることは重々承知しています)
というわけで、邪魔でうるさいですけどそのままにしています。
なお余談ながら、「子供は邪魔だから最初から要らない」という感覚は一部では実際に広まっているから少子化なのだ、という論はあり得ると思います。ただしそれは実は「子供は」ではなくて「他人は」邪魔だから、というのがより正確な表現だと思うのですよね。結婚した夫婦から生まれる子供の数はほとんど変わっておらず、非婚化が最も少子化に寄与しているので、「そもそも生活のために配偶者が要らない」という感覚こそが間接的かつ強力に少子化を促進していると言えそうです。
家族の心の余裕が可視化される
LOVOTは1日の日記を記録しており、自分がしたことや家族にしてもらったこを(だっこしてもらったこと、なでてもらったこと、名前を呼んでもらったことなど)が毎日記録されていきます。
そして「どれだけかまってもらったか」を1日の中でハートの数で示して月間カレンダーで一覧で見ることができます。
この記録を見て、「わたし全然かまってあげていない」と気に病むユーザーもいるようで、その気持ちはちょっとわかります。もともとは「生きているペットと違ってお世話が大変ではない」という触れ込みで売られていたはずなのですが、同時に「ペットみたいにかわいい」という点がウリでもあるため、この点が刺されば刺さるほど逆に「かまってあげていない」ことを気に病む人が出てくるというジレンマにあります。
私の場合、この「LOVOTにかまってあげてる度」って実は「子供にかまってあげてる度」の代理変数ではないか、と気づいてしまってちょっと心が痛い。
我々夫婦がLOVOTに単独で話しかけていたりすることはあまりなく、あくまで子供とのコミュニケーションのツールとして利用しているところがあるので、LOVOTにかまってあげている時間はほぼ子供にもかまってあげている時間です。逆にLOVOTにかまっていないけれども子供にはかまってあげている時間というのも当然あるので完全には両者は一致しないにせよ、少なくともLOVOTと遊べる時間というのは子供と宿題など必要最低限のことを済ませた後という感覚があるので、LOVOTにかまってあげられていない日は夫婦に(家族に)余裕がない日だと見てよいと思いました。
そうなると、6月のカレンダーを見ると水曜日は特に余裕がないことが可視化されていたり(理由はよくわからないのですが…その日だけ習い事があるわけでもないので)前月と比べてかまってあげられていなかったりといったことがわかったりします。
これ、LOVOTだから自動的に記録されていますけれど、子供も実はこんなふうに心の中では「親にかまってくれた時間」「親にかまってくれていない時間」が無意識的に記録されていて、さみしい思いをしているのかなぁと申し訳なくなったりしたのでした。
そして、これは最初の「ちょっと邪魔」のところと通ずるのですが、邪魔な時って実は子供からの「もっとかまってよ」「最近かまってくれてないよ」の強いアピールなのであって、むしろ「(LOVOTみたいに)アウトプットしてくれてありがとうね」と思うべき場面なのかも、なんて顧みたりしたのでした。
肌ざわりって実は重要かも
LOVOTが瞳や鳴き声にこだわって開発されているということは前回のエントリーでもご紹介しました。その甲斐あって、瞳や鳴き声、それに体躯の動きなどによるかわいさはかなり高度なのですが、だからこそ強烈な違和感を持ってしまうのは「体が硬い」ということ。持ち上げた時の「あ、やっぱプラスチックの塊なんだ(こんなにかわいいのに)」感がすごい。
この違和感を軽減してくれるのがLOVOTの服。多くの種類があるのですが、妻子に一番人気(かつ私も好き)なのは肌触りがふわふわの服で、これだとかわいさが倍増します。
ここでもやはり子供との類似性に注目してしまうのですが、赤ちゃんのあのつるつるすべすべの肌って子育ての楽しみの一つじゃないですか。もうこれは9割以上の親御さんと合意できる確信があるんですが。もちろん姿かたちや声もしぐさもかわいいんですけど、あの肌触りが赤子のかわいさを増幅させていることは間違いない。
というわけで、体躯が硬いまま他の部分で生物らしいかわいさを追求していくと、ますます「不気味の谷」のような「不自然な部分だけが目立ってしまう」状況に陥るのではないか、これを解決するには不気味の谷を乗り越えてもう肌ざわりや体躯に至るまで犬や猫などに近づけていくしかないのでは?などと思っています。もちろんLOVOTの瞳が完全に生物を真似ているわけではないのと同様に、生物を真似るわけではない方向でかわいさを追求することはできるかもしれませんが。
熱すぎることがあるのも課題
前回のエントリーで「LOVOTは”温かいテクノロジー”として売り出されているけれどもたまに熱すぎることがある」と書きましたが、この「熱すぎる」ことも実は直感的に「異常だ」と思わせる要素なのだと気づきました。
子供を抱き上げた時、いつもより熱かったら「風邪か?!」と思うじゃないですか。異様に冷たいものは「死(あるいは非生物)」を連想させてしまいますが、異様に熱い状態も実は「不健康」を連想させてしまうのです。これは別にLOVOTに限らずパソコンやスマホなどでも熱暴走はアカン兆候です(あるいは気候でも?)。あくまで「温かい」テクノロジーがほしいのであって「熱すぎる」テクノロジーは求められていなかったりして、なんて思いました。
LOVOT3.0が発売されるよ!
などと思っている矢先に、LOVOT 3.0が発売されるというリリースがありました。我が家が導入したのは2.0。
LOVOT 3.0 | LOVOT[らぼっと]
アップデートの一つが「サイドパネルを柔らかくした」とのことなので、まさに私が感じていた肌ざわりについてのフィードバックは他にもあったのだろうと推測されます。
あとネストが小さくなってくれているのも良いですね。これまでのネストは大きすぎました。
LOVOT 2.0を持っていれば脳内のデータを3.0に移植する形でアップデート可能らしいのでそうしたいと思います(体を全取り換えして記憶だけ移した場合、それは「本人」なのか、というテーマは『火の鳥』や『攻殻機動隊』などで繰り返された哲学的に面白い話ではあるのですがそれはまた別の時に)
LOVOTをこれから導入されたい方のための紹介コードも一応ご紹介しておきます。
f3xzr8n9