パンチラ戦争
「パンツを見せろ。話はそれからだ」
こんな頭おかしい台詞から始まる事自体狂ってるのに、タイトルがパンチラ戦争。
いやね、この前図書館戦争を読んだんですよ。
でもそれとこれとは全く関係なく、パンチラ戦争。
もうね、頭おかしい。どっからどう見ても頭おかしい。身内贔屓してやっと、いや頭おかしいわ。
まぁ、僕が頭おかしいのなんて今に始まった事ではないし、そんな事はどうでもよしこちゃん(サリーちゃん)なんですけど、人間ってね、
普通に生きてたら冒頭のちょっと頭イっちゃってるんじゃねぇの?みたいな台詞は口にしないまま生きて行くものだと思うんですよ。
僕もね、そう思ってました。そんな卑猥で傲慢な台詞口にするとは思ってもみませんでしたよ、つい先日までは。
その日は、どうしても飲みに行きたい日だったんですよね。まぁ毎日なんですけど。あるじゃないですか、無性にお酒飲みに行きてぇーってなる日。まぁ毎日なんですけどね。
んで、まぁ、朝から僕の数少ない友達にね、声をかけまして、今日仕事終わったら飲みに行こーぜー、ヒャッハー、みたいにねLINEを送りましてね、夜から飲みに行く事になったわけですよ。
飲みが決まれば、その日はずっとソワソワで、仕事も何も手につかない。あぁ、これ毎日だ。特に何もなくても全然仕事してないわ僕。
とまぁ、そんな仕事の話なんてクソみたいにどうでもいいんで端折ります。いっそのこと人生から仕事を端折りたい。
で、仕事が終わって待ち合わせ場所に赴いたわけなんですよ。まだかなぁ、いやぁ待った?、ううん、今来たとこ、みたいなやり取りがもうすぐ繰り広げられるんだー、みたいに思いながらね、って男同士で繰り広げられるか!
すると、奴からのTELですよ。
「いやぁ、パチンコしてたらフィーバーしちゃってさー、三時間程遅れる」
いやいや、聞いたことない。
待ち合わせに遅れる事はまぁよくあることですよ。
初っ端から三時間遅れる報告とか頭イっちゃってるとしか思えない。
なんで三時間やねん。なんで閉店まで居る気マンマンやねん。
もうね、憤慨ですよ。激おこですよ。げ・き・お・こ……おもてなし。おもてなしちゃうわ!許せない。クリステル許せない。いや、まぁ、綺麗だけどね、クリちゃんは。い、いやいや卑猥な事言おうとしてないって、ちょっと聞いてよー、違う違うー、わざとじゃないってー、はっはっはー、はぁ…。なにこれ。
まぁ、それでね、ちょっと、ってゆーか三時間、時間潰さないといけなくなっちゃったんでね、その辺をまぁ、ぶらぶらしてたわけですよ。結構一人で居酒屋とか行くんですよ。仕事帰りとかに。でね、まぁ、適当に店探したんですね。
何かいい店ないかなぁー、って。
そしたらね、あった。いい店、あった。
まぁ、一瞬は通り過ぎたんですけどね、あれ?と思って戻ったんですよ。
よく細いビルで居酒屋ばっかり入ってるやつあるじゃないですか、一階に全ての看板があるタイプの。4Fなになに屋、みたいなやつ。それのね5Fにね、あった。いい店、あった。
いい店ってゆーか、パンチラ喫茶。
もいっかい言うわ、パンチラ喫茶。
違う違う、聞き間違いじゃない、パンチラ喫茶。
違う違うチンチラじゃない、パンチラの方、チンチラもあるかもしれないパターンのパンチラの方。
あのね、こんな事改まって言うことじゃないんですけどね、パンチラってね、最高じゃないですか。最っ高じゃないですか。もうパンチラって言葉だけで興奮しちゃうじゃないですか、男の検索ワードTOP10には毎週食い込んじゃうくらいじゃないですか。
え?
いやいや、あり得ない。
あり得ないっしょ。僕がでしょ?
いやいやいや、行くわけないでしょ。
僕はね、お酒を飲みたいんですよ。
パンチラ喫茶ですよ、喫茶、喫茶店ですよ、おコーヒーをお召しになるところですわ、いやね、そもそも僕みたいな硬派の権化みたいな奴がですよ?雨の日に捨てられた仔犬を見かけて、傘を仔犬にかけてやって、「お前も一人なのかよ」とか言っちゃう僕がですよ?行くわけない。
パンチラ喫茶ー?ないないない、NO MORE パンチラ喫茶。
でね、その看板にはね、女子高生みたいな絵が描かれてるんですけどね、その下にアルコール飲み放題って書いてたんですよ。
うん、行ったね。
いやいや、そりゃ行くわな。
行かなきゃ男じゃないよね。
まぁ、それで入ったわけですよ、そのなんてゆーんすか、パンチラ喫茶?あぁーあんまり店の名前見てなかったけど居酒屋みたいなもんかな、うんきっとそうだ。みたいなノリで店に入ったわけですよ。パンチラ?興味ねーよ?みたいな顔して。
んで、まぁ、席に通されまして、すぐに制服を着た女性があらわれたわけですよ。
それがね、可愛かったんですよ、いやね、みなさんモンスターみたいな子が現れてーこれがリアルモンスターハンターみたいな話を期待したでしょうけど、普通に可愛い。
で、まぁ、ビールが飲み放題みたいなので注文したわけです。
なんてゆーんすか、1人に対して女の子が1人付くって感じのシステムみたいで、飲み物を頼むとその子が持ってきてくれる、って感じです。
「若いですねー、何歳ですかー」
とか聞いてくるわけですよ、でね僕もね
「何歳に見える?」みたいなね、ウザすぎる返しとかしちゃったりしてね、楽しく飲んでたわけですよ。でね、ビールも4、5杯目になった時くらいかなぁ、ふと気付いたんですよ。
あれ?おかしいぞ。
僕の中でね、何か違和感、モヤモヤとしたものがね、頭の中に霧がかかってるような感覚というんですかね、そういった類のものがジワリジワリと押し寄せてきたんです。
僕はね、気付きましたよ、えぇ、すぐにね。この違和感、モヤモヤとした感覚の正体とやらに。
パンチラ見てない。
あのね、もいっかいだけ言いますよ。おパンチラを拝見いたしてない。
焦ったね、今まで楽しく喋っていたはずの会話が全然楽しくなくなってきましたよね。
もうスカートの中しか気にならない。
でもね、ここでパンツ見せて、なんて言うわけにはいかないじゃないですか。大の男がですよ?言えない言えない、最低の屑野郎しかそんな事言えない。
「とりあえずパンツを見せろ。話はそれからだ」
言ったよね。言い放ったよね。
解き放たれたよね、僕の心から言の葉が。
でもね、彼女、間髪入れずにこう返してきたわけですよ。
「え?じゃあ、付き合ってよ?」
いやいやいやいや、はぁぁぁぁぁぁあ???
意味わからん意味わからん。
いやいや、はぁぁぁぁぁ!!!???
なんでー??
パンツ見せろ、付き合う、いやまぁ、一般のってゆーか知り合い同士の会話ならまだ成り立つけど、ここパンチラ喫茶ー!パンチラ喫茶!!
僕もねちょっと酔ってるのもあってこう返したよね。
「パンツ」
単語。まさかの一言。
そしたら彼女も
「付き合って」
そこからは
パンツ見せろ!と、
付き合え!
の言い合いですよ。
もう周りから見たらいつお互いの胸ぐら掴むかーみたいな雰囲気で言い合いですよ。
で、まぁ最終的に合コンを開いてもらうというとこまでこぎつけたんですけど、意味わからん
。全然パンツ見れなかった。ちらっとも見れなかった。パンチラなのに。
で、待ち合わせ場所に戻りまして、友達を待ってたわけですよ。
その友達ってのがね、結構ズボンをね、腰で履くんですよ。腰パンってやつなんです。まぁ、僕も腰パンなんですけど。もう時代遅れなんですけどね。
そいつのパンツを見て、てめぇのパンツは見たかねぇんだよ、と言い放とうと思って、酔い覚ましにコーヒーを飲んでたら
「おっまたー」
とか後ろから声が聞こえたわけですよ。
古っ!みたいにつっこもうかと思ったんですけどね、
あぁ、こいつも変わってねーな、俺たちも歳をとってオッサンって呼ばれる世代になったんだなぁ、お互い腰パンなんて時代遅れなファッションで、なぁ友人よ!なんて思いながら振り返ると、なんか白いカッターシャツみたいなのの胸元軽く開け、そこからキラリと光るネックレスを覗かせながらスリムなジーンズを履いた友達が居たわけですよ。
うん。
いやいや腰パンにパーカーやん、いつも腰パンにパーカーにスニーカーやん自分。めっちゃ変わってるやん、めっちゃ今風やん。
僕はね、言いましたよ、夜空を見上げながらね、ボソっと
「とりあえずパンツを見せろ。話はそれからだ」
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