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父の悲しみ。

「妻を返してくれ!」
ボクが生まれ
父の悲しみがはじまった


ボクの命とひきかえに
亡くなった母

父は狂ったように
院内で泣き叫び
「子供はいらないから!
妻を返してくれ!」

生まれてこなければ
ボクがいなければ
父は悲しまなかった

何度も思った
だから自傷してた
幼稚すぎて
知識が無かったから
助かっただけで
「死」の知識があれば
この世にボクは亡い

ボクは
ハイハイする前に
喋った
だから不気味がられた

虐待の継母は
ボクの意識のない頃から
虐待してたと
自供してる

ベビーバスに
上向きに
そのまま沈めても
笑ってたという

だから
殺せなかったという

そうか虐待じゃなく
殺したかったんだ

ボクは三歳になるか
ならないかぐらいから
記憶がある

強烈すぎる
環境で忘れて
記憶無いひとと
ハッキリ記憶
してしまう人がいる
ボクは後者だ

「死ぬ」と思った
何度も繰り返した
体験が今は財産だ
この体験は貴重で

地域の仲間の声を
ボクは敏感に感じる

友達と公園で
待ち合わせした時

地域のひとじゃない
子ども連れたひとがいた

見るからに
ようすがおかしい

「虐待だ」
スグ感じた
だからちかより
一緒に遊ぶフリした

「いたい?」
「ん」
「母さん?」
無言で首ふる
「父さん?」
深くうなずく

ボクらは
名前をきいた

そのまま
その場を離れ
ボクらは
施設でオトナに
通報した

そのことで
その子が守られた

だから
ボクは過去の
悲しい出来事を
「良かったんだ」
そう
思えるようになった

父は誰からも
信頼があり信用があり
仲間も多く縁の下の力持ち

外見はトトロに出てくる
お父さんに似てる

何でも両親の
言う通り従う父
とても地味な父
「許嫁」との結婚も
決められてた
にもかかわらず

母と出逢い
「衝撃的な恋」と父が云う
親族の反対を押し切り
母と結婚

母は貧しい暮らしだった
母の親族は裕福な
富豪ばかりだが

母の父は事業に失敗し
散財していたという

それでも天真爛漫だった
母は「自由なひと」だった
父はそこがとても素敵だった
何度もそういう

母が亡くなってから
父は「許嫁」と再婚
その時点で

許嫁の継母からしたら
「都合よすぎ!」と
怒り爆発だったはず

ボクを殺したくもなるよね

そのことも父には
かなりショックで
父からすれば

運命の出会いで
結婚したら
相手が亡くなり
再婚したら
我が子虐待され
我が子と
会えなくなる事態

「虐待」の時点で
父は「許嫁」を
心底は
信頼できない
そう思う

ボクよりも
父はきっと悲しい

ボクは将来
自身の伴侶を
探すこともできる

父は孤独だ

だから
父と継母に
ボクから会いに行く
会いに行くよ

心の底らか
信用信頼できない
そんな人と
家族を継続すること
これは生地獄だ

誰もが羨む
地域で有名な
父ファミリー

家庭内で
仮面を外すこと無く
過ごしてる父

父に気づいて欲しい
継母も悲しかったんだって

決められた相手だった
今時「許嫁」なんてと云われ
それでも準備してた女子には
キャンセル受けて
よそにもいけず

どんなに耐えたか

父にも理解できるはず
互いに「家柄」背負うどうし
わかりあえる
唯一のひとなのに

父はきっと
純真すぎたから
母と衝撃的に出逢い
舞い上がっ
ちゃったんだろう

ボクは父を幸せにしたい
恩返ししたい

大切なひとの命を
奪ったこと償いたい

「父さん
ボクは生きるよ」
そう伝えたい

母が命がけで
産んでくれた
大切な命だから

世界中のひとに
ひとりぼっちのキミに
寄り添える人間に
成長してく

「父さん
母さんはきっと
ボクを産んだら
父さんが一番
喜んでくれるって
そう思ったから
産んだんだよ」

「父さん
ありがとう

心から感謝してる
そして
母さんを
愛してくれて
ありがとう

母さんに日記に
ちゃんと残ってる
『母さんは愛されて幸せです』

母さん喜んでたよ」

父の悲しみが
癒えますように
祈りを込めて

2023父の日によせ



















読了ありがとうございます 世界の片隅にいるキミに届くよう ボクの想いが次から次へと伝播していくこと願う 昨年のサポートは書籍と寄付に使用しています 心から感謝いたします たくさんのサポートありがとうございました