コーヒー生豆 1977年以来の高値に達した主な要因について
アラビカ種コーヒー生豆先物価格高騰の背景
2024年11月27日、アラビカ種コーヒー生豆先物価格は一時1ポンド=3.1845ドルに上昇し、1977年以来の高値を記録しました。この高騰の背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
アラビカ種では、2024年初来 70%強価格高騰
ロブスタ種では 年初来 85%価格高騰
1. 世界的な供給不足懸念
ブラジルでの天候不順:
世界最大のコーヒー生産国であるブラジルでは、干ばつと霜の影響でコーヒー豆の収穫量が減少しました。
特に、高品質なアラビカ種の生産地であるミナスジェライス州では、深刻な被害が出ています。
(コロンビアでは かなりひどい豪雨被害がありました)ベトナムでの生産量減少:
世界第2位のコーヒー生産国であるベトナムでは、肥料価格の高騰や人手不足の影響で、ロブスタ種を中心に生産量が減少しています。輸送コストの上昇:
世界的な物流の混乱や原油価格の高騰により、コーヒー豆の輸送コストが上昇しています。
2. 需要の回復
コロナ禍からの経済回復:
新型コロナウイルスのパンデミックによる影響が落ち着き始め、世界的に経済活動が再開しつつあります。
これに伴い、カフェやレストランなどでのコーヒー需要が回復しています。
(北米やヨーロッパでのコーヒー需要も高まり続けています)中国の需要増:
経済成長を続ける中国では、コーヒーの消費量が急増しています。
特に、高品質なアラビカ種の需要が高まっています。
3. 投機的な動き
ヘッジファンドによる買い越し:
コーヒー市場における投資家の関心が高まり、投資資金が流入していることも影響しています。
このような市場の動きが、先物価格を押し上げる要因とされています。
4. その他の要因
ドル安:
アメリカの金融緩和政策によるドル安傾向は、ドル建てで取引されるコーヒー価格を押し上げる要因となっています。サステナビリティへの関心の高まり:
環境保護や人権問題への意識の高まりから、倫理的に生産されたコーヒー豆への需要が高まっています。
このため、認証を受けた高品質なコーヒー豆(スペシャリティコーヒー)の価格が上昇しています。
ロブスタ種コーヒーの価格動向についても触れてみます。
ロブスタ種コーヒーも、2024年初からロンドン市場で85%上昇しています。これは、主に以下の要因によるものです。
ベトナムでの生産量減少
ベトナムでは 肥料価格の高騰や人手不足の影響、さらに 水不足による栽培への影響で
ロブスタ種を中心に(干ばつによる影響が主たる原因と考えられる)生産量が減少しています。
アラビカ種の価格高騰
アラビカ種の価格高騰に伴い、代替品としてロブスタ種の需要が高まっています。
インスタントコーヒーの需要増
ロブスタ種はインスタントコーヒーの原料として多く使用されています。
世界的にインスタントコーヒーの需要が高まっていることも、価格上昇の要因となっています。
(ロブスタ種は低価格で強い風味を持つことから、エスプレッソへの影響も懸念大)
まとめ
アラビカ種、ロブスタ種ともに、需給の逼迫を背景に価格が高騰しています。
特に、アラビカ種は高品質なコーヒー豆としての需要が高く、今後も価格上昇が続く可能性があります。
一方、ロブスタ種はアラビカ種の代替品(コスト重視の消費者に対し)としての需要が高まっており、今後の価格動向に注目する必要があります。