見出し画像

「電気料金」2023年度は再エネ賦課金が6割下がる

本日経済産業省から2023年度の再エネ賦課金の単価が発表されました。
キロワット時あたり1.40円とのことで、昨年2022年度の3.45円に比較すると6割も安くなっています。

https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html

ではなぜ再エネ賦課金がこれだけ安くなったのでしょうか。

前回も取り上げましたが経済産業省の説明によれば再エネ賦課金は、「①FIT再エネ電源の買取費用(円)」から「②回避可能費用(円)」を引いたものを「③FIT再エネ電源の販売電力量(kWh)」で割ったものとあります。
この「②回避可能費用」は2016 年から日本卸売電力取引所(JEPX)の電力の卸値であるスポット価格という値が段階的に用いられるようになっています。

再エネ賦課金は簡単に言うと

再エネ電源の買取価格から火力発電の化石燃料コストを差し引いたもの

となります。

したがって、再エネ電源の買取価格が安くなる、もしくは、火力発電の化石燃料コストが高くなる、のどちらかが起きた時に、再エネ賦課金が下がることになります。

昨年2022年はウクライナ戦争の影響によって化石燃料コストが大きく上昇しました。再エネ賦課金を計算する際のJEPXスポット価格は2022年に22.43円と大きく上昇しました。

出典: JEPX

これによって再エネ賦課金は大きく値を下げることになりました。上記の分類で言うと、(B)火力発電の化石燃料コストが高くなることによって相対的に再エネ賦課金が引き下げられました。
下の図に2012年度以降の毎年の再エネ賦課金の推移を載せていますが、再エネ電源の導入量増加に比例するように2012年度以降一貫して再エネ賦課金は上昇し続け、2022年度は過去最大の1キロワット時当たり3.45円まで増加していました。今回2023年度が1.40円まで引き下げられることによって初めて値下げが起こることになり、さらには2015年度の1.58円をも下回る低水準まで引き下げられるという大きな変化となっています。

再エネ賦課金の推移

では今後も再エネ賦課金は減り続けるのでしょうか。

答えは再エネ電源の自助努力次第だと思います。

今回の賦課金の値下げは化石燃料コストの上昇という言わば相対的なものであって、再エネ電源の買取費用自体は大きく引き下がっておりません。

今後の化石燃料コストの見通しはなかなか難しいところがありますが、化石燃料コストが高くなったことによって再エネ賦課金が減ったとしても最終消費者が支払う電気代は高いままです。

この相対的な側面を期待するのではなく、再エネ事業者が自身の努力によって安い買取価格の再エネ電源をもっとたくさん導入し、買取費用全体の単価を下げる必要があって、それによって最終消費者が支払う電気代が下がることにこそ意味と意義があると思っています。

パシフィコ・エナジーはこれまで1キロワット時当たり15円という買取価格の太陽光発電所を建設・稼働することに成功しています。今後は10円を下回る単価での建設・稼働にチャレンジしています。我が国のエネルギー安全保障の向上並びに各家庭に安全・安心・安価なクリーンエネルギーを届けるために引き続き努力を続けて参りたいと思います。

「発電所からの便り」の記事についてはこちらよりご覧いただけます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?