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ひいおじいちゃん、「未来によって過去が変わる」かもしれないよ。

弟が探し出してきてくれたのは、祖父母の写真がぎっしり入ったお菓子の空き箱。そのうちの一枚が、この経年変化でセピア色になった小さくて古い写真。被写体は裸足で畑仕事中の見知らぬおじさん。これは誰?と父に尋ねるとうーんと唸りしばらく眺め、ふと記憶が蘇ったのか、ぼそりと呟いた。「おじいちゃんのお父さん」。それはつまり、私からみるとひいおじいちゃんだ。

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まるで民俗学者の宮本常一や谷川健一の本に登場する人物みたいに、遠い昔の日本の農民の写真。手に持っている籠や鍬だって、もし現存していたら民俗学的資料として展示されてもおかしくないだろう。そしてこのなんだか朗らかそうに笑っているひいおじいちゃんの表情がいい。日に焼けた彫りの深い顔つきで人懐こくカラッと笑っている。今はあまりお目にかからないタイプの顔だ。そしてこれはおそらく、東京の小平で撮影されたもの。

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祖父は一時期間、新宿で商店をやっていた。この写真は、おそらく商店時代の仲間たちを祖父が撮影したもののようだ。(私には上段右端が祖父のような気もするのだけど...現在調査中。)下段左から2番目の人物の前掛けには「鴨下精●」(最後の字が読めない...)、下段右端の方の前掛けは「所沢市 吉田●●商店」。こちらも全ては判読できず。この写真の方々もみんないい顔つきで写っている。

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こちらは新宿の淀橋市場で撮影されたもの?バイクの大きさに驚く....「サッポロ巻」と書かれた前掛けが気になったので調べてみると、『創業80年、和惣菜の老舗「サッポロ巻本舗」』とグーグル検索で出てきた。現存しているようで「サッポロ巻 北海太巻き しゃけ 」「サッポロ巻本舗 豆つぶころころ 黒豆 」などの食品などを製造。三重県に所在。

現段階ではわからないことだらけだけれど、私は会ったことのないひいおじいいちゃんの写真を見ることができて不思議な気分だし、なんだか嬉しい。まるで映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいに、タイムマシンに乗って親族の過去をのぞいたような気分を味わえるのは、人生を別の側面から眺める経験にもなって、腹の底から自分の人生を肯定したい欲が湧いてくる。自分だけの狭い範囲での認識は偏りがあるのではないかと思えてくるからだ。

ひょっとして、このひいおじいちゃんの写真が、未来の私に発見されるのをずっと待っていてくれていたのかもしれない、と考えるとワクワクしてくる。時間軸が歪む!なのに写真の保管がテキトーでお菓子の空き箱に乱雑に入れてしまっていたことを後悔(私と違ってきちんとした弟がこれから管理してくれる予定)。「未来によって過去が変わる」かもしれない、ここから新しいストーリーが発掘されるのかも。今私はその一歩を踏み出してみたところだ。

※これらの写真については調査中です。何かお分かりになることがあれば、コメントいただけると嬉しいです。お待ちしております。


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大石慶子
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