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3クール目に出現したじん麻疹のこと。私が通うカナダの治療ルーム、ほか。

冒頭の写真は、今月が誕生月の私に、夫からのプレゼントの日記帳。スラスラ書けるジェルペンが付いていました。

表紙の「Keep On Going. Never Give Up」のメッセージ通り、治療を完走するのを目標に励ましてくれる家族と、これを読んでくださる皆さまにも改めて感謝です。

でも日記帳に謝辞を書き連ねるのは何か違う……。
何をネタにしようか悩んでいたら、交換日記を提案をしてくれた次女と、長女も巻き込み、女子会バリに親子で楽しく書くことにしました。

まだ書き出しの数ページですが、私のは、脱毛についてだったり、手術台で「まな板の鯉」になった話など……(鯉はまな板を降りたとたん足が生えて、オペ室ナースのことを踏んじゃったけれど)。子どもたちのはもっぱら、うちのファームに滞在している迷い鳩の「ポッポ」のことを、外に出られなかった期間の私に、お絵描きつきで教えてくれました。

この辺で迷い込んでくる動物といえば、馬や牛が普通。あとはせいぜい、ひょっこり現れる渡り鳥くらいです。ドバトより一回り小さく、足輪つきのポッポは、観賞用か繁殖用ですね。鶏がいるうちの環境が気に入ったらしく、夫が干し草小屋にエサを置いたら喜んで居着いています(エサのおかげで最近はこの写真よりもさらに丸く、羽艶も良い)。
山火事で方向感覚が狂ったのか、自由気ままな一人旅かも。 




乾燥肌と食事。


ラノリンクリームを砂漠のオアシスの水のように(脂ですけど)乾燥肌に吸わせて、手を休ませていたら灼熱感も取れて、家事をこなせる手に戻りました。

自分でも暑い最中、豚皮の煮物をせっせと作り、コラーゲンとタンパク質を摂るようにしたんです。

うちはファームなので、日光を浴びてのびのびと育った黒豚をフリーザーに入れてあります。少しずつ、ありがたく食していますが、長寿で有名な沖縄文化と同じく、皮も捨てずに丸ごとです(シッポは食べません)。

コレステロールが心配だったり、菜食主義とは違う考えになりますが、抗がん剤で落ちた体力、髪の毛、爪のトラブル(付け根が紫に変色してきた)を、回復させるのに役立つかと。

他にも鶏や魚の、皮つき、骨つきの煮込み。
夏のスタミナ料理でもあります。

最近の主食はカナダらしく、米よりオートミールのお粥が食卓へ登場。また100%全粒粉で作る自家製パンは、移住して以来の朝食です。

タンパク質やコラーゲンを定着させるには、炭水化物と一緒に摂ったほうが良いそうですね。

また毎食違う食品を取り入れるだけで必然的にタンパク質量も増やせます。全粒粉小麦、オートミール、米、麺類に、タンパク質と野菜を合わせる。和洋中バリエーションが多いと作るのも楽しいし、家族も喜びます。



3年前、ヒフ科で痒疹と診断された。


「痒疹」は赤みのある、強い痒みを伴う湿疹です。

カナダにはヒフ科のドクターが少なく、ホームドクターから紹介してもらって待つこと3ヶ月。けっきょく原因不明だと言われ、ステロイド軟膏が処方されました。

ネットによると、蚊に刺された後のアレルギーとして全身が過敏になったせいで起きるとか、乾燥肌が良くないとか。でも調べた中に「がん」があったんです。

そのときは、どこのがんを指すのか分からずじまい。でも、今になって思うと私の場合、乳がんでした。

ヒフは素直に体内の状態を知らせてくれていたようです。あのころは「痒疹」だけでなく、ぱっと出て直ぐに消える「じん麻疹」もありました。

痒みはステロイド軟膏で徐々に治まり、現在はどちらもほとんど出ませんが、

さらにネットで調べると、
「じん麻疹」
「痒疹」に加え、
「帯状疱疹」も……、

これらを診断されてから数年以内に「がん」を発症する可能性があると知っておくと、対処できることがある、のかもしれません。

ヒフに症状が出るのは、自己免疫が落ちたことによる反応の現れと思えば……。

帯状疱疹も疲れが溜まった後に起きるものですね(20代で発症したことあり)。

50代からは帯状疱疹ワクチンを打つという選択肢もありますが、ヒフを大事なお知らせセンサーをして取っておくのもありかと。ワクチンは副作用があったり、ムリに抑えておくのも自然でないような気がします。



新たな問題:高血糖。


ドセタキセルの副作用の下痢があってから、消化のいい白米を好きなだけ食べていたときがあり、ただ今、糖尿病予備軍です。

カナダは正常範囲が緩く、それでも心配で自前の測定器でチェックしてみたら……、空腹時、食後2時間とも正常高値(日本では要精密検査)(指先測定は少し高く出るので、あまり落ち込まなくてもいいんですが)。

気にしすぎるのは元がナースだから。諸悪の根源はドセタキセルに必要なステロイド内服薬なので、治療中は仕方がない……。と割り切らず、できるだけGI値の低い食品を摂るとか、野菜を先に食べるとか、食前にリンゴ酢を飲むとか、できることを実践しています。

多少ですが、ポート留置部につきまとう違物感が潜在的にストレスで、地味に血糖に響いているのかもしれません。日常生活に支障はなくても、どうしてもポコンと出っ張っている部分をぶつけないように気を遣います。

食べても太れない痩せ型人間独自の体質で、皮下脂肪というクッションがないと、肩の方までポートの重さを感じます。

これしきでヤケ食いなんて起こしませんが、やはり治療中はすべてに気を遣ってしまうので、血糖問題は終わるまで尾を引きそうです。

自己測定すると、がんに糖分を与えないという意識を数値化できるので今後も続けていきます。好みを食べたあとに高ければ自粛できるし、逆に低くかったら安心できるはずです。


TC療法3クール目。あちゃー、じん麻疹。


回数を重ねるごとに重くなる副作用もあります。

私の場合、毎回白血球製剤を8回も注射しているのに、数値が初回レベルまで戻っておらず、むしろ低下傾向です。全クール終了後もしばらくは、感染予防に気が抜けません。

そんなドセタキセルの副作用を挙げる前に、
この薬はそもそも、微細管に効力を発揮するので、毛細血管の隙間に入り込みやすいんですね。

手足、顔面などの末端には毛細血管が多い。浮腫めば血流障害でリンパは腫れるし、その手前の大きな筋肉が痛くなったり、疲労物質も蓄積します。

また手足症候群:末端ヒフのずり剥け、乾燥状態、爪の変色変形、しびれなどの総称ですが、これも悪化しやすい。

そういう意味から今回の3クール目は、これで終わりの4クール目と違い、正念場のようにドキドキでした。


そして幕が開け……。

浮腫みとリンパ節の腫れで丸1日寝込んだのが投与4日目。その翌日には軽快して普通に動けたのですが……。

8日目。
大腿の筋肉痛が取れなくて、その部分を心臓の向かってマッサージしました。

その直後に両足の付け根にポツポツと膨疹が現れ、膝の裏、足の甲まで及び。さらにその翌日、肩から手の甲まで延々と赤みを帯びたじん麻疹が左右対称性に広がりました。

痒疹のときに何も手につかないほどの痒みを経験しましたが、今回のは1箇所を言うなら自制内。しかし、範囲の広さに丸1晩泣かされるはめに。

気管支や粘膜にも影響があり、胸は苦しいし、下痢と頻尿まで。人によっては日常生活に支障をきたすグレード2の副作用と言うでしょうが、私はひと通り家事はできたので、まだグレード1で済んだみたい。

ただ、首や耳、眼瞼まで発赤が広がったことを考えると、グレード2の判断が下されるかもしれません。

しかしながら、市販のアレルギー止めの内服と、ミドルクラスのステロイド軟膏により3日で軽快、4日目で完治しました。

血流障害で疲労物質が溜まっていた大腿部ですが、私はマッサージしなかったら、じん麻疹を起こさずに済んだのでしょうか? 

最終的にそのはけ口となってしまったような全身のヒフには迷惑な話ですが、じん麻疹の出現とともに筋肉痛が消失したことを考えると、さっさと決着がついて良かったです。

大腿の筋肉痛を引きずったまま、次のクールに突入して、その後も数ヶ月続けば、ファームで肉体労働をする私としては、余計に辛いと思います。


カナダのがん治療のシステムについて。日本との違い。


私が通う、田舎町にたった一軒しかない病院の治療ルームを紹介します。

大らかでゆったりとしたカナダのイメージ通り、患者間にはカーテンなどの仕切りもないです。大部屋には向かい合わせに患者用ソファーが4つ、中部屋には2つ、それぞれ置かれています。

さすがに男性用と女性用にと、部屋は別々なことが多く、それに私は使ったことがありませんが、個室が1つ。患者はマックスで7人までで、いつもどこかは空いています。

あとはドクターの診察室とナースステーション。
田舎町だから小規模ですね。

それでもナースがダブルチェックできる、じゅうぶんな人数体制だし、夜7時までは通院患者の電話対応ができるように、ナースが残ってくれているそうです。

入り口には『Community Cancer Care』と『Ambulatory care』の看板。内部はプライバシーで撮影しませんでした。

入室すると、ナースやお向かいの患者さんと笑顔で挨拶を交わすアットホームな雰囲気。

『Ambulatory care』は外来で、抗がん剤以外にも精密機器での輸液に対応しているみたいです。現にカツラではあり得ないような立派な地毛の患者さんがけっこう通院されています。

とにかく治療のための問診や世間ばなしはお互いに筒抜け状態で、

おかしかったのは、斜め向かいのおばさまが、
「アレルギーはありますか?」とナースに問われ、

「Yeah, stupid people(おバカな人にアレルギーがあります)」と答え、部屋中に笑いが起こったことでした。

今まで10数名の女性患者さんと会いましたが、フローズングローブの人には会ったことがないので乳がん以外、いろんなタイプの治療で通院されているようですよ。

午前の部なら治療終盤に、午後の部なら治療前に、ランチがもらえます。この日はターキーサンドに桃ゼリーとミルク。
向かい合わせの状態のまま、めいめい好きな時に食べます。


ここからは、がん治療のシステムについて。
無料で受けられるがゆえに、患者も病院の体制に協力します。とうぜん不便さもあります。

1クールにつき、血液検査、ドクターの診察、抗がん剤投与と3回、それぞれ別の日に病院へ出向きます。

血液検査の結果は、日本のように当日には出ない。
ドクターは週2日しか来ない。
投与当日にドクターと会うことはない。
投与中に血圧測定などのバイタルチェックもない。
制吐薬、アレルギー止めは内服で。点滴投与はしない。

ないない尽くし。
体調は患者による自己申告と管理が主軸。

ドクターへの質問は診察日にまとめるか、それ以外はナースを通して待たされる。しかも一般的な質問はできても、専門的なのは大学病院の腫瘍科医のほうに要予約。

じっさいに診てくれるのは、がん治療を知っている内科医ですが、ほうぼうにある田舎の衛星病院と掛け持ちだそうで、専門医は中核の大学病院にしかいません(治療方針を決めたときはZoomミーティングでした)。

カナダには人任せにしないと慣れてしまえばどうってことない、少しの不便さと、美味しさと笑顔が入り混じる。
以上、日本との違いでした。


おしまいに。山火事はどうなった?


夏が過ぎようとしている今、週1回くらいは雨の日があります。時おり雷もあるため、新たな山火事が発生しますが、消防に当たっている方々の弛まぬ努力がみのり、現在は収束方向です。


ヤギ舎の上。スッキリとした青空です。ポプラの一種の
コットンウッドが何となく黄色く紅葉し始めているのは、
乾燥と日照時間の短縮を感知しているためだと思います。
最低気温はまだ10℃あるのですが、ここから10月初旬の
ピークに向けて、ゆっくりと紅葉は進んでいきます。


それではまた。
最終クールの投稿時に、私の夏散歩の風景も併せてアップします。

皆さまもどうぞお元気で。


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