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SNSのインプレッション可視化と収益化が齎した迷惑行為の加速

 X(旧Twitter)などSNSの利用が世間一般に広まったことによりネット上の炎上事件が身近なものになってかなり久しい。炎上の火種は本人の不適切または物議を醸すような発言によるもの、不適切な行為をおさめた画像や動画を投稿したことによるもの、企業や自治体のキャンペーン等への苦言など様々なタイプがあるが、承認欲求を満たすために故意に炎上を起こすケースが近年では後を絶たない状況である。また、Youtubeをはじめとして再生数などに応じた収益システムが導入された事により、非難が殺到するような行為(もしくは正真正銘の不法行為)を常習的に行ってマネタイズを図る発信者は増える一方だ。

 ネット上での誹謗中傷についても収益化によりその様相は悪い方向に変化しつつある。通常、他人に対して誹謗中傷を行った場合、相手から民事訴訟ないし示談を持ちかけられれば弁護士費用と賠償金の支払いはすべて自腹となるが、収益システムのあるプラットフォームの存在により、誹謗中傷およびそれに係る訴訟の情報をコンテンツ化し一定以上のインプレッションを稼げれば、その費用を収益で賄う事が可能となってしまうのである。そうするともはや相手から法的措置を執られることに何の戸惑いも感じなくなり、次から次へと誹謗中傷を繰り返し歯止めが効かなくなってしまう。

 こうした現状を鑑み、日本においては情報開示請求の手続きの簡素化や大手プラットフォームに対する削除基準の策定・削除要請の一定期間内の対応の義務付けなど、少しずつ対応を進められてはいるが、個人的には収益化を有効にしているアカウントに対して特にルールを厳格化する必要があると思う(そもそも収益化システム自体を無くせばいいのにとも思うが・・・)。プラットフォームの看板を借りてコンテンツを配信する以上コンプライアンスを遵守する必要があるし、運営側も悪質なヘイト行為に断固拒否の姿勢を見せなければ状況が改善する見通しは立たないだろう。

参考ページ:

【2024年公布】情報流通プラットフォーム対処法とは?プロバイダ責任制限法からの改正内容を分かりやすく解説!

プロバイダ責任制限法とは?発信者情報開示請求の概要・事例・最新の改正内容などを分かりやすく解説
 
 


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