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縮小戦略、これから大事ですよね

先日、知り合いの飲食店に行った。この店の経営者は私とほぼ同年代の50代男性、彼が1人で営んでいる小さなお店。彼とは気が合うのでちょくちょくお邪魔しています。
もともとは社員、アルバイトを数名雇って大きめの店を経営していたのだけど、考えるところがあって5年ほど前にワンオペ経営に転換したわけです。

なぜ縮小したのか

どうして経営を縮小したのかと問うと、だいたい次のような答えが返ってくる。
「少子化で人手不足が回復することは無いだろうと思ったし、スタッフの人間関係を調整することにも疲れたからね。」
私も人をそこそこ雇う必要のある事業をやっているので、人手不足、そしてなにより人間関係の煩わしさはよくわかります。
「大きな店は宴会でどかっと儲かる。それは魅力的なんだだけど麻薬みたいなもんで、ほんとに儲かるかと言えば疑問だし、昔に比べると大きな宴会って減ったからね。」
これも、商売は違うとはいえ何となくわかります。売上規模が大きくすれば収益性も比例するかといえば、必ずしもそうではない。

縮小戦略


ということで彼は小さな店への転換をシュミレーションし、実行したそうです。
当然、人件費と家賃は大幅に減らせる。
では、どのように粗利を最大化していくのか?

・立地戦略の転換
それまで→繁華街の悪くない立地
シミュレーション→人気が出始めているけどまだ家賃の安いエリア
上記のように立地戦略を転換し、狭小住宅のような2階建ての店舗を借りました。鉄板焼きの店なので、1階は鉄板カウンター席のみ、2階は最大10名まで収容できるテーブル席。

・メニュー戦略
1階→店主と会話を楽しめ、少しだけ金額高めのアラカルトメニューのみ。
2階→料理6品、飲み物はセルフ飲み放題2時間で4,500円のコースのみ。
2階のコース、料理は客に1階まで取りに来てもらう、飲み物はセットしてあるビールサーバー、ウイスキー、焼酎、日本酒、ワイン、炭酸、ソフトドリンク類はセルフで飲み放題、つまり接客を極力削減しているわけです。
そのかわり、食べ物は値段以上と感じさせるようなものを提供しています。

・設備投資
小さな店としてはかなり大きめの食器洗い乾燥機を設置。同業者からは「1人だから自分で洗った方が良くない?」と言われたそうですが、彼は「1人だからこそ機械に頼るんだよ。」と言い返したそうです。大賛成ですね。
労力削減はもちろん、業務用食器洗い乾燥機は仕上がりスピードが速いので、食器を収めるスペースにも困る狭小店舗では食器の使い回しができて助かるそうです。

縮小して名より実を取ることの難しさ


結果として、コロナ期間はともかく、今では大きな店舗を経営していたときよりも収益性を上げているそうです。彼の予測通り人手不足はより一層厳しくなっていて、「今の状況で、元の店舗を動かせるだけのアルバイトを確保する自信ないわ。」と言っています。
「何より人間関係で悩まなくてよくなったのが大きいよ。」とも。
そりゃそうだよな、人間関係って金銭以上に頭を悩ませるんだから。(しかも金銭は稼げば解決するが、人間関係はほとんどの場合解決方法がない。)

縮小戦略ってこれからの時代には特に有効なんですよね。それを難しくしているのは「事業は大きくしなければならない」という刷り込みというか呪いなんでしょう。かくいう私もこの呪いから完全に解放されているわけではないのですが。

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