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函館少年刑務所スタディツアー①

2024年9月19日、認定NPO法人育て上げネットさん企画の函館少年刑務所スタディツアーに参加しました。

この函館少年刑務所ですが、出所後を見据えた職業訓練に重点が置かれています。
中でも、少年北海丸という練習船を有し、監視下とはいえ海上に出て航海や漁の実習を行っていること(全国でもここだけ)と、マル獄シリーズという帆布グッズがヒットしていることで知られています。

私は、市原青年矯正センターという刑務所に毎月通って職業指導に携わっています。
また、協力雇用主として出所者の雇用にも取り組んでいきたいとも考えています。

今日は、そうした立場と観点からの所感を記していきます。まず第1回目としてアウトラインから。

■ どんな人が入所しているの?


函館少年刑務所には、犯罪傾向の進んでいない受刑者が入所しています。累犯で犯罪傾向の進んだ受刑者、例えば反社会的組織の構成員で前科多数、懲役上等みたいな人は収容されません。
この点、私の通う市原青年矯正センターと似ています。

では、犯罪傾向の進んでいない受刑者の罪状ですが、最近では特殊詐欺が多いと聞きました。特に若い人の場合には顕著です。これも市原青年矯正センターと似ています。

ちなみに「少年刑務所」とは言うものの、少年以外、例えば40代50代から80代の受刑者もいるそうです。少年も収容する刑務所という感じです。

収容人数は、かつては1,300人くらいいたこともあるものの、現在では600人台ということでした。ちょっと余裕のある印象でした。
とは言うものの、市原青年矯正センターは数十人規模ですので10倍以上という大所帯です。

■ 受刑者の一日


午前6時40分 起床
午前7時40分~午後4時20分 作業
午後4時20分~午後9時00分 点検・夕食・余暇時間
午後9時00分 就寝

こんな感じです。非常に健康的ですね。
余暇時間にはテレビを見たりもできます。1人部屋には1人1台、雑居部屋には1部屋1台のテレビが設置されています。
雑居部屋ではチャンネル権を巡る争いこそ無いものの、人間関係によるパワーバランスがあるようだとのことでした。

「テレビとかあるんだ、いいじゃん」と思われるかもしれませんが、内側にドアノブのない狭い1人部屋に入っているとおかしくなりそうです。
今回、体験として1人部屋に入れてもらい、ドアを締めてもらいましたが、何とも言えない恐怖感を感じました。
ゆっくり読書したりテレビ見たりできそうという感じではありませんでした。

■ 1人部屋か雑居部屋か


函館少年刑務所では、入所するとまず雑居部屋に入れられ、模範的だと出世して1人部屋に行くそうで、刑務所では大体この方式だそうです。

しかし、少年院では逆で、まず1人部屋に入れられ、その後に雑居部屋に行くそうです。
これは、少年院の場合、最初は人間関係を上手く構築できない事が多く、昇格して雑居部屋で過ごし出所後に備えさせるという意味があります。

なるほどこうしたことにも意味があるんですね。

■ 刑務官の皆さん


案内くださった刑務官の皆さんは、そろって熱意があり一生懸命受刑者と向き合っておられる方々でした。
「事情が許せば受刑者と1対1で指導・教育したい」とおっしゃる方もおられました。

現場の皆さんの熱量がすごい。また、私たちのような知見の少ない訪問者の発する質問に対しても、非常に真摯に回答してくださいました。
率直に素晴らしいと感じました。

しかし、その一方で、現場の熱意だけでは解決が難しいと思しき問題もあるように見えました。
次回はその辺りについて記します。

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