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今年も、私たちの障害者雇用の経済的価値を公表しました

1年前にこの記事を書きました。

私たち持続未来グループは、基本理念を「多様な人たちが働いて楽しい」として多様性推進に取り組んでいます。その一環で障害者雇用も比較的積極的に進めており、障害者雇用率は約14%です。

地方の小さな中小企業にすぎない私たちにも存在意義のようなものがあるとすれば、こうしたところだろうと思います。

昨年のこの記事でも書きましたが、私たちは、グループの推進している障害者雇用の経済的価値について可視化して公表するようにしています。

■ SROIについてもう一度


どういった形で数値化、可視化するのかについては、昨年と同じです。

SROI(Social Return on Investment)、つまり社会的投資収益率です。一般的に経済学で用いられる用語ROIにSocialをつけたものですね。
平たく言うと「いくら投資して、いくら返ってきたのか」ということです。

一般的なROIでは、投資と収益です。そしてSROIにおいてもほぼ同義です。
少し違うのは、どういった数字を社会的な投資と位置づけるか、どういった数字を社会的な収益と位置づけるかですね。

これについて、私たちは次のように位置づけています。

【社会的な投資】
社会から私たちにインプットして頂いた社会保障費(障害福祉サービス費)のうち就労継続支援事業の部分。
これは直接的には国及び地方自治体から頂いているものですが、皆さまが負担された社会保障費の一部です。

【社会的な収益】
当社グループで働く障害者が得た給与、障害者が働くことによって納付した所得税や社会保険料。
これは皆さまからの投資があって実現できたものです。社会的な投資が無かったとすれば、自分で給与を稼ぐことができず、生活保護等の対象となった可能性もあります。(誤解のないように申し上げますが、私たちは生活保護を否定しません。それは当然の権利です。ただ、自分で稼ぎたい人を稼ぐようにすることには意味があると考えます。)

■ 毎年行う意味


こういうことって毎年計算して公表するから良いんですよね。
ある年だけやって以降継続しないのでは、意味が薄い。
言い続けないとすぐ忘れられてしまうんですよ。

私たちが社会保障費を使わせてもらうことには意味があるんですよー!
ただ使ってるだけ、良いことしてるだけじゃないんですよー!
経済的にも社会にメリットがあるんですよー!

そう言い続けないといつ切り捨てられるかわからないですからね。

これは杞憂ではないかもしれません。去年、私たちのSROIを公表して1年、世の中の風向きは変わりました。大国の指導者が交代し、大企業は多様性推進の旗を降ろしていますからね。

■ で、2024年の数値はいかに?


四の五の言ってきましたが、私たち持続未来グループのSROIはどうだったのかと言うと、次の通りです。

・まず、社会的投資(障害福祉サービス費)として4,358万円を投資して頂きました。
・一方で、社会的収益として7,681万円を創出できました。
・差し引き3,323万円の利益であり、SROIは1.76です。
・利回りは76%です。(SROI値1.76)

2023年と比較すると、利益額2,738万円→3,323万円、SROI値1.63→1.76と上昇しました。順調に成長したと言えるでしょう。

算出を終えて少しほっとしました。


■ 最後に、多様性推進は流行だったのか


最後に、2つほど申し上げておきたいと思います。これはいずれも大切なことです。

まず1つは、昨年と同じことを繰り返します。
障害者に働く機会を提供することには、意味も価値も実利もあります。働く機会を増やし、広げることも重要です。
しかし、「働かざる者食うべからず」ではありません。

私たちは「障害者が働くことには価値がある」と考えますが、「働かない(働けない)障害者には価値がない」という価値観は否定します。

もう1つ、この1年間で、国際的大企業においても多様性推進にブレーキをかける動き、やめてしまう動きがクローズアップされるようになりました。
しかし、私たちは、多様性推進は一時の流行ではなく、本質的な意味で社会に必要なものと考えます。少なくとも、人口減少が続く日本においては実利的にも必須です。
 
私たちは、これからも多様性推進に取り組み続けます。

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