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2020年のトレンドを読み解く

2021年も仕事始まってしまったので、ざざっと雑に書きます。なぐり書きです。自分メモです。

1つは「鬼滅の刃の盛り上がりの経路」。2つ目は「NiziUの勃興とAKB48の凋落」について。

鬼滅の刃はどのように盛り上がっていったのか

まず個人的な見解ですが、「鬼滅の刃」には以下のような盛り上がりの流れがあったと感じています。

・ジャンプ誌面上ではさほど人気ある感が無かったのに、いつの間にか人気作品になっていった。
・どちらかというと、男子向けというよりもジャンプ好きなオタク層、特に腐女子層に大ウケしたと感じている。カップリング可能なキャラクタの豊富さと、炭治郎の傷つきまくる様がヲタ層(特に腐女子層)をガッチリ掴んだ。
・そうなると、グッズ周りがめちゃくちゃ売れる。
・テレビアニメの放映開始によって、アニメ好き層に作品が波及することとなる。アニメのクオリティが異常なほど高かった。(2019年4月-9月)
・これでまたグッズが売れるし、単行本も売れる。
・ヲタ層およびアニメ層をガッチリ掴む=Social Media上でハネまくるのが必然。
・SNS上での盛り上がりが徐々に一般若年層に展開されていく。
・一般層、特に女性層が作品の魅力に気づく。ここでいう「魅力」については後述する。
・モンストとのコラボによって、モンスト史上最高の売上を記録したらしい(2020年2月)という噂を、個人的に聞いている。経路は忘れたけど、たぶんmixiの人か、どこぞの代理店の人だろう。
・そんな中、NetflixやAmazon Primeのようなサブスク型動画視聴サービスが浸透した結果、アニメの評判がSNSを中心に多くの人に波及し、みんなアニメを見る。(「カメラを止めるな」に似たSNS中心拡散パターン)
・広告代理店やメディアがいろいろなコラボ施策提案や情報展開をしていく。
・30overの中年層に情報が届くようになる。
・子供も巻き込み、一大ムーブメントになる。

みたいな流れだと思っている。

ここで大事だと思っているのは、「ヲタ層(特に腐女子層)」と「アニメ層」の役割と、若年女性の「作品への少女マンガ的解釈」。

作品特性

「鬼滅の刃」という作品自体、いくつか特徴的なところがある。

まず、どちらかというと週刊連載向きというよりも、単行本で読むほうが魅力が伝わりやすい作り方になっている点。明確なヒキを作るのではなく、比較的淡々と一話が終わる感じ。だから週刊連載の時の人気よりも単行本売上が大きくなったのだと思う。

あと、女性作家に多い描き方をしたこと。特徴的なのが、敵役にもストーリーをもたせて感情移入できる状態にしているというのが女性ファン層に刺さった点だと認識している。この描き方はレガシーなジャンプマンガには実は少なめな一方で、昨今だと『僕のヒーローアカデミア』が同様の描き方をしている感はあるけれど、割と珍しいタイプだと思っている。

このストーリーの作りは、物語の連続性でいうとノイズになりやすいので、週刊連載だと結構やりづらい。先述の「単行本向きの描き方」という部分とリンクする話。

加えて割と「主人公が怪我を負いやすい」という腐女子の大好物もある。この辺が男性読者との違いだったりする。今日日対局にあるのが『ワンパンマン』とか『転スラ』みたいな、最初から最強パターン。

まとめると

Focus Groupにドンハマりするキャラ設定→女性読者取り込むストーリー設定→単行本向きの展開→アニメのクオリティ最強→話題化するの必然すぎ。

みたいな感じで、少年マンガ史上屈指の特異性がありつつ、マーケティング的にも意図的に仕組んでいたならばマジ巧妙すぎて、めちゃくちゃエポックメイキングな作品になったというお話。

ここで覚えていおいてほしいのは、「Focus Groupを腐女子クラスタに設定した少年マンガ」であり、「女性作者特有の描き方をした」ということ。(「女性作者」っていう表現がジェンダー的にあれかもしれないけど、今はめんどいからそういう書き方にさせてください。)

2つ目の話:NiziUとAKB48

大前提、AKB48の全盛期の最大のコアバリューは「会えるアイドル」や「握手券」ではない。初期の彼女たちにあったのは「ストーリー」である。あと、そのツールとしてのYouTubeってのもあるんだけど、それはまあちょっとおいておこう。「ストーリー」の中には当然”総選挙”が含まれる。

AKB48の総選挙、1回目から5回目くらいまでをしっかり見届けていた人はどれくらいいるだろうか?もし見られるならば見たほうが良い。2010年、16歳の渡辺麻友が号泣しながら5位という結果に対して「この現状には満足していません」と吐き出す姿なんざ、そりゃ応援するわな、っていう話とかも含めて。

で、近年のAKB48の凋落の理由は言うまでもなくこのコアバリュー「ストーリー」の欠落である。

一方で、NiziUはそのコアバリューをきれいにかっさらった。オーディションの経過を見せることで視聴者に「ストーリー」を展開して感情移入させる。ぶっちゃけ、ASAYANでモーニング娘。が誕生したときと同じ流れだったりするんだけど。それを2020版にアップデートしたのがNiziUっていうグループである。

そこに対して、「スッキリ」という民放番組を巻き込んでSocial Media上に情報拡散させつつ、通常関心を示さないであろう層にも波及させたあたりがマーケティング手法としては上手だったね、っていうことだったりする。

結局言いたいことは

コアバリューとマーケティング手法でいうと、コアバリューが先に来ているし、それが消費者のInsightをしっかりえぐってる、っていう話で、マーケティング云々としてはぶっちゃけ語るまでもない話だよね、っていうことだったりするんですよね。

ってことで、その辺、この本も読みながら考察してみるといいと思うんだよね、っていうアフィリエイトリンクを一つ差し込む。

『ストーリーとしての競争戦略』楠木建 著


以上です。アフィリエイト収入ください。というのは半ば冗談だけど、この本自体は名著と呼ぶにふさわしいし、上記の鬼滅の刃とNiziUに対する考察自体は割とちゃんと筋が通ってると思いますので、拡散したくば拡散してください。

2021年も頑張りましょう。

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